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48.アルベッタとの話で
その頃、ファニアとフィデルはアルベッタの診察を終えていた。
「フィデルお坊ちゃま、とても健康ですね。発育に問題はありません。
ファニア奥様も、フィデルお坊ちゃまの弟君や妹君をお考えなら、もう大丈夫ですよ?」
「えっ!?」
「旦那様は一人っ子ですが、フィデルお坊ちゃまには弟君や妹君がいらっしゃったら楽しいのでは?
旦那様は育児に大変協力的ですし。」
「そうねぇ、クライス様があんなに子ども好きだとは思わなかったわ。」
アルベッタは、ファニアの言葉にくすくす笑った。
「旦那様は子ども好きではなく、ご自身とファニア奥様のお子様だから好きなんですよ?
大好きなファニア様からお産まれになった自分そっくりな男の子。
どちらも大切だから尽くしてらっしゃるのではないでしょうか。ふふふ。」
「元々優しい気質だから、子ども好きなんだと思ってたわ。」
「お二人に何があったのかは、私には分かりませんが、旦那様が何度かファニア奥様と騎士様を見つめて、寂しそうなお顔をされていましたよ?
もちろんお二人の仲を怪しんだりしている訳ではありませんが…」
「そうだったの…ジェラールとは、クライス様の話をして笑っていたのだけど…
誤解を招くようなことをしていたかもしれないわね…」
「あっ、申し訳ございません!余計なことを…」
慌てるアルベッタに、ファニアは微笑んだ。
「ううん、大丈夫よ。寧ろ、有り難いお話だったわ。
フィデルが産まれてから、クライス様に甘えて、私は大切なことを話していなかったわ。」
「事情はお聞きしませんが、フィデルお坊ちゃまの為に、旦那様と仲良くしていただければ。
私も幸せのお裾分けをいただきたいですもの。」
アルベッタはフィデルがきゃっきゃと笑う顔を見ながら、ファニアの手を握った。
「アルベッタ先生は…ご結婚は?」
「私ですか…二十二歳にもなって、恋人すら居りませんわ。仕事一筋です。」
「アルベッタ先生なら、きっと素敵な方が見つかりますわ。」
「無理ですよ…我が家は伯爵家だったのに、両親はモランシー伯爵に美味い投資の話があると騙され、破産した後、自ら命を断ちました。
たまたま勉強が出来た私は、それまで通っていた学校を奨学金をいただきながら卒業し、運良く医師になれました。
その奨学金は、イグネシアス公爵様が出してくださり、今こうして主治医となる幸運をいただいたのです。
ですから、結婚よりも医師としてのご恩返しがしたいのです。」
ぽつりぽつりと過去を語るアルベッタを見て、ファニアは過去に聞いた話を思い出した。
「ご両親を騙したモランシー伯爵家…」
「他にも詐欺などを働いていたようで、遂には復讐されたようです。
言葉は良くありませんが、ザマアミロと思いましたわ。」
アルベッタは、悲しげだがすっきりした顔をしていた。
「どなたが復讐してくださったか知りませんが、抱き締めてお礼を言いたい位です。ふふ!」
「居るわよ、ここに!!」
「………はっ…!?」
ファニアは奇跡や運命が実在するのだと思った。
同じ悲しみを抱えた二人がここで出逢っていたのだった。
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