魔術探偵 源 隼人の不思議な依頼

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エピソード1:魔術探偵「源 隼人」誕生

2話 あれ? 家、間違えた?

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後日、現場、真冬の弟部屋に調査することになった。
なにか弟の失踪の手がかりはないのか。
また、真冬の言っていた「光のなかに吸い込まれた」と言うのは何の事を示しているのか。少しでも何かのヒントが欲しかった。

「今日も寒いな。」

俺は黒いコート着ており、てをポケットに突っ込み、富士谷家に向かっていた。

「何なんだ。あのババア。こっちの話をまともに聞いてもくれね~」

富士谷家に向かう道中、いかにも怪しい格好のした男が小声で愚痴をこぼして、俺の横を通った。
手には胡散臭い宗教のパンフレットをもっていた。どうやらどこかの家で勧誘をしたのだろうが、失敗したらしい。
あの男が弟さんを誘拐した犯人だったらいかに今回の仕事が楽になっただろう。
嫌、考えても無駄か。

「ここか」

そんなことを考えてる内に真冬に教えてもらった富士谷家にようやくたどり着いた。

表札にはしっかり「富士谷」と書いてある。間違いないないはず。

そこは、住宅地に赤い屋根の大層立派な一軒家だった。
季節が冬と言うこともあるが、人通りが少ない方ではあるが誘拐ができるほど、少ないわけではなく、先ほどすれ違った勧誘の人が来るほど、人通りは多いみたいだ。
彼女いわく、家族は真冬と弟以外には、父と母と祖母の5人で暮らしているらしい。出来れば、真冬さんが出てきてくれるといろいろ楽でいいのだが・・・
「よし。いくぞ。」
小声で富士谷家の前で気合いをいれ、インターホンを押した。

ピーンポーン

「すみませーん。」

インターホンの音が富士谷家中に響いた。
「はーい。今開けますね。」
遠い方で真冬とは違い、高齢の女性の声が聞こえた。たぶん真冬の祖母の方だろう。

ガチャリ。富士谷家のドアがゆっくりと開いた。

「はいはい。すみません。どちら様でしょうか?」
出てきたのはやはり、おばあちゃんであった。

「え~と。探偵の源  隼人と申します。真冬さんの依頼でお伺いしたのですが・・・」
「真冬ちゃん?」
「そうです。そうです。彼女から聞いていませんか?」
「はて? 」
やはりこうなったか。
おばあちゃんには今日、俺が来ることを伝えていなかったのかな?
おばあちゃんは、どうやら腰を悪くしているみたいで、ドアノブを支えにした状態でこちらと会話をしている。
「所で、真冬さんいらっしゃいますか?」
真っ先に、俺が来ることを知っている真冬に、彼女の口から言ってくれるようにしたかった。
「え~と。真冬って誰のことだい?」
あれ? 家間違えた?
咄嗟に、俺は表札を確かめた。確かに富士谷家で間違ってない。
もしかして、同じ名字なだけで、別の家なのかもしれない。
「え~と。申し訳ないのですが、この近くに、同じ名字の富士谷さんっていらっしゃいますか?」
「富士谷?同じもなにも、わたしゃ『森』だよ。最近多いのね。家を富士谷さんと間違えるの。」

どういうことだ?  表札には『富士谷』って書いてあるのに富士谷さんじゃない?
しばらく俺はこの富士谷家ではなく森家の前で固まってしまった。
しばらくしてこの状況を理解できないまま、とりあえずこの場所から離れて、もう一度真冬さんに、電話で聞いてみよう。
「すみません。どうやら間違いだったみたいなので、失礼します。」

と言って、森家を離れようとした時。

「あ! やっぱり。すみません源さん。」

そこには森家であるはずの家の奥に富士谷    真冬の姿があった。そして彼女が神々しく思えた。
俺は歓喜極まりない顔をして真冬を見ていた。
でも何でだ?ここは結局森家では?それにこのおばあちゃんは、真冬のことを知らなかったのでは?隼人の頭の上におもいっきりはてなが浮かんでいる。

「おばあちゃん。その人、私のお客さん。」
「そうなのかい。夏実」
「夏実は『お母さん』。私は孫『真冬』。すみません源さん。勘違いするようなことを言って。」
「ああ。そうだったね。」

うん?そう言うことか。だんだんわかってきた。
どうやら、このおばあちゃん少々ボケているのか。

「では森と言う名字は?」

俺は、玄関の奥にいる真冬に聞いてみた。

「森?ああ、おばあちゃんは母方の祖母なので、母の旧姓が『森』なんで、おばあちゃんの名字は森であってます。」

なるほど、これで全ての謎が解けた。
真冬は何度も頭を下げ、このややこしかった玄関前の騒動は幕を閉じた。

「どうぞ、源さんお入りください」

真冬の言葉を聞き、俺は富士谷家(森家)のお宅にようやく入ることが出来た。
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