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揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》
揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》17
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ロアの左足に向けた銃口を右足に動かそうとしたがピクリとも動かない……いや、腕だけじゃない。足も地面に杭でも打たれたのかと錯覚するくらい全く動かすことができない、胴体もだ。
まるで、金縛りにでもあったかのようにアタシの全身は膠着してその場から動けなくなってしまった。
「きひ……!そう、その位置!」
苦悶の表情をしていたはずのロアがニヒルな笑いを浮かべてゆっくりとその場から立ち上がった。
立ち上がったロアから逃げようとしてアタシは身体を動かそうとしたが、どの方向に動かしてもダメだった。全身を何かが絡みつくようにして抑えつけているような感覚。そこでようやくアタシはそれがなんなのか理解した。
「これは……糸!?」
「ご名答……!」
ロアはそう言いながらゆっくりと近づき、動けなくなったアタシを嘲笑うかのように軽く拍手をした。
今のアタシは全身に半透明のほぼ不可視の糸が巻き付いて身体の身動きが取れない状態なのだ。
「クッ!?」
バンッ!バンッ!
腕はダメでも指は動かすことができたのでアタシは銃を撃つが────
「ダメダメ、適当は良くないな……!」
ロアは銃口から身体を躱しつつ右手をクッ!と握り、その大きな胸に沈み込ませるように手を引いた。
「なッ!?」
その瞬間、指まで動かなくなってしまった。
「どお……?私の隕石の糸の威力は?一歩も動くことができないでしょ?あーダメダメ、そうやって無理に動こうとするとドンドン身体に食い込んでもっと痛い思いをするよ?」
顔をすれすれの位置まで近づけてきたロアにアタシが食って掛かろうとしたが、口は動かせても首は前に動かすことができず攻撃が不発に終わる。
「それにその程度じゃこの糸は切れない。ダーウィンズ・ダーク・スパイダーって種類の蜘蛛の糸、ケプラー10倍以上の強度を誇るものに、特殊加工した隕鉄製の糸を縒り合わせたアタシの傑作よ。セイナがどれだけ足掻こうとこの糸は切れないわ……それにちょっと力を入れるだけでね────」
「ぐぅ……ぁぁ!!」
ロアがくいッと目の前で黒い指ぬきグローブをはめた手を動かした瞬間アタシの身体が締め付けられ、全身に鋭い痛みが走った。
腕や胸、太腿やお尻などのアタシの身体の柔らかい部分に無数の糸が深く食い込んでくる。
最早それは糸と言うよりも太い金属ワイヤーで抑えつけられているのではないかと錯覚するくらい強い力だった。
アタシが痛みで苦悶な表情を浮かべる中、それを見たロアは機嫌良さそうにニヤニヤしながら下から覗き込んでくる。
「あれあれ~立場が逆転しちゃったね~さっきの威勢はどうしたのかな~?」
「くぅ……!」
耳元で囁くようにロアは静かにそう言ってから懐から一本のあのクナイ式のナイフを抜いた。
刃とは反対の柄の部分の先に丸い穴の開いたそれを見たアタシはその正体に気付いた。
その輪の部分に半透明の糸が巻き付いていることに。
よく見ると今の位置はアタシがさっきロナが投擲してきた二つのクナイ式ナイフを弾いた場所。コンクリートの地面に突き刺さっていたナイフ同士のちょうど間の位置だった。
動けなくなっているフォルテの周りにも同様に複数のナイフが突き刺さっていることから、多分ロアはそのナイフを使って隕石の糸を張り巡らせることで動きを封じてきたのだろう。
糸を操る際に手を動かしていることから黒い指ぬきグローブも、隕石の糸を使うために為に必要なものだったというわけね……
そして、さっきフォルテの言っていた「ヤツはナイフを使って、い」と言っていたのは恐らく……「ナイフを使って糸を操って攻撃してくる」とでも言いたかったのだろう。
流石に迂闊だったわ。
多分ロアが弾切れの時に見せたあの焦りの表情もアタシをこの位置におびき寄せるための演技。
完全にしてやられた。
いけると思ってついアタシは相手の武器をしっかり見定めることなく勝負を急いでしまったのだ。
どうやら焦っていたのはアタシの方だったみたいね……
「良い表情……!もっと見たいな~セイナが苦しむ表情……!」
ベルゼといい、サディストに好かれる表情をしているらしいアタシを見たロアは、抜いたナイフをくるくる指で弄んだあと、あろうことかそのままアタシに突き刺そうとしてきた。
トレーニングルームの少し薄暗い天井灯に照らされ、妖しく光り輝いた銀色のナイフがアタシの腹部の辺りに近づいてくる。
殺人鬼のような爛々としたロアのその様子から、殺意を感じたアタシは眼を見開いた。
本気で刺す気だわ────!
その攻撃を躱そうとしたが────動けない。
一歩も動けないアタシに、銀色のナイフが突き刺さろうとしていた。
ヤバい……!刺される────!
……バンッ!
ピタッと、ナイフがアタシの腹部を軽く押し当てた位置で止まった。
尖った感触は伝わってきてるけど……良かった、まだ突き刺さってはいない。
「ッ!」
ナイフを寸前で止めたロアは後方を振り向き、銃声のした方を目掛けて持っていたナイフを投擲した。
バンッ!バンッ!バンッ!
HK45ハンドガンの銃声が鳴り響く。フォルテが片膝の状態で右腕だけでこちらに向かって銃を撃ったのだ。
アタシがさっき身体を固定されて動けなくなった時に放った銃弾。ロアは適当と言っていたが、あれは直接ロアを狙ったのではなく、後方で動けなくなっていたフォルテの身体に巻き付いた隕石の糸を断ち切るために放った銃弾だった。
二発放った銃弾の内、何とか一発命中したおかげでフォルテは右腕だけを動かせるようになり、銃を撃つタイミングを見計らっていたのだ。
そして、絶好のタイミングと見て放たれた銃弾は────
ナイフどころかロアにすら当たらずに逸れていく。
外した……!?
「クソッ!」
フォルテは悪態をつきながら、飛んできたナイフを右腕を振るって弾いた。
弾いたナイフがフォルテの近くにまた突き刺さる。
「何処狙ってるのかな……隊長……!」
ロアは高らかにそう叫んでからクイッと右腕を胸元で握る。
「グッ……!」
フォルテの腕が真上に跳ね上げられた。
隕石の糸で再び拘束し直したらしい。
「隊長……本当に腕が落ちたね……?それじゃあ引きこもりのアイツのこと笑えないよ?」
自分のもう一つの人格を引きこもりと揶揄しつつ、ケラケラと笑いながらロアは肩を竦めて見せた。
それに対しフォルテは────
「ふっ……!それはお前じゃないのか?」
「なんですって?」
ロアは訝し気な表情を浮かべた。
「確かに大昔の俺だったら普通に今の射撃でお前を撃って終わらせていたかもしれない。だが今は射線上に味方がいたからな……こうしたのさッ!」
「ッ!?」
ロアの近くに転がっていたグングニルの二つが宙に浮いて後方に跳んでいく姿を見たことで察したのだろう。フォルテの銃弾でアタシが完全に動けるようになっていたことに────
「はぁぁぁぁ!!」
ガチンッ!二つの槍を繋ぎ合わせて一本の状態に戻したグングニルをアタシは構えてその銀髪の頭目掛けてコンクリートの地面を蹴っていた。
「……ッ!!」
さっきとは明らかに違う演技ではない本当に焦った表情を見せたロアは、アタシから離れるように隕石の糸を使ってふんわりと身体を浮かせて後方に大きく跳躍する。
逃がさない……!
アタシも同じように跳躍してロナに接近する。
バタバタと羽のように揺れる銀のツインテール目掛けてアタシの金のポニーテールが一筋の光になって空中を翔ける。
「このッ……!」
ロアは黒い指ぬきグローブを付けた両手を胸の前に向けて突き出した。
途端、隕石の糸がアタシの周りを螺旋状に囲むようにして展開され、空中で身体を拘束しにかかっていた。
「セイナッ!」
その様子を見たフォルテが心配したようにアタシの名前を呼んだ。
確かに空中では逃げ場はない。だからアタシは自分の体幹を生かして身体を回転させた。
「これで終わりだ……!」
ロアは両手を握りながら、バツの字を作るように腕を交差させてその豊満な胸に押し当てた。
螺旋状に展開されていた隕石の糸がアタシの全身を締め付けようとした。
トレーニングルームの照明が一瞬だけ暗転した。
「な、何故……!?」
ロナのハニーイエローの猫目の瞳が見開かれる。
直ぐに明転した視界の先、アタシに糸は巻き付いていなかった。
巻き付くどころか、隕石の糸の作る螺旋のトンネルは一度も閉じることなく、その中で回転していたアタシの速度はどんどん上昇していく。
「はッ……!」
ロアはアタシの身体に電流のようなものが流れてバチバチと音を立てていたことに気づいたのだろう。
アタシは神の加護で身体に電撃を応用して磁界のようなものを身体から発生させていた。この磁界は普段アタシがグングニルを引き寄せる時に使うものと一緒なのだけど、全身で使うのは初めてだから上手くできるか分からなかったが、特に問題なく使うことができた。
その磁界を纏ったまま、隕鉄を含んだと言っていた糸、つまりは金属の糸である|隕石の糸《ミーティアスレッド中で身体を回転させたアタシは、磁石で回転する磁界モーターと同じ要領で交互にS極とM極を入れ替えることによって巻き付こうとしていた糸を反発させていたのだ。
そんなこと、当たり前だが一度もやったことなかったが、何とか糸のトンネルを抜けたることのできたアタシは、その磁力で回転した勢いを乗せた一撃をロアに向かって振り落とした。
「せやぁぁぁぁ!!」
「ぐッ!きゃあッ!!」
ロアは素早く懐から引き抜いたクナイ式ナイフで斬撃を受け止めたが、勢いに負けて空中から叩き落され、初めて女の子らしい悲鳴を上げながら地面に叩きつけられた。
ていうか、アンタ何本ナイフ持っているのよ……?
「クソッ!この……馬鹿力め……!」
二回地面でバウンドしたロアは悪態をつきながら何とか態勢を立て直したが、相当効いたのか立ち上がることができずに片膝を着いたまま動けなくなっていた。
すかさずアタシはロアに向かって空中から舞い降りながらグングニルを振り落とそうとしていた。
ロアは痛みでその場から動けなかったので、右手を真横に突き出し、地面に転がっていたベネリM4を糸で自分の手元に手繰り寄せてからアタシに向けた。
「よせッ!二人ともッ!!」
ほぼ決着のついたアタシ達が戦闘を止めないにこと気づいたフォルテが、大声でそう呼びかけていたがもう遅い。
その時の声がアタシに自身、聞こえていたのか聞こえていなかったのかは分からないが、アタシもロアも互いを仕留めようとして完全に自分の世界に入り込んでしまっていた。
「はぁぁぁぁ!!」
「はぁぁぁぁ!!」
グングニルを振り落とすアタシとショットガンを構えるロナが声を上げながら互いに交錯した。
キーンッ!!
ダンッ!!
鋭い金属音と重い銃声の後、トレーニングルームに静寂が木霊した。
まるで、金縛りにでもあったかのようにアタシの全身は膠着してその場から動けなくなってしまった。
「きひ……!そう、その位置!」
苦悶の表情をしていたはずのロアがニヒルな笑いを浮かべてゆっくりとその場から立ち上がった。
立ち上がったロアから逃げようとしてアタシは身体を動かそうとしたが、どの方向に動かしてもダメだった。全身を何かが絡みつくようにして抑えつけているような感覚。そこでようやくアタシはそれがなんなのか理解した。
「これは……糸!?」
「ご名答……!」
ロアはそう言いながらゆっくりと近づき、動けなくなったアタシを嘲笑うかのように軽く拍手をした。
今のアタシは全身に半透明のほぼ不可視の糸が巻き付いて身体の身動きが取れない状態なのだ。
「クッ!?」
バンッ!バンッ!
腕はダメでも指は動かすことができたのでアタシは銃を撃つが────
「ダメダメ、適当は良くないな……!」
ロアは銃口から身体を躱しつつ右手をクッ!と握り、その大きな胸に沈み込ませるように手を引いた。
「なッ!?」
その瞬間、指まで動かなくなってしまった。
「どお……?私の隕石の糸の威力は?一歩も動くことができないでしょ?あーダメダメ、そうやって無理に動こうとするとドンドン身体に食い込んでもっと痛い思いをするよ?」
顔をすれすれの位置まで近づけてきたロアにアタシが食って掛かろうとしたが、口は動かせても首は前に動かすことができず攻撃が不発に終わる。
「それにその程度じゃこの糸は切れない。ダーウィンズ・ダーク・スパイダーって種類の蜘蛛の糸、ケプラー10倍以上の強度を誇るものに、特殊加工した隕鉄製の糸を縒り合わせたアタシの傑作よ。セイナがどれだけ足掻こうとこの糸は切れないわ……それにちょっと力を入れるだけでね────」
「ぐぅ……ぁぁ!!」
ロアがくいッと目の前で黒い指ぬきグローブをはめた手を動かした瞬間アタシの身体が締め付けられ、全身に鋭い痛みが走った。
腕や胸、太腿やお尻などのアタシの身体の柔らかい部分に無数の糸が深く食い込んでくる。
最早それは糸と言うよりも太い金属ワイヤーで抑えつけられているのではないかと錯覚するくらい強い力だった。
アタシが痛みで苦悶な表情を浮かべる中、それを見たロアは機嫌良さそうにニヤニヤしながら下から覗き込んでくる。
「あれあれ~立場が逆転しちゃったね~さっきの威勢はどうしたのかな~?」
「くぅ……!」
耳元で囁くようにロアは静かにそう言ってから懐から一本のあのクナイ式のナイフを抜いた。
刃とは反対の柄の部分の先に丸い穴の開いたそれを見たアタシはその正体に気付いた。
その輪の部分に半透明の糸が巻き付いていることに。
よく見ると今の位置はアタシがさっきロナが投擲してきた二つのクナイ式ナイフを弾いた場所。コンクリートの地面に突き刺さっていたナイフ同士のちょうど間の位置だった。
動けなくなっているフォルテの周りにも同様に複数のナイフが突き刺さっていることから、多分ロアはそのナイフを使って隕石の糸を張り巡らせることで動きを封じてきたのだろう。
糸を操る際に手を動かしていることから黒い指ぬきグローブも、隕石の糸を使うために為に必要なものだったというわけね……
そして、さっきフォルテの言っていた「ヤツはナイフを使って、い」と言っていたのは恐らく……「ナイフを使って糸を操って攻撃してくる」とでも言いたかったのだろう。
流石に迂闊だったわ。
多分ロアが弾切れの時に見せたあの焦りの表情もアタシをこの位置におびき寄せるための演技。
完全にしてやられた。
いけると思ってついアタシは相手の武器をしっかり見定めることなく勝負を急いでしまったのだ。
どうやら焦っていたのはアタシの方だったみたいね……
「良い表情……!もっと見たいな~セイナが苦しむ表情……!」
ベルゼといい、サディストに好かれる表情をしているらしいアタシを見たロアは、抜いたナイフをくるくる指で弄んだあと、あろうことかそのままアタシに突き刺そうとしてきた。
トレーニングルームの少し薄暗い天井灯に照らされ、妖しく光り輝いた銀色のナイフがアタシの腹部の辺りに近づいてくる。
殺人鬼のような爛々としたロアのその様子から、殺意を感じたアタシは眼を見開いた。
本気で刺す気だわ────!
その攻撃を躱そうとしたが────動けない。
一歩も動けないアタシに、銀色のナイフが突き刺さろうとしていた。
ヤバい……!刺される────!
……バンッ!
ピタッと、ナイフがアタシの腹部を軽く押し当てた位置で止まった。
尖った感触は伝わってきてるけど……良かった、まだ突き刺さってはいない。
「ッ!」
ナイフを寸前で止めたロアは後方を振り向き、銃声のした方を目掛けて持っていたナイフを投擲した。
バンッ!バンッ!バンッ!
HK45ハンドガンの銃声が鳴り響く。フォルテが片膝の状態で右腕だけでこちらに向かって銃を撃ったのだ。
アタシがさっき身体を固定されて動けなくなった時に放った銃弾。ロアは適当と言っていたが、あれは直接ロアを狙ったのではなく、後方で動けなくなっていたフォルテの身体に巻き付いた隕石の糸を断ち切るために放った銃弾だった。
二発放った銃弾の内、何とか一発命中したおかげでフォルテは右腕だけを動かせるようになり、銃を撃つタイミングを見計らっていたのだ。
そして、絶好のタイミングと見て放たれた銃弾は────
ナイフどころかロアにすら当たらずに逸れていく。
外した……!?
「クソッ!」
フォルテは悪態をつきながら、飛んできたナイフを右腕を振るって弾いた。
弾いたナイフがフォルテの近くにまた突き刺さる。
「何処狙ってるのかな……隊長……!」
ロアは高らかにそう叫んでからクイッと右腕を胸元で握る。
「グッ……!」
フォルテの腕が真上に跳ね上げられた。
隕石の糸で再び拘束し直したらしい。
「隊長……本当に腕が落ちたね……?それじゃあ引きこもりのアイツのこと笑えないよ?」
自分のもう一つの人格を引きこもりと揶揄しつつ、ケラケラと笑いながらロアは肩を竦めて見せた。
それに対しフォルテは────
「ふっ……!それはお前じゃないのか?」
「なんですって?」
ロアは訝し気な表情を浮かべた。
「確かに大昔の俺だったら普通に今の射撃でお前を撃って終わらせていたかもしれない。だが今は射線上に味方がいたからな……こうしたのさッ!」
「ッ!?」
ロアの近くに転がっていたグングニルの二つが宙に浮いて後方に跳んでいく姿を見たことで察したのだろう。フォルテの銃弾でアタシが完全に動けるようになっていたことに────
「はぁぁぁぁ!!」
ガチンッ!二つの槍を繋ぎ合わせて一本の状態に戻したグングニルをアタシは構えてその銀髪の頭目掛けてコンクリートの地面を蹴っていた。
「……ッ!!」
さっきとは明らかに違う演技ではない本当に焦った表情を見せたロアは、アタシから離れるように隕石の糸を使ってふんわりと身体を浮かせて後方に大きく跳躍する。
逃がさない……!
アタシも同じように跳躍してロナに接近する。
バタバタと羽のように揺れる銀のツインテール目掛けてアタシの金のポニーテールが一筋の光になって空中を翔ける。
「このッ……!」
ロアは黒い指ぬきグローブを付けた両手を胸の前に向けて突き出した。
途端、隕石の糸がアタシの周りを螺旋状に囲むようにして展開され、空中で身体を拘束しにかかっていた。
「セイナッ!」
その様子を見たフォルテが心配したようにアタシの名前を呼んだ。
確かに空中では逃げ場はない。だからアタシは自分の体幹を生かして身体を回転させた。
「これで終わりだ……!」
ロアは両手を握りながら、バツの字を作るように腕を交差させてその豊満な胸に押し当てた。
螺旋状に展開されていた隕石の糸がアタシの全身を締め付けようとした。
トレーニングルームの照明が一瞬だけ暗転した。
「な、何故……!?」
ロナのハニーイエローの猫目の瞳が見開かれる。
直ぐに明転した視界の先、アタシに糸は巻き付いていなかった。
巻き付くどころか、隕石の糸の作る螺旋のトンネルは一度も閉じることなく、その中で回転していたアタシの速度はどんどん上昇していく。
「はッ……!」
ロアはアタシの身体に電流のようなものが流れてバチバチと音を立てていたことに気づいたのだろう。
アタシは神の加護で身体に電撃を応用して磁界のようなものを身体から発生させていた。この磁界は普段アタシがグングニルを引き寄せる時に使うものと一緒なのだけど、全身で使うのは初めてだから上手くできるか分からなかったが、特に問題なく使うことができた。
その磁界を纏ったまま、隕鉄を含んだと言っていた糸、つまりは金属の糸である|隕石の糸《ミーティアスレッド中で身体を回転させたアタシは、磁石で回転する磁界モーターと同じ要領で交互にS極とM極を入れ替えることによって巻き付こうとしていた糸を反発させていたのだ。
そんなこと、当たり前だが一度もやったことなかったが、何とか糸のトンネルを抜けたることのできたアタシは、その磁力で回転した勢いを乗せた一撃をロアに向かって振り落とした。
「せやぁぁぁぁ!!」
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ロアは素早く懐から引き抜いたクナイ式ナイフで斬撃を受け止めたが、勢いに負けて空中から叩き落され、初めて女の子らしい悲鳴を上げながら地面に叩きつけられた。
ていうか、アンタ何本ナイフ持っているのよ……?
「クソッ!この……馬鹿力め……!」
二回地面でバウンドしたロアは悪態をつきながら何とか態勢を立て直したが、相当効いたのか立ち上がることができずに片膝を着いたまま動けなくなっていた。
すかさずアタシはロアに向かって空中から舞い降りながらグングニルを振り落とそうとしていた。
ロアは痛みでその場から動けなかったので、右手を真横に突き出し、地面に転がっていたベネリM4を糸で自分の手元に手繰り寄せてからアタシに向けた。
「よせッ!二人ともッ!!」
ほぼ決着のついたアタシ達が戦闘を止めないにこと気づいたフォルテが、大声でそう呼びかけていたがもう遅い。
その時の声がアタシに自身、聞こえていたのか聞こえていなかったのかは分からないが、アタシもロアも互いを仕留めようとして完全に自分の世界に入り込んでしまっていた。
「はぁぁぁぁ!!」
「はぁぁぁぁ!!」
グングニルを振り落とすアタシとショットガンを構えるロナが声を上げながら互いに交錯した。
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