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51.それぞれの始まり
「何だ、何だ?随分と賑やかだな。」
「本当に仲良しで、微笑ましいですわね。」
ジェラールとアルベッタが並んで歩いてきた。
二人とも穏やかな顔をしているところを見ると、アルベッタはジェラールと過去の話が出来たのだろうと、ファニアは安心した。
「ジェラール、フィデルがパパと言ったんだ!」
「ママって喋ったのよ!」
「メェェェェ!!」
顔を紅潮させたクライスやファニアと、鼻息荒いポトにジェラールが吹き出す。
「あはははっ、お前ら、興奮し過ぎ!」
「だ、だって、きゃっきゃ笑うけど、なかなか言葉を話さないから心配してたんだっ!育児書には、早ければ一歳で赤子は話し出すと書いてある!!」
「出たよ、歩く育児書…」
「旦那様、子どもはそれぞれの成長速度で日々育っています。
旦那様が子煩悩ですから、フィデルお坊ちゃまは表情豊かだと思いますよ?それに、今日いきなりお三方のお名前を話したのですよね。
フィデルお坊ちゃまは、きっとお話ししたくてうずうずされていたのだと思いますわ。」
「そ、そうか?それなら嬉しい!もっとアルベッタ先生の話を聞きたいな。良かったら、夕食を共にしないか?」
「ありがとうございます。是非!」
クライスの申し出にアルベッタは快く頷いた。
「だったら、泊まっていけばいいわ。美味しいワインがあるの!」
「あまりお酒は飲めませんが…泊まらせていただけるのでしたら、今夜は私がフィデルお坊ちゃまのお世話もいたしますわ。
もう夜中の授乳も一回になりましたよね?」
「えっ、いいのか?でも、もう朝までぐっすり眠る日も増えたぞ!」
クライスは久々にファニアと二人きりの夜が過ごせると上機嫌だ。
想いも伝え合えたし、久々に閨をというクライスの思考が丸解りだったようで、ジェラールが呆れ顔で突っ込む。
「おい、何か顔がいやらしいぞ?」
「そ、そ、そんなことはない!い、いつも通りだ!!」
「はいはい、いつもお前はファニアに首っ丈だからな。」
「ジェラールッ、ふ、ふ、不敬だだぞっ!その口を縫い付けるべきだっ!!」
「それこそ、いつも通りだ、あはははっ!」
突然始まった兄弟の口喧嘩に、フィデルがきゃっきゃと笑い出した。
「パパとお兄ちゃん、うるさいですね~!」
「仲のおよろしいこと!」
「「 そっ、そんなことはない!!」」
ファニアとアルベッタに揶揄われ、クライスとジェラールは、少し照れたがきっと悪い気はしない。
そして、ポトとフィデルは、その場でジャンプして燥いでいる。
こちらも兄弟のように仲良しだ。
庭園に降り注ぐ暖かな陽射しの中で、庭園に咲くイースターリリーは、その花言葉通り、皆の新しい門出を祝うかのように、爽やかに吹く風に揺れていた。
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