魔法なきこの世界で……。

怠惰な雪

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幼少期

ルイスとクリス

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 初めてルイスと会ったその次の日から二人は遊ぶようになった。クリスの家では毎日トランプやミニゲームなどで遊び、俺の家では本を読んだりしていた。
 
 そんな中俺は転生についても色々調べていた。

 「ねぇ、ねぇ、今何やってんの?」とクリスが聞いてきた。いつの間にか家に来ていたらしい。

 「あぁ、ちょっと色々調べてて……。そうそうついさっき少し面白いことがわかったんだ」
 
 今この世界の地理を調べていた。純血民族側の土地は肥えていることは知っていたがその理由がわかったのだ。

「これは火山の分布が記された地図だけど……。」
 
 火山は純血民族側多く存在しているのに対し、混血民族側には火山はあまり見られない。おそらくもともとサンゴ礁によって作られた島が海底火山の噴火により大きくなり今の形になったのではと考察したと伝えた。火山灰で作られた土壌は農業に向いているとどこかで聞いたことがある。

 「なるほど。たしかにそうかもしれないね。いつか調査とかやってみたいね。」と笑顔で言ってきた。時々こいつの中身が男であることを忘れてしまう。

 そんな生活を毎日続けていた。以前感じていた前の世界での心残りもクリスと会ったことにより消え失せ、ルイスとして第二の人生を満喫していた。

 そんな生活がずっと続くと思っていた。









 埃っぽい室内の中でじっと座りながら昔のことを思い出していた。
 
 クリスと遊んでいた頃が一番楽しかったのだろう。あの時代がいわば人生の春だった。
 
 今でもクリスのことを考えるとニヤける。いやのこと考えると……。
 
 そしてまた少し考え始めた。私の最初の間違いはやはりあそこだったのだろうと。

 そうあの日だった。あの日から私の大罪は始まっていたのだ。
 
 それはルイスが10歳になって少し経った春の日だった。
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