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二章
3 マカロン
しおりを挟む1人で飛行機に14時間も乗ったのは初めて。
ジョンに会う為だったら些細な時間だったし、帰りは彼と一緒に帰れる予定。
あと4時間もしないで僕の誕生日。
誕生日、知られてなかったら黙ってようかな…
後々絶対バレるから言った方がいいか…
どっちにしろジョンは落ち込むかな。
すぐ拗ねるからな…
なんとなくジョンの対応法が分かって来た。
喜んでくれそうな言葉。
そして一緒にお祝いもしてもらえる…
『ジョンが僕のギフト』
照れ臭いけど、このセリフ。
4日ぶりに会えたら告げよう。
ゲートから出て、空港まで来てくれると言っていたジョンを歩きながら探す。
見つからなければ電話して…なんて、早く会いたくて行動していたら…いた。
ジョンと目が合って、お互い近づき…抱きつく。
何故か会えない数日が長く感じて…
寂しかったんだ。ただ会いたくて。
今までの恋人には2.3日どころか一週間以上会わずにいてもこんな気持ちになった事はない。
もう僕の一部。ジョン。
「ほら、何処行きたい?」
バルセロナの空港からの移動手段はジョンの運転、助手席に僕、流れる音楽はピアノとギターの落ち着いた曲。
「えー夜だし…
何処かオススメある?
スペイン初めてで分からないな。」
「じゃあ、少しドライブして…お腹空いてる?
フライトで空腹だったら後ろにパンあるよ。
俺がいつも買ってたパン屋なんだけど
久しぶりに会ったおじさんが
サービスしてくれたから沢山。」
そうだよな。
18歳くらいから4年も住んでたら車も乗り回すし、馴染みのパン屋もあるか。
「大丈夫。ジョンは?お腹空いてる?
後ろから取ろうか?」
「俺も大丈夫。
そのおじさんがさ、
ボウズ、チョン画伯の息子なのか!って。
両親の家の近くでよく行ってたのに今更。」
「チョン画伯?
お父さん…韓国で聞いた事あるかも…
有名な方だよね。
………ごめん、僕知識無さ過ぎ。」
お父さんも画家。
聞いてはいたけど関心が湧かず調べる事もしなかった。
恋人の父親の事くらい、もっと知っとくべきだよな。
後悔…恥ずかしさとジョンに対する申し訳なさが湧く。
謝った僕に、すぐ右手を伸ばして手を繋いでくるジョン。
「いや?俺、公表してないし。
父さんも韓国に住んでなかったし。
別に知らなくても…
……俺の絵が売れるようになって…
もう父の名前出してもいいかなって思って
ソンギにそう話したら
取り巻きが俺の所に来て
俺の品定めが始まったんだよ。
…反吐が出たけど……」
運転中で進行方向の道路の先、何かを睨む様に鋭い目になったと思ったけど、また一瞬で変わった。
こっちを見て、蕩けてるような笑顔になった。
「…ふっ…何?」
何故かつられて笑ってしまう。
さっきも思った。
空港でのキスもそうだし、サラッと運転する所も……ズルいよな。
変にドキドキしてしまう。
「…いや…
今はジンが隣にいるな、と思って。」
言葉まで蕩けてる事言って…
「…うん。隣にいるよ。」
難しい特殊な仕事の人間関係はよく分からないけど。
ソンギさんやお母さんがいるから安心か。
「…お母さん元気だった?」
「…強し。元気だった。
母さんの中では父さん生きてた。
生きてるって思い込むのも良い手段だね。
ただ……毎朝…描きかけの絵の前で
泣きながら現実に襲われてたけどね。」
「…毎朝…?…ジョンはそれを…」
「うん…隠れて見てた。」
…僕もジョンに何て声をかけていいか分からなくて…
繋いだ手を動かして感触を確認していた。
ジョンはそんな状態で僕と同じように声もかけれず、毎朝見守ってたのかな。
車内は少し暗いけど、時々反対車線からのライトに照らされる真っ直ぐ前を見る横顔を見つめる。
僕から右手を離して、前を向いたまま自分の頬を伝ってるであろう涙をサッと拭ったのがわかった。
「…ジョン、
早く…何処でもいいからクルマ停めれる?」
「なんで?」
「なんでも…すぐ。」
危ないってのもあるし、涙を堪えて運転して欲しくなかった。
ジョンはジョンで、お母さんの前で、気丈に振る舞ってたんだろうな。
ハザードランプを点けて道路の端に停車。
………限界だったはず。
ジョンがハンドルに顔をふせた。
静かに。
「ジョン。こっち。」
少しこちらを向いてくれて、やっぱり泣いている事が確認出来た。
僕がジョンに覆いかぶさる。
僕が運転出来たら良かったけど…
泣いてるジョンが隣にいたらそれはそれで運転どころじゃないか。
「…こうしてよう。…涙を堪えないで。
僕の前では思う存分泣いていいから。」
僕の中で静かに泣くジョン。
そう言えばジョンの涙を見たのは初めて。
こうして自然に、自分の感情を吐き出すでも無く、ただ…ただ溢れるものが流れ出す…どうしたらいいか分からない感情なのかな。
色々我慢してる子供みたいだ。
愛しくて…
ずっとこうしてていいからなんて言って僕がずっと抱きしめていたいだけ。
守りたくて…可愛くて…
ただ寄り添いたい。何も力になれなくても。
流れる曲がアップテンポに変わってもそのまま。
もう大丈夫と言って僕の腕から離れてはにかみながらジョンが笑った。
行き場を失った僕の両手をとり、キスしてgraciasって。
…graciasくらい僕でもわかる。
『ありがとう』
「…グエル公園が前に見えるよ。」
右手はずっと僕の左手に。
たまにハンドルへ行く時もあるから固すぎず柔らかく繋ぐ。
そして離れてもすぐ戻ってくる右手。
そんな事を繰り返して、特に会話しないまま…進む場所はジョンに任せていた。
「あ、ほんとだ。
凄い可愛い…お菓子の家が見える…
街並みも綺麗だから、
マッチしてる気もするけど…色が綺麗…」
「スペインに来た!って感じでしょ?
…ジンに来て貰っといて
よく考えたら明日も明後日も
ステージがあるから
リハーサルとかで時間もとられて
一緒にいれる時間限られてて…
ごめんね?今も公園入ったり
ゆっくり観光とか出来なそう…」
「全く謝る事は無いよ。ほんと。
こうしてる時間が、少しでもあるなら…
…1人になる時間は僕との時間なんだろ?
ここにいる間はジョン、1人にはしないよ?」
もともとお母さんもいるから1人にはならないだろう。
けど1人の時間は僕のもの。
冗談っぽく言うけど、そうであって欲しい。
「もちろん。」
照れた様に笑って答えてくれた。
「…とりあえず明日の朝までは
僕の時間かな?」
「そうだね。」
グエル公園を背にして暫く進み、車を停めて入った先は、大阪で泊まった時よりももっと高級な…多分、星5つのホテルだ。
「ビュールームにして貰った。」
「ビュールーム?」
「そう、見えるの。」
ホテルの館内を部屋へと歩いてる途中。
案内しくれるボーイさんはにこやかにこちらを見たりしてるけど、多分僕達の日本語は分からないはず。
手を引かれて…手を繋いでる。
男2人がこんなホテルに泊まる光景。
「…ジョン、手、恥ずかしい。」
空港ではキスされた後だったし、会えた喜びで少し浮かれて手を繋いでいた。
けど今回は…ホテルからしたら誰が泊まってるとか完全に把握してる。
秘密厳守は完璧なんだろうけど…
ジョンが手を離した。
少し作り笑いをしながら。
僕の手は行き場が無くていい。
…花束を両手で抱える。
ジョンの手は僕の肩に置かれ、並んで歩いた。
さっきよりも自然かな。
これですれ違う他のお客さんにも変に思われないはず。
ジョンの事を知ってる人が見ても。
部屋に入るとテーブルにはシャンパンと…
水色とピンクのマカロンが置かれていて、そこに持っていた花束を置いた。
ボーイさんにジョンがチップを渡し、お礼する。
ボーイさんは僕を見て…
「Espero que en este hermoso día tengas una gran sonrisa, y que lo disfrutes al máximo. Estoy de tu lado. Siempre. Feliz Cumpleaños!」
(この美しい日が大きな笑顔をもたらしてあなたが最高に楽しめますように。私はいつでも味方だから。お誕生日おめでとう。)
「Gracias!」
何か言われてジョンがお礼して…
僕に抱きつきボーイさんに手を振った。
…頬がぶつかる程の僕とジョン。
もう…そういう目で見られてるだろうから文句を言うのは諦めた。
「…何て?」
「…え、…ちょっと待って?今何時だ?」
結構長くて何を言ってるか分からなかった。
何故か教えてくれないし、時間を気にして辺りを見渡すジョン。
ジョンは普段腕時計をしていないから僕が自分の腕時計を見た。
…もうすぐ0時を回り、誕生日当日だ。
「23時50分」
答える僕から離れてテーブルへ歩き…
「あ、マカロン美味しそう。
シャンパン冷えてる~飲も?」
「飲む。…僕もマカロン作って来たんだ…
被った…」
鞄からお菓子を取り出す。
2人で食べる用とお母さんに渡せたらと思い、プレゼント用を作って持って来た。
「あ、けど餅入りで…
韓国はお菓子によくお餅を使うから。
…お母さんにも食べて欲しくて…
焼き菓子だから賞味期限も大丈夫なはず…」
お菓子の箱を開けてジョンに見せるといきなり抱きしめられた。
「ジンー。なんでジンはそんなに…」
「……そんなに?」
「…好き。」
「…何それ。そんなに好き?」
「…すんごい好き。
なんでこんなに好きしかないんだろう…
謎だね、謎、ジンは。」
少し笑顔、目尻を下げた蕩けた瞳、鼻先5cmって所で甘く見つめられる。
「…ジョンの魅力の方が謎だけどね。」
僕を好きだって言うジョンも謎…僕からキスをする。
顔が近すぎて我慢出来なかった。
「…ねぇ、もう10分たったかな…」
少し唇が離れた瞬間、囁かれる。
「まだ、だと思う…」
すぐまた深いキス。
繰り返し…熱量の変化に追いつかず足や腰の力が抜けそうになる。
「…0時過ぎた。
おめでとうジン。」
最後に大きなリップ音を立てて唇が離れた。
「…ありがとう。」
「キムソジンの大切な日、
俺にとっても大切な日、
俺と迎えてくれて…
ここまで会いに来てくれてありがとう。
…俺の全てをあげる。」
「……ありがとう。」
「本気だよ?全てだよ?
そして今日は俺、ジンのギフトだから。
何でも言って?」
「…じゃあ早速、さっきのボーイさん…
なんて言ってたんだよ。教えてよ。」
「…誕生日おめでとうって。
俺より先に言われたら嫌だったから…
…あと…どんな時でも僕は味方だよって。
俺達の関係を踏まえての言葉だよね…
いい人だね。」
「そっかー。それはそれは……
惚れるね。…カワイイ子。」
「え?…え?何その発言。
浮気的発言をするなら見せしめで
廊下でセックスしようかな。」
酷い発言なのに蕩ける笑顔で腰を強く引き寄せられた。
「酷いな。ジョンがカワイイ子だし。
おめでとうって言われても順番なんて関係ない。
そんな事気にして…可愛い…
惚れるってのは…僕とジョン2人の気持ち。
2人の味方が居てくれたら
ジョンも惚れちゃうでしょ?」
抱きしめられて少し潰れたマカロンの箱から、1つ取って口まで運ぶ。
「ん。おいひい。」
親指を立てて褒めてくれた。
「2人の味方だから惚れ…りゅね。
これから味方は増えると思うよ。
ゆっくり増やしていこうよ。」
少し口の中のマカロンで話し難そうにしながら、シャンパンを慣れた手つきで開け、流れるように2つのグラスに注ぐ。
「はい。誕生日おめでとう。」
あっという間に手渡されたグラスで乾杯。
「そうそう、ビュールーム!外見てみよ。」
誘われるままジョンの後をついていく。
グラスを持ったまま外を見る為に広いベランダへ出た。
夜の街並みの中、近くに少しだけ高い建物がある。
「ああ、サグラダファミリアだ…
スペイン来たーって感じ…」
「うん、今日と明日と明後日、
ここに2人で泊まって…
月曜に日本に帰ろ?」
「…ホテル代半分払うから。絶対。後からでも。」
「No.お断りします。」
…ホテルに足を入れた途端、ロマンチックな雰囲気の建物とはかけ離れた現実的な事…金銭的な事が頭を巡っていた。
甘く誕生日を祝って貰い、片手にシャンパン、絶景のサグラダファミリアを観ながらでも言う。
僕の意思。
ロマンチックな雰囲気に負けないように思考を巡らせる。
ジョンにしたらここの宿泊費なんて余裕なんだろうけど…僕は違う。
思いっきり庶民だし、将来 自分の店を出したりする為にお金を貯めたいと思ってる。
そのくせ今まで彼女に奢るのが当然だった。
奢られたり、ましてや高額な宿泊費交通費、ジョンに払って貰うのは…なんだろう。
プライドが許さない。
歳上だから、って程でもないけど…
対等でいたい。
僕もNoだ。
「絶対後で払う。
なんなら僕が会計する。」
「…ジン。誕生日なんだから。
これくらい出させて。
あ、そうそう、これ仕事で来たから、
業務上?けいひ?だし…」
「そうかもしれないけど、
僕が一緒だからこの広さなんだろうし、
僕の誕生日じゃなくても
ココに予約してたんだろ?
言ってたでしょ、半分払うって。」
「…聞いてない。」
「言ったよ。
ジョンが全然耳に入れてなかったんだよ。」
「じゃあ!聞いてたとしても、
誕生日は後から知ったとしても、
ココは誕生日プレゼントに含まれます。
以上。……ほら。」
重厚な石造りの柵に肘をつき、僕を隣に招く。
現実的な話はキッチリ断られ、軽く流され、甘く隣に呼ぶジョン。
そうして自然とジョンが纏う居心地の良い空気に包まれる。
ムードを作るのが上手なのか、ジョンの雰囲気で自然にムードが出るのか…
…こなしがスムーズな時は、慣れてるな…って腹が立つ事も多いけど、もしかしたら違うのかもしれない。
ただ素直な行動なのかもしれない。
だんだんジョンを信じれてる。
愛してる量が多くなる。
自分もだんだん愛せてくるから不思議。
ジョンが僕の手からグラスを抜き、近くのテーブルに置いた。
顎を少し持ち上げられ、首の後ろにも手を添えられ、固められた角度。
ジョンが伏し目がちにキスを落としてきたらもう止まらない。
僕も唇と舌でジョンのキスを受け入れる。
少しシャンパンと僕が作ってきたマカロンの風味もする。
ジョンがいろんな角度でキスしてくるから口は顎までもう蕩けてる。
ジョンは僕のズボンに手をかけて来て…
さすがにここでする勇気は無い。
「…ダメ。
ベッドに…シャワーも浴びたい…」
キスの合間にジョンの手を抑えてお願いするけど…
「ベッドまで辿り着けるかなー
…シャワーまでは…無理かなー」
低い声で歌うように囁かれると、止まらないキスと同時に身体中を弄る手が競争してるのかって程お互い激しくなった。
もっと、もっと。
ジョンがもっと欲しい。
どうにか僕は逃げるように、ジョンは獲物を追い詰めるように、鋭い視線の合間合間に笑みを浮かべながら…
キスも弄る手も止める事無く部屋へ入った。
服は次々と床に落とされ、僕も落とす。
明るい最初の部屋から奥へ進むと、ベッドルームは丁度いい暗さ。
ベッドに辿り着いたらお互い裸。
「…俺がギフト…
全てあげるって言ったけど…
とりあえず…ジンが望む事と
俺がしたい事一緒だといいな…」
…多分一緒……それ以上かも。
いつもそうなのに、ムードにも充てられて更に感じてるし…
すでに全身蕩けてる僕を一気に口に含んだグク。
「…っ!ジョッ!ン…!」
僕は名前だけ読んで伝える。
言葉の返事は咥えていて出来なくてもジョンが指でいつもの場所を弄り出す。
そう、欲しがる僕の訴えと分かってるっていう返事。
ジョンが沢山の枕に寄りかかり座った体制の上に僕が乗る。
下から勢い良く動くジョン。
その度に反応する僕はどうにか耐える…何度も。
ジョンを見れば僕の様子を見て楽しんでるのが分かる。舌で唇舐めてるし…
わざとじゃないけどジョンを見て胸も…いろいろな箇所が締まる。
連鎖でジョンの表情も歪んで気持ち良さそうに目を瞑って唇を噛んだ。
僕と一緒にグクも更に反応する。
繰り返し。
何度も。
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