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144. ご褒美は、ゆったりのんびりした後で
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「おじゃましまーす。結構久々かな?」
「そうだな。最近は勉強会も学校で済ませることが多かったし」
今日も今日とて朝から親は不在。
前も一度美香が家にしばらく泊まったことがあったが、今回の土日は親がいない分、余計に同棲に近い。
食費は用意して行ってくれたが、料理は自分でしなければいけない。
「とりあえず、昼飯食うか?」
「うん。なにがあるの?」
「これから考える」
冷蔵庫の中身をざっと見るが、今はあまり食材がない。
「うどんにしとくか」
冷蔵庫から肉と調味料を、冷凍庫から冷凍うどんを、野菜室からネギ等を取り出し、道具を用意する。
そうしてネギを切り刻む。
横からスッと美香が覗き込んできた。
「どうした?」
「私も手伝いたいんだけど、やることある?」
「じゃあこれ、続き頼む」
俺はネギの前から退いて、麺の準備を始めた。
すぐに、トントンと包丁がまな板を叩くリズミカルな音が聞こえてくる。
しばらくの間、俺たちは一言も発すことなく作業音だけを響かせていた。
「ネギもらっていい?」
「はいどうぞ」
作業は順調に進んだ。
鍋を火にかけたらほとんどの工程は終わりである。
「簡単だね」
「まあ簡単な料理を選んだからな。昼飯から複雑なものを食う必要もないだろ」
そして、完成したら鍋ごとテーブルに持ってきて、二人で分けて食べる。
「いただきます」
挨拶をしたら、ふたりともほとんど無言で麺を啜る。
「おかわりもらうね」
「あ、俺も頼んでいい?肉多めで」
そうこうしているうちに麺も肉も鍋から消え去った。
「ごちそうさまでした」
弛緩した空気が流れる。
まるで美香が一時的に泊まるだけとは思えないほどに同棲している感じが出ていて、今の環境がとても気持ちいい。
鍋を片付けると、僅かに醤油っぽい残り香がある以外は元に戻った。
窓から日の光が差し込んでいるのが、暖かい昼下がりを演出しているようだ。
ソファに身体を預けると、眠気が襲ってくる。
「ふぁ…少し寝ようかな」
そのまま横になってみれば、余計に眠気が加速する。
目を閉じようとすると、美香が同じく横になってきた。
「…狭いぞ」
「じゃあ、もっと詰めないと…」
美香がぐいぐいと俺の身体を押してくるので、俺は仕方なく背もたれ側にぐいと身体を押し付けた。
互いの息もかかるほどの至近距離で向かい合う。
「ねぇ、ご褒美はいらないの…?」
「ご褒美…」
すでに微睡んでいる俺はぼんやりとした瞳で美香を見つめた。
睡眠欲が強すぎて性欲の出る暇はもはや存在しなかった。
「…悪い、後で頼む…」
その言葉を発するのが限界だった。
俺は意識を手放すに至った。
「そうだな。最近は勉強会も学校で済ませることが多かったし」
今日も今日とて朝から親は不在。
前も一度美香が家にしばらく泊まったことがあったが、今回の土日は親がいない分、余計に同棲に近い。
食費は用意して行ってくれたが、料理は自分でしなければいけない。
「とりあえず、昼飯食うか?」
「うん。なにがあるの?」
「これから考える」
冷蔵庫の中身をざっと見るが、今はあまり食材がない。
「うどんにしとくか」
冷蔵庫から肉と調味料を、冷凍庫から冷凍うどんを、野菜室からネギ等を取り出し、道具を用意する。
そうしてネギを切り刻む。
横からスッと美香が覗き込んできた。
「どうした?」
「私も手伝いたいんだけど、やることある?」
「じゃあこれ、続き頼む」
俺はネギの前から退いて、麺の準備を始めた。
すぐに、トントンと包丁がまな板を叩くリズミカルな音が聞こえてくる。
しばらくの間、俺たちは一言も発すことなく作業音だけを響かせていた。
「ネギもらっていい?」
「はいどうぞ」
作業は順調に進んだ。
鍋を火にかけたらほとんどの工程は終わりである。
「簡単だね」
「まあ簡単な料理を選んだからな。昼飯から複雑なものを食う必要もないだろ」
そして、完成したら鍋ごとテーブルに持ってきて、二人で分けて食べる。
「いただきます」
挨拶をしたら、ふたりともほとんど無言で麺を啜る。
「おかわりもらうね」
「あ、俺も頼んでいい?肉多めで」
そうこうしているうちに麺も肉も鍋から消え去った。
「ごちそうさまでした」
弛緩した空気が流れる。
まるで美香が一時的に泊まるだけとは思えないほどに同棲している感じが出ていて、今の環境がとても気持ちいい。
鍋を片付けると、僅かに醤油っぽい残り香がある以外は元に戻った。
窓から日の光が差し込んでいるのが、暖かい昼下がりを演出しているようだ。
ソファに身体を預けると、眠気が襲ってくる。
「ふぁ…少し寝ようかな」
そのまま横になってみれば、余計に眠気が加速する。
目を閉じようとすると、美香が同じく横になってきた。
「…狭いぞ」
「じゃあ、もっと詰めないと…」
美香がぐいぐいと俺の身体を押してくるので、俺は仕方なく背もたれ側にぐいと身体を押し付けた。
互いの息もかかるほどの至近距離で向かい合う。
「ねぇ、ご褒美はいらないの…?」
「ご褒美…」
すでに微睡んでいる俺はぼんやりとした瞳で美香を見つめた。
睡眠欲が強すぎて性欲の出る暇はもはや存在しなかった。
「…悪い、後で頼む…」
その言葉を発するのが限界だった。
俺は意識を手放すに至った。
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