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52.楽しい夕食の後に
その夜の夕食は、ジェラールやアルベッタを交え、子育て談義に花が咲いた。
特にクライスは、食い入るようにアルベッタを質問責めにし、一歳からの栄養面や衛生に至るまで、アルベッタに聞きまくる。
「これでは、どちらがママか分からないわ…」
「自分の世話も碌に出来なかったクライスが…あらまぁ…」
途中からファニアが呆れ、マリーナは息子の変貌に驚いていた。
しかし、それは嬉しい変化だった。
「お義母様、クライス様は本当に優しい方なのですね。」
「優しいお馬鹿が優しいパパになったわね。ファニアのおかげよ?ねぇ、アルト。」
「ああ、そうだな。クライスは、あれでも責任感の塊だからな。羽目を外さないようにファニアがコントロールすれば、良き父にも当主にもなれるだろう。」
ジェラールは、そんな家族の会話を聞き、ファニアへの想いがきちんと整理出来た気がした。
ジェラールの願いは、ファニアが幸せに暮らすことだけだ。
そして、ワインで酔ってきたクライスに、丁寧に医学的見地から育児指導するアルベッタを見つめた。
ファニアへの想いとは違う何かが胸にちくちく刺さって、ジェラールは少し動揺したが、それもまた悪くない。
「そろそろフィデルが眠そうだから、お開きにしましょう。」
ファニアとマリーナに挟まれ、燥いでいたフィデルがうとうとし出した。
「これは、朝までぐっすり寝そうだ。アルベッタ先生は、まだジェラールと話したいだろう?
寝かし付けは俺がするから、二人は部屋でゆっくり語らってくれ。」
クライスが珍しく良い提案をするものだと、ファニアは感心していた。
「お部屋を準備してあるから、ジェラール、案内して差し上げて?」
「承知しました。」
ジェラールとアルベッタが部屋へ向かうと、フィデルを抱っこしたクライスやファニアも寝室へと移動した。
続き部屋のベッドにフィデルを寝かせ、足元にポトが寝転がると、クライスとファニアも二人の寝室のソファに腰掛けた。
「ファニア…」
酔ったクライスは、ファニアを抱き締め、切なく名前を呼んだ。
その声は熱を帯び、切実にファニアを求めていた。
「触れてもいい…?」
潤んだ瞳のクライスに、ファニアは頷いた。
「こんな俺が…またファニアに触れてもいいのだろうか…?」
「クライス様は、フィデルのパパだけでなく、私の旦那様でしょう?」
「過去は気にならない?あんなことを為出かして…」
「実は…私も………」
「私、もっっっ!?」
ファニアは、クライスだけを責めるのは間違っていると思い、あのことを告白する決意をした。
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