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【番外編&おまけ】
番外編:王立茶葉研究所設立秘話 その3/ディアナ様、大変お怒りになる。
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「……ア?……ホ?」
ディアナの罵倒に呆気にとられたその場の全員。エドワード王子は今の言葉が自分に向けられた物なのかを確認するように、一音ずつ発します。
「アホや! お茶が勿体ないやろ、このど阿呆!! 大体五種類て! そんなん飲みきれるわけないやろ! セオドア様を見てみい! 二種類の三人分をいちいち毒見しとるから、もう既にお腹がたっぽんたっぽんになっとるやないか!!」
怒りのあまり勢い良く立ち上がり、啖呵を切りながらセオドアを指差すディアナ。ぽかんとしたままディアナを見つめる王子と一同。
唯一、矛先が自分に向かったセオドアは先んじて自分を取り戻し、ディアナの変貌ぶりに驚きつつも事を収めようと口を開きます。
「い、いえ、ディアナ様。これくらいは侍従として当然ですから」
「はぁ!? セオドア様もアホちゃうか!? いくら侍従かて無理なもんは無理とハッキリ言わんとあかんやろ!」
「お嬢様、落ち着いて……」
とりなそうとするドロランダにも噛みつくディアナ。
「だって! もしドロランダが同じ目におうたら無理て言うやろ? こんなん途中でトイレに行くにきまっとるやん! その間誰が毒見をするん? 殿下を守れるん!?」
「いえ、私どもはそれくらいは我慢できま……」
「我慢したら病気になるやろ! もっとアホなん!?!?」
顔を赤くし、少しだけ涙目でキッと見上げるディアナの顔を見てドロランダは降参しました。この小さなご主人様は、本当に下の者の健康まで心配して怒ってくれているのです。
「……そうですね。少しだけ、無茶だったかもしれません」
優しい顔で見つめ、肯定するドロランダにディアナの勢いが削がれました。怒った顔から悲しそうになります。
「……それに、本当にお茶が勿体ないわ。こないだドロランダと馬車の中で話したやろ? 『古都』のお茶は質もええけどそれ以上にええ値段がするて」
「……値段?」
目を白黒させて無言だったエドワード王子の口から、やっと言葉がこぼれます。ディアナは彼に向かって冷たい目を向けました。
「せや。『古都』は『古の帝の一族』の領地や。不可侵の地の代わりに『朝廷』やら教会やらへの寄付と、観光、それに着るもんやお茶の輸出で成り立っとる……って殿下なら知っとるやろ?」
「あ、ああ……」
「せやから領外に売る時にはお茶の値段をつりあげとるんやって。シゾーカはカンサイから遠いのを見越して、絶妙な値付けをしとるらしい。ええ商売しとるわ~……てオカンやオカンの友達が言うてたの。お客様に出すお茶は高級な『古都』産が最適やけど、普段使いのお茶はそない高いもの使う必要がないからウチはワキャーマから安い茶葉を仕入れようと思てんのに、王宮ではこないな無駄遣いして……見損なったわ!」
「え……みそこ」
王子が青くなり呟いたのをフォローするつもりか、セオドアとドロランダが被せぎみにディアナに言います。
「お嬢様、無駄遣いは言い過ぎですわ。王族が国を把握するために各地から食材を集めることも、紅茶の専属侍女を雇うことも良くある話ですし!」
「恐れながら申し上げますが、殿下はディアナ様に喜んで頂きたくてこの様な趣向を凝らしたのです」
しかしディアナは揺るぎません。
「だって! 以前私が訊いた時に言うてたもん!『領民や国民から税金で得たお金を自分の贅沢のためだけに使うんと、巧く活かして増やしたり国を豊かにするために使うんやったら、後者しかない』て! 殿下の嘘つき!」
「「「!!」」」
「こんなん、私の為て言い訳したって……どう考えても無駄遣いの贅沢や。私……私、殿下だけは他の貴族の子ぉと違うと思てたのに……そんな所が良いと思ててん……」
最後は消え入りそうな声で呟き、下を向くディアナ。その様子に呆然として言葉が出ない王子とその侍従。その横でドロランダはディアナに歩み寄り、ドレスを鷲掴みにしていた両手をそっと開かせて自分の手で包み、優しく話しかけます。
「そうですね。殿下のお気持ちは嬉しいですけれど、この方法はお嬢様の意に沿わないですものね。でも、ここにいる皆の利益になれば無駄遣いの贅沢にはならないのでは?」
「……え?」
「ちょっとお耳を」
ドロランダがディアナにこそこそと内緒話をするにつれ、ディアナの表情がみるみる内に明るくなり目がキラキラと輝きます。
「これならいかがですか?」
「うん! 流石ドロランダ!」
「では、大変恐れながら殿下、こういうアイデアはいかがでしょう……?」
ドロランダの提案にエドワード王子とセオドアは驚きました。
~・~・~・~・~
「本当に良いのですか……?」
若干狼狽して言うセオドアに、ディアナはにっこりとして応えます。
「お願いします。もう始めてええよ?」
ディアナの言葉に、先程の三人の侍女のうち一人がお茶を淹れます。ただし、先程と違って用意されたのは15個のカップ。そこに1個辺り4分の1杯程度の量の紅茶を分けて注いでゆきます。
注ぎ終わると、そこに王子とディアナが近づきます。
「私、これ! 殿下はどれにするん?」
「うむ……これかな」
二人が選び出した紅茶をセオドアとドロランダがそれぞれ手に取り、なんとテーブルの上にあった二人の空のカップにパシャリとあけました。
そしてセオドアとドロランダ自身も空のカップを持って紅茶が並んだ所に近づき、好きな紅茶を選んで自分のカップに移し替えます。
「皆も、同じように」
王子のかけ声に、その部屋にいた全員(7人の侍女と、3人の護衛、1人の従者―――――――全員が空のカップを持たされています)がピクリとしましたが、皆顔を見合わせながら躊躇っています。
ディアナがそこに声をかけます。
「皆、私のわがままに付き合わせてごめんな。あっ、あと移し替えるなんてマナー違反やと思うけど、ここだけの秘密にしてくれる?」
人形のような美少女が胸の前で手を組み、悪戯っぽく小首を傾げてお願いをする様子は効果抜群だったようで、皆慌てながら肯定します。
「いえっ、殿下やディアナ様と同じお茶が飲めるなんて光栄です!」
「このような形になったのは、全員分のカップが用意できなかった為ですので仕方ありません!」
「そう? 皆優しいなぁ。さっ、お茶が冷めない内に選んで!」
残りの11杯から、皆紅茶を選んで自らのカップに移しました。全員が少量の紅茶が入ったカップを手に持ったのを確認して王子が音頭を取ります。
「一人目の茶だ。飲むぞ」
その部屋に居る全員が一斉に紅茶を飲みます。
「旨い……!」
「こんなに美味しいお紅茶、はじめて!」
護衛や従者、お茶以外を担当していた侍女は紅茶を飲んで口々に感激します。
ディアナはドロランダと微笑みを交わしました。
「では二人目の者、茶を淹れろ」
王子の命令に二人目の侍女も同じように15個のカップに少量のお茶を注ぎ、またもディアナと王子が一番最初にお茶を選んで先程飲んでいた自分のカップに移し替えて貰います。
ドロランダのアイデアはこうです。
『このサロンに居る全員にお茶を振る舞い、三人の侍女の中で誰が一番上手かを多数決で決める。元々毒見分を含め4人分のお茶を淹れる予定だったが15人で割れば一人辺り4分の1杯程度の量になる。それなら何回か飲んでも皆の負担にならないし、その少量かつ沢山のカップの中で王子やディアナを狙って毒を入れることは極めて難しくなるから、毒見も必要ないし、皆でお茶を楽しめる。お茶が無駄にもならない』
しかし15人分×三人の侍女×残り三種類の茶葉ではカップの数が膨大になるため、やむを得ず、都度各自の手持ちのカップに移し替えて飲むというお行儀の悪いことになってしまったのです。
この様な行為を王宮の女官長等に知られれば大目玉を喰らう事でしょう。
三人の侍女が淹れた紅茶を順番に飲んでから全員で多数決を取ります。票は割れましたが、今まで選ばれなかった侍女が一番票を集めました。
「次の茶葉は古都・ミヤコの最高級品だ」
四種類目の紅茶の味と香りに皆、うっとりと至福の時を楽しみました。お菓子も皆で少しづつ分けて食べ、侍女は勿論、意外なことに強面の護衛達も幸せそうにしています。終始和やかな雰囲気でお茶会は続き、楽しそうなディアナを見て王子の顔にも笑みがこぼれました。
この茶葉ではあの、涙目だった侍女が一番だと多数決で決まりました。
「では最後の茶葉を」
侍女がお茶を淹れると、ふわりと爽やかな香りが辺りに広がります。
「これは……!」
ディアナと王子の目が合うと、エドワード王子はとても嬉しそうに目を細めます。
「そう、シゾーカ産の特製だ」
淹れられたお茶はオレンジの香りのする紅茶でした。茶葉に乾燥させたオレンジの皮や果肉が混ざっているのです。
全てのお茶を飲み終えて多数決を取ると、眉間にシワがあった侍女が多数を取りました。
「ほう。2回ずつ選ばれた者がふたりか。どちらを紅茶専属侍女にするかな……ディアナ、お前は五種類の中でどの紅茶が一番旨かったか?」
ディアナはふたりを見ました。一人は眉間にシワがくっきりと入り、一人はぷるぷると震えています。相当緊張している様です。
(私の好みなら四番目の古都産やけど……でも最後のオレンジの香りをつけたのも捨てがたいなぁ。流石シゾーカ産……あれ?)
ディアナは自分の思い付きをどうしても確かめたくなり、思いきって王子に尋ねました。
「殿下……失礼やけど、この二人の身元は確かなんよね?」
ディアナの罵倒に呆気にとられたその場の全員。エドワード王子は今の言葉が自分に向けられた物なのかを確認するように、一音ずつ発します。
「アホや! お茶が勿体ないやろ、このど阿呆!! 大体五種類て! そんなん飲みきれるわけないやろ! セオドア様を見てみい! 二種類の三人分をいちいち毒見しとるから、もう既にお腹がたっぽんたっぽんになっとるやないか!!」
怒りのあまり勢い良く立ち上がり、啖呵を切りながらセオドアを指差すディアナ。ぽかんとしたままディアナを見つめる王子と一同。
唯一、矛先が自分に向かったセオドアは先んじて自分を取り戻し、ディアナの変貌ぶりに驚きつつも事を収めようと口を開きます。
「い、いえ、ディアナ様。これくらいは侍従として当然ですから」
「はぁ!? セオドア様もアホちゃうか!? いくら侍従かて無理なもんは無理とハッキリ言わんとあかんやろ!」
「お嬢様、落ち着いて……」
とりなそうとするドロランダにも噛みつくディアナ。
「だって! もしドロランダが同じ目におうたら無理て言うやろ? こんなん途中でトイレに行くにきまっとるやん! その間誰が毒見をするん? 殿下を守れるん!?」
「いえ、私どもはそれくらいは我慢できま……」
「我慢したら病気になるやろ! もっとアホなん!?!?」
顔を赤くし、少しだけ涙目でキッと見上げるディアナの顔を見てドロランダは降参しました。この小さなご主人様は、本当に下の者の健康まで心配して怒ってくれているのです。
「……そうですね。少しだけ、無茶だったかもしれません」
優しい顔で見つめ、肯定するドロランダにディアナの勢いが削がれました。怒った顔から悲しそうになります。
「……それに、本当にお茶が勿体ないわ。こないだドロランダと馬車の中で話したやろ? 『古都』のお茶は質もええけどそれ以上にええ値段がするて」
「……値段?」
目を白黒させて無言だったエドワード王子の口から、やっと言葉がこぼれます。ディアナは彼に向かって冷たい目を向けました。
「せや。『古都』は『古の帝の一族』の領地や。不可侵の地の代わりに『朝廷』やら教会やらへの寄付と、観光、それに着るもんやお茶の輸出で成り立っとる……って殿下なら知っとるやろ?」
「あ、ああ……」
「せやから領外に売る時にはお茶の値段をつりあげとるんやって。シゾーカはカンサイから遠いのを見越して、絶妙な値付けをしとるらしい。ええ商売しとるわ~……てオカンやオカンの友達が言うてたの。お客様に出すお茶は高級な『古都』産が最適やけど、普段使いのお茶はそない高いもの使う必要がないからウチはワキャーマから安い茶葉を仕入れようと思てんのに、王宮ではこないな無駄遣いして……見損なったわ!」
「え……みそこ」
王子が青くなり呟いたのをフォローするつもりか、セオドアとドロランダが被せぎみにディアナに言います。
「お嬢様、無駄遣いは言い過ぎですわ。王族が国を把握するために各地から食材を集めることも、紅茶の専属侍女を雇うことも良くある話ですし!」
「恐れながら申し上げますが、殿下はディアナ様に喜んで頂きたくてこの様な趣向を凝らしたのです」
しかしディアナは揺るぎません。
「だって! 以前私が訊いた時に言うてたもん!『領民や国民から税金で得たお金を自分の贅沢のためだけに使うんと、巧く活かして増やしたり国を豊かにするために使うんやったら、後者しかない』て! 殿下の嘘つき!」
「「「!!」」」
「こんなん、私の為て言い訳したって……どう考えても無駄遣いの贅沢や。私……私、殿下だけは他の貴族の子ぉと違うと思てたのに……そんな所が良いと思ててん……」
最後は消え入りそうな声で呟き、下を向くディアナ。その様子に呆然として言葉が出ない王子とその侍従。その横でドロランダはディアナに歩み寄り、ドレスを鷲掴みにしていた両手をそっと開かせて自分の手で包み、優しく話しかけます。
「そうですね。殿下のお気持ちは嬉しいですけれど、この方法はお嬢様の意に沿わないですものね。でも、ここにいる皆の利益になれば無駄遣いの贅沢にはならないのでは?」
「……え?」
「ちょっとお耳を」
ドロランダがディアナにこそこそと内緒話をするにつれ、ディアナの表情がみるみる内に明るくなり目がキラキラと輝きます。
「これならいかがですか?」
「うん! 流石ドロランダ!」
「では、大変恐れながら殿下、こういうアイデアはいかがでしょう……?」
ドロランダの提案にエドワード王子とセオドアは驚きました。
~・~・~・~・~
「本当に良いのですか……?」
若干狼狽して言うセオドアに、ディアナはにっこりとして応えます。
「お願いします。もう始めてええよ?」
ディアナの言葉に、先程の三人の侍女のうち一人がお茶を淹れます。ただし、先程と違って用意されたのは15個のカップ。そこに1個辺り4分の1杯程度の量の紅茶を分けて注いでゆきます。
注ぎ終わると、そこに王子とディアナが近づきます。
「私、これ! 殿下はどれにするん?」
「うむ……これかな」
二人が選び出した紅茶をセオドアとドロランダがそれぞれ手に取り、なんとテーブルの上にあった二人の空のカップにパシャリとあけました。
そしてセオドアとドロランダ自身も空のカップを持って紅茶が並んだ所に近づき、好きな紅茶を選んで自分のカップに移し替えます。
「皆も、同じように」
王子のかけ声に、その部屋にいた全員(7人の侍女と、3人の護衛、1人の従者―――――――全員が空のカップを持たされています)がピクリとしましたが、皆顔を見合わせながら躊躇っています。
ディアナがそこに声をかけます。
「皆、私のわがままに付き合わせてごめんな。あっ、あと移し替えるなんてマナー違反やと思うけど、ここだけの秘密にしてくれる?」
人形のような美少女が胸の前で手を組み、悪戯っぽく小首を傾げてお願いをする様子は効果抜群だったようで、皆慌てながら肯定します。
「いえっ、殿下やディアナ様と同じお茶が飲めるなんて光栄です!」
「このような形になったのは、全員分のカップが用意できなかった為ですので仕方ありません!」
「そう? 皆優しいなぁ。さっ、お茶が冷めない内に選んで!」
残りの11杯から、皆紅茶を選んで自らのカップに移しました。全員が少量の紅茶が入ったカップを手に持ったのを確認して王子が音頭を取ります。
「一人目の茶だ。飲むぞ」
その部屋に居る全員が一斉に紅茶を飲みます。
「旨い……!」
「こんなに美味しいお紅茶、はじめて!」
護衛や従者、お茶以外を担当していた侍女は紅茶を飲んで口々に感激します。
ディアナはドロランダと微笑みを交わしました。
「では二人目の者、茶を淹れろ」
王子の命令に二人目の侍女も同じように15個のカップに少量のお茶を注ぎ、またもディアナと王子が一番最初にお茶を選んで先程飲んでいた自分のカップに移し替えて貰います。
ドロランダのアイデアはこうです。
『このサロンに居る全員にお茶を振る舞い、三人の侍女の中で誰が一番上手かを多数決で決める。元々毒見分を含め4人分のお茶を淹れる予定だったが15人で割れば一人辺り4分の1杯程度の量になる。それなら何回か飲んでも皆の負担にならないし、その少量かつ沢山のカップの中で王子やディアナを狙って毒を入れることは極めて難しくなるから、毒見も必要ないし、皆でお茶を楽しめる。お茶が無駄にもならない』
しかし15人分×三人の侍女×残り三種類の茶葉ではカップの数が膨大になるため、やむを得ず、都度各自の手持ちのカップに移し替えて飲むというお行儀の悪いことになってしまったのです。
この様な行為を王宮の女官長等に知られれば大目玉を喰らう事でしょう。
三人の侍女が淹れた紅茶を順番に飲んでから全員で多数決を取ります。票は割れましたが、今まで選ばれなかった侍女が一番票を集めました。
「次の茶葉は古都・ミヤコの最高級品だ」
四種類目の紅茶の味と香りに皆、うっとりと至福の時を楽しみました。お菓子も皆で少しづつ分けて食べ、侍女は勿論、意外なことに強面の護衛達も幸せそうにしています。終始和やかな雰囲気でお茶会は続き、楽しそうなディアナを見て王子の顔にも笑みがこぼれました。
この茶葉ではあの、涙目だった侍女が一番だと多数決で決まりました。
「では最後の茶葉を」
侍女がお茶を淹れると、ふわりと爽やかな香りが辺りに広がります。
「これは……!」
ディアナと王子の目が合うと、エドワード王子はとても嬉しそうに目を細めます。
「そう、シゾーカ産の特製だ」
淹れられたお茶はオレンジの香りのする紅茶でした。茶葉に乾燥させたオレンジの皮や果肉が混ざっているのです。
全てのお茶を飲み終えて多数決を取ると、眉間にシワがあった侍女が多数を取りました。
「ほう。2回ずつ選ばれた者がふたりか。どちらを紅茶専属侍女にするかな……ディアナ、お前は五種類の中でどの紅茶が一番旨かったか?」
ディアナはふたりを見ました。一人は眉間にシワがくっきりと入り、一人はぷるぷると震えています。相当緊張している様です。
(私の好みなら四番目の古都産やけど……でも最後のオレンジの香りをつけたのも捨てがたいなぁ。流石シゾーカ産……あれ?)
ディアナは自分の思い付きをどうしても確かめたくなり、思いきって王子に尋ねました。
「殿下……失礼やけど、この二人の身元は確かなんよね?」
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