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50.フィデルが喋った…だがしかし…
庭園では、フィデルと手を繋いだファニアとクライスがゆっくりと散歩していた。
いつもはジェラールやポトが少し離れて着いて来るので、親子三人での散歩は珍しい。
「フィデルも大きくなりましたね。私がこちらに嫁いで、もう二年以上経つのですね…」
「そんなに経つのか…月日が経つのは早いな。」
クライスはしみじみと呟く。
「クライス様、あの二年の契約はどうなさいますか?」
ファニアがクライスの顔を覗き込むと、クライスが慌てて否定する。
「あれは、なかったことにして欲しい!俺はファニアとフィデルを愛しているし、二人が離れるなど考えられない!!」
泣きそうなクライスを、ファニアは抱き締めた。
「私もです。クライス様と一緒がいいです。」
クライスはフィデルを抱き上げ、ファニアと三人で頬を寄せる。
「ああ、離れないし離さないさ。俺の至らなさでファニアにはつらい想いをさせたが、これからは大事にするから、フィデルと一緒に傍にいて欲しい。」
「至らないのは私もです。でも、クライス様はフィデルが産まれてから、変わってくださいました。こんなに愛情深いパパは居ませんね。
ねぇ、フィデル?」
「ぱっ、ぱ!」
「っ!?今、フィデルがパパと!?」
「ぱ、ぱ!!」
クライスの頬に手を添えて、フィデルがパパと連呼している。
「ぱぱ、ぱぱ、ぱぱぁ~!」
「うん、パパだよ、フィデル。俺がフィデルのパパだ!」
「えっ!?ずるいわ、クライス様!フィデル、ママは?ママ!!」
ファニアが悔しがると、クライスは涙目で得意顔をする。
「フィデル、ママ!マーマッ!!」
「まっま!」
「そう、ママ!」
「まっまっま!」
「一個多いけど、ママって言えたね!」
笑顔に包まれる三人に、ポトが走り寄って来ると、フィデルが叫んだ。
「ポト!ポトォォォ~!!」
「メェェ~~~!」
「「 っ!?ポトだけ はっきり喋ってる!! 」」
ファニアとクライスは些か腑に落ちない気持ちになりつつも、ポトを囲み笑った。
「全くポトはいつもいいとこ取りなんだから。
まあ、ポトに見守られて、フィデルがすくすく育ってるから仕方ないか。」
「メェェ~、メェェ~!」
「そう言えば、ポトちゃん、クライス様のお尻を噛んだの?」
「メェェ!」
「だって、ファニアがフィデルを産み落とした時、気絶したから心配で…ファニアと叫んだらガブッと…あれは痛かった…」
「そんなことがあったのね。ポトちゃん、クライス様に気合いを入れてくれたのね?」
「メッ!」
「ありがとう。すっかり良いパパになってくださったわ。」
「メェェ!」
顎をしゃくるポトは自慢げに鳴いた。
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