魔法なきこの世界で……。

革命編

反抗

　地獄のような音が鳴り止んだ後、周りを見渡す。そこには、最早、人と呼べない肉塊が転がっていた。

「あぁ、カルストも、エウロパも、みんなが……。許せない！」

　私と物陰に隠れていたイオが勢いよく飛び出す。見ると、もう剣を抜いていた。

　相手がイオを見つけると、イオに向かってあの筒を構えた。

「覚悟しろ！」

　そして、またあの女のこう呟いた。

「撃て」

　そして、また火花が散る。

　イオは飛んでくる弾をものすごい速さで避け、前に進んでいく。

　そして、建物の外階段に飛び乗り、屋根に登っていく。

　そして、そこにいた男を斬りつける。

　男のちいさな悲鳴に合わせて血飛沫が飛び散り、イオの剣が赤く染まった。

　また、相手が筒を構える。そして、また「撃て」の合図の後に一斉に火花が飛ぶ。

　イオはさっき斬りつけた男を盾にして、どんどん前に進んでいく。

　そして、やっとイオはあの女、エラの前に躍り出る。

　そして、素早く剣を突き立てようと剣に力を込める。

　あともう少しだ、もう少しで……。

「撃て」

　その時、あの女の後ろにいた男が構えた筒から、また火花が散り、イオの体から、血が吹き出す。

「ぐぇ……。」

そして体に力が入らなくなったイオはその場に立ち尽くす。

「惜しかったな。」

そう言って、あの女はイオを屋根から突き落とした。