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一般常識を学ぼう

需要と供給

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「う~ん…15分くらかな…」
「あぁ、まぁ、それくらいが普通だよな
 俺も詳しくどれくらいかかるかは知らねぇが…
 普通、生産するなら、15分程かかると言われている
 これが、適したジョブに就いていたら、多少時間は減ったり
 品質が上がるかもしれねぇが…
 冒険者的には、15分間を何度もするよりも
 依頼頑張った方が稼げるって事だ」
「ふ~ん…(別に、何度もしなくったって、一気に全部入れたらいいのに…)」
「なぁ、今会話に疑問を持ったんだが…」

ユウキとシーヴァがお互い話して納得した頃
今まで、話を聞く側に徹していたキョウヤが口を開く

「こないだ、俺がコイツの部屋で見たのは、巨大な乳鉢だったぞ
 あれで、一気に作ってるとしたら、1個につき15分もかからねぇだろ
 お前、その15分ってのは、何個作る目安なんだ?」
「え?50個だけど?」
「えぇ!!?」
「はぁ!!!?」
「…ぇ?何かオカシな事言ったか?」

驚くミーシャとシーヴァに、ユウキはただただ首を傾げる
ユウキはもう忘れてしまったかもしれないが
この世界には、ユウキが最初に買ったような乳鉢しかない
それを使ったあの日、ユウキは同じ作業を何度もするのが嫌で
大きな乳鉢を作ったのだ
あの時作った乳鉢は、今でも重宝されている

「だって、一杯作るんだろ?
 一々、チマチマ生産してたら時間だけ無駄にかかるじゃん
 だから、一気に作ってるだけだけど…」
(確かに、沢山作るなら、小さい乳鉢で作るなんて効率悪いよな…)
「い、一気に作るって言ったって…そんな大量に…」
「ユウキ君…ホントに色々凄いわね…」

この世界の2人は頭を抱える
ユウキにとって…いや前の世界ではフツーでも
こっちの世界にとっては、思いもよらない出来事のようだ
実際、ユウキが大きな乳鉢で量産している事を知っているキョウヤは
驚くわけもなく、ユウキの思考回路が普通だと感じているのだから

「てか、普通に生産してる人も、大きな乳鉢作って生産すればいいんじゃね?
 その方が流通量が増えるだろ?」
「…確かに、ポーションとかなら量が増えても買い手は多くいるだろうが…
 あまり使われない薬に関しては…店の在庫が増えるだけじゃないか?」
(需要と供給のバランスだな…
 ポーション系以外の薬は、今の状況が一番良いバランスなんだな…)

シーヴァの言葉に、キョウヤは考え込む
一方のユウキは特に、気にしている様子はなく…

「ま、別にそれならそれでいいんじゃね?
 別に量産しなきゃならねぇわけじゃないし~」
(…確かに…)

別に、ユウキの言うやり方をしなくても、困っていないのなら問題はない
そもそも、そんな大きな乳鉢を誰が作るんだ…という話になってくる
需要があるか分からない巨大な乳鉢を作ってくれるところなんて
きっと、無いのではないか…
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