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キャンプ女子と生徒会
しおりを挟む西日の差し込む校舎、その中を慌ただしく駆けていく足音が廊下に響き渡る。
「くそっ……どこにいるんだ。」
「ここまで探してもいないなんて。」
「どこ?どこなの?」
「一体…彼女はどこにいるんだ。」
彼らが校舎内を駆け回っていた同時刻。
「フフンフフ~ン。ルンルン。」
一人の少女が鼻歌を歌いながら上機嫌で校舎内を歩いていた。
しばらくして、前を歩く見覚えのある後ろ姿を見つけ声をかけた。
「す~う~。あ~きの~~!!」
声をかけた2人が振り返りこちらに気がつくと、少女は彼女達に駆け寄った。
「あっ、杏那ちゃん。」
「ちょうどよかった。はいコレ昨日のキャンプのお土産。」
「おっ、すぅアリガト~。」
すぅと呼ばれたショートヘアの少女はお菓子の箱を杏那と呼ばれた自分より小柄なツインテールをシュシュで結んだ少女に渡した。
「………杏那ちゃん、何か良いことでもあった?」
秋乃と呼ばれたポニーテールの少女が少し首をかしげながら、杏那に尋ねる。
その質問に「待ってました」とばかりに目をキラキラさせて顔を上げる。
「フッフッフ……実は昨日、待ちに待ったコレが届いたのよ!! 」
そう言うと、杏那は持っていた鞄の中を漁ると、とあるモノを2人の前に出してきた。
「「…………ステンレスの水筒?」」
「違います。」
「んっ?」
図書室で本を読んでいた花隈あおいはスカートのポケットにいれていたスマホを取り出すと、親友の中村涼花と梶秋乃からグループLINEが来ていた。
涼花:ハナ~、今どこにおる?
あおい:今、図書室だよ。
秋乃:今、アドサーで杏那ちゃんがコーヒーミルで煎れてくれたコーヒーでお茶してるんだけど、ハナちゃんも来ない?
アウトドア活動同好会。通称アドサーは、今年の4月にキャンプがしたいと言う入屋杏那が立ちあげたアウトドアを目的とした部活だ。
掲示板に貼っていたアドサーのチラシを見て見学に涼花と秋乃が部室に訪れて、キャンプをはじめたばかりの2人は杏那とすっかり息が合い、アドサーに入部し、キャンプ用品を買ったり、学校の許可をもらって校庭でキャンプ用具を組み立てたり、落ち葉を拾って焚き火をして(これも許可を貰った上、元登山家の教師に指導してくれた)コーヒーを煎れたり週末に近く(たまにちょっと遠い)のキャンプ場に行ってキャンプをしたり、山登りをしたりしている。
ちなみにあおいも、時々アドサーの活動にお邪魔したり、キャンプにも参加している。
「へえっ、コーヒーミルで煎れたコーヒーかぁ、杏那ちゃん凄いなぁ。」
これは行くしかないでしょと、LINEの返事を送るために、あおいは指を動かした。
「……クソッ、ここまで探してもいないなんて……」
「以外と逃げ足が速いですね。」
「どうして……どうしてあの子は私達を避けるの?」
「その理由を聞くためにも、早く彼女を見つけないと……ん?あれは……」
「あっ、来た来たハナちゃ~ん!!」
校庭で、こちらに向かって歩いてくるあおいに秋乃は大きく手を振る。
「またせてゴメンね。」
「ううん。グッドタイミングだよ。」
「お砂糖も牛乳もないけどハナ、ブラック飲める?」
部室から持参したステンレスのカップを持った涼花があおいに尋ねた。
「ん、大丈夫だよ。ありがとう。」
手渡されたマグカップから、フワっとこうばしい香りが鼻をくすぐった。
「うわぁ~、良い匂い~!!」
「そうだろう。」
あたしが煎れたコーヒーなんだから。と
杏那はエヘンと、胸を張る。
ふと、杏那の手に持つステンレスのソレにあおいは気づいた。
「それ、コーヒーミル?変わった形しとるね。」
「そうなんだよ!!それなのに……この2人ときたら水筒と間違えて……」
うらめしいと言わんばかりの杏那のじと目に、2人はそっと目をそらした。
「杏那それよりもコーヒーさめちゃうから速く飲もうよ。」
「ハナちゃんはいコレ、この間のすぅちゃんのキャンプ土産のチョコレート饅頭。」
「…………まぁいいか。コーヒー飲もう。」
「そうだね。いただきま~す。」
「アイツら、あんなところで……」
「あっ、あそこに彼女がいます!!」
「またアウトドア活動同好会……いつも私達の邪魔ばかりして……。」
「とにかく彼女が見つかったんだ……行こう。」
「「「待っててね……………中村涼花」」」」
「っ………!!?」
「どうしたすぅ?」
「いや、何か寒気がして……風邪かな?」
「そういえばすぅちゃん。ちょっと前に生徒会の人達に絡まれとったよね?」
「あぁ、あれね。」
1ヶ月前、涼花は生徒会長から生徒会に入らないかと言う誘いを受けていた。 しかも会長だけでなく、副会長や会計、しかも生徒会と仲の良いという1年の女子まで勧誘してきたのだ。
「はっきり断ったよ。そもそも、私生徒会とか興味ないし、向いてないもん。」
そもそも、涼花の通う高校は11月に生徒会役員を決める生徒会選挙があり、その選挙で生徒会役員を決めるのだが、それにも関わらず涼花に付き纏い生徒会に入るよう迫ってきているが、その行動はエスカレートしていき、生徒会長は壁ドンしたり、無理矢理キスしようとして迫ってくるわ、副会長や会計は腰に手を回したり抱きついたりするわ、おまけに1年の女子-加藤は何故か体をクネクネさせて涼花の腕にしがみついて離さない。しかもその腕を胸に押し付けるなど、もはや勧誘でもなんでもない。
「それ、勧誘じゃなくてただ口説いているだけじゃん。てか、加藤さん?生徒会と一番関係ないじゃん、何で勧誘しとんの?あと何ですぅの腕に胸押し付ける?男にやれよそれは!!」
「あっ、杏那ちゃん落ち着いて。」
「コーヒー飲んで落ち着こう。」
秋乃やあおいに宥められて、杏那はコーヒーをグビッと飲み、気分を落ち着かせた。
「………それで?」
「まず最初に…母さんに相談しました。」
「中村先生に?」
はっきり拒絶しても、彼らは食い下がらなかったため、加藤のクラス担任である母に相談し、生徒会顧問や生活指導教諭、彼らの担任教師にも今まで彼らにされたことを話した。
そして他の生徒会役員から話を聞き、涼花の話が事実であると知ると、教師陣は彼らを厳重注意し今後涼花に接触しないことを誓わせた。他の生徒会役員もなるべく彼らと接触しないように協力してくれているので、今のところ平和だ。
「変な奴らに目をつけられたよなぁ、すぅ……コーヒーもう一杯飲むか?」
「ありがとう。」
コポコポと涼花のカップにコーヒーが注がれ、コーヒー独特の香りに少し気分が和らいだ。
「そういえば加藤さん、今年の春休みにすぅに助けられたって言ってたけど、覚えてる?」
「いやまったく心当たりないんだけど…」
前に本人がそう話していたのは覚えているが、涼花にはまったく心当たりはない。
というよりも、母から加藤について聞いたところ、彼女は少し妄想癖があり、それが原因で中学時代はクラスでも浮いていたとの話を当時のクラス担任から聞いたので、多分、自分が助けたというのも、加藤の妄想だろう。
--春休みといえば………
「まさか加藤さん、山登りで迷子になってお腹がすいていたところをすぅちゃんに助けられたとか……」
「それは秋乃だ。」
春休み、母方の叔母と一緒にキャンプをしていた涼花が、1人で山登りをして道に迷ってしまい、空腹で倒れていた秋乃をたまたま発見して一緒に晩ごはんを食べたあと、秋乃の両親に連絡が取れた。その際お互い連絡先を交換したのだが…
「まさか、高校の入学式で再会するとはねぇ。」
「わたしもびっくりしたよ。まさか、すぅちゃんが同じ高校とは思ってもみなかったから。」
「世間は狭いね~。」
クスクスと笑うあおいに、杏那が突如「あっ」と声をあげた。
「どしたの杏那ちゃん。」
「いやこの間さウチの姉貴に聞いたんだけど、姉貴ここの卒業生で、1年生のときに3年の先輩に絡まれたことがあってさ」
「ほぉほぉ。」
「何か、自分の彼女を姉貴がいじめたって騒いで、その彼女って言うのが姉貴の親友だったんだけど…実は付き合っていると言うのは嘘で、その先輩の妄想だったんだって。」
「「「はあっ?なにそれ!?」」」
「その先輩、流行っていた悪役令嬢モノのライトノベルを読んでその小説に出てくる悪役令嬢に姉貴が似ていたらしく、自分は悪役令嬢に立ち向かうヒーローの生まれかわりだと思い込んで、姉貴を断罪しようとしたんだって。」
「「うわ-。」」
「本の読みすぎで現実との区別がつかなくなったのね。」
「で、その断罪しようとした先輩、ウチの生徒会長のお兄さんなんだって。」
「「マジで!?」」
「マジ。」
「生徒会と言えば……すぅ、中学の同級生だったカヤちゃん覚えてる?茅野芽衣ちゃん」
「あぁ、確かお姉さんと同じ高校に進学したんだよね?」
「昨日LINEで話してたんだけど、お姉さん、在学中に生徒会メンバーにストーカーされてたみたいなんだって。」
「えぇっ!?」
「カヤちゃんも人から聞いたみたいなんだけど、何か生徒会の人達が一方的にカヤちゃんのお姉さんに好意を抱いていたみたいで絡もうとしていたみたいなんだけど……」
「「「だけど……?」」」
「……カヤちゃんのお姉さん、生徒会の人達と、ことごとくすれ違って絡まれることなかったんだって。」
--私も当時は知らなかったとはいえ、いくらすれ違って遭遇しなかったとは言っても、もうちょっと警戒心持ってよお姉ちゃん。
昨日そう呆れて芽衣が愚痴っていたのを思いだす。
「しかもその生徒会の書記が女の子なんだけど、リアル乙女ゲームヒロインって呼ばれていたんだって。」
「リアル乙女ゲームヒロインって…」
「そっちは乙女ゲームかよ!ヒロインいるんなら、ハナの友達の姉さんに手を出すなよ。そのヒロインも一緒になって何しとるんだよ!!」
「集団でゲームと現実の区別がつかなくなるって……ちょっと怖いね。」
背筋に寒気が走り涼花、杏那、秋乃はそれを誤魔化すためにコーヒーを一口飲んだ。
「………なぁハナ、そのカヤちゃんのお姉さんをストーカーしていた生徒会メンバーってもしかして……」
「ウチの副会長と会計の従兄弟だったみたい。ちなみにリアル乙女ゲームヒロインさん、加藤さんの従姉妹だって。」
「やっぱり!!」
「……世間は狭いね。」
「……結局アイツらもゲームと現実の区別がつかなかったんだな。」
ズズズ……と杏那のコーヒーを啜る音がその場に響いた。
ついに来た。すぐ目の前に欲してきた少女がいる。
そう思っていたのに……
「会長、何してるんですか?」
声をかけられて振り返ると、同じ生徒会の役員達がそこにいた。
「今日は定例会議なのにどこに行ったのかと思ったら、貴方達は何をしてるんですか。」
「そっ、それは……」
「言いましたよね。1年の中村さんにちょっかいださないで下さいと。なのに何故それを破って近づこうとしているんですか?」
彼の声はいつもと同じホワッとした声だが、どこか圧を感じる。
「そっ、それは彼女に、生徒会に入ってもらおうと……」
「来期の生徒会メンバーは次の選挙で決めるので必要ありませんよね。」
「うっ………」
「それに本人にも断られたんですよね?にもかかわらず生徒会の仕事サボッてしつこく勧誘して、はっきり言ってこっちも迷惑なんですよ。」
「なっ、迷惑だと……お前、俺を誰だと思っているんだ!」
「生徒会長だろ?けどなぁ、生徒会長なら何しても良いのかよ!はっきり言ってお前らストーカーみたいで気持ち悪いんだよ!!」
「きっ、気持ち悪い?」
「この間、アンタの兄貴が学校に来てアンタのやらかしを知って先生達の前で土下座したんだぞ。」
「そっ、そんな……」
「会長だけでなく、副会長達の身内も、この間、頭を下げていたんです。加藤さん、君の両親も。」
「えっ!?」
「嘘だ……」
「嘘…」
「嘘も何も本当ですから。はい、さっさと行きますよ。会長来ないと定例会議できないんですから。あっ、あと加藤さんは中村先生が話があるので生徒指導室に来てだそうですよ。」
そういうと、生徒会長の首根っこを掴むと、会議の行われる教室へと向かう。副会長や会計、加藤も数人に羽交い締めにされながら引きずられていく。
彼らの視線の先には焚き火を囲んでお喋りをする女子生徒4人がおり、そのなかで涼花が楽しそうに彼女達と喋っている。
年の離れた兄の影響で悪役令嬢モノのライトノベルに嵌まり、俺様ヒーローに憧れて俺様系を気取る生徒会長は叫んだ。
「っ……中村涼花!君はアウトドア活動同好会にいる存在なんかじゃない!!」
恋愛小説好きな従兄弟の影響でクールで冷静な優等生を演じていた副会長も会長に続き悲劇の主人公のように叫ぶ。
「僕は諦めない!絶対に君を……」
リアル乙女ゲームヒロインと呼ばれた従姉妹を持ち、自分は世界の中心だと思い込んでいる少女・加藤は嘆いた。
「何で…こんなの、私のシナリオにはなかった……あの子の隣にいるのは…私だったのに!!」
ナルシスト気質で思い込みの激しい会計は自分は悪くないと、叫んだ。
「オレちゃんは悪くない!ただあの子と話がしたかっただけ、だから悪くない!!」
ギャアギャアと自分勝手に騒ぐも、それが校庭にいる涼花達に届く筈もなく
虚しく引きずられていった。
「………」
「すぅちゃんどうしたの?昇降口のほうを見て。」
「ん~、何か昇降口の方が騒がしかったから、何かあったのかなと思ったんだけど……気のせいかな?」
「おーい、そこの2人~サボッてないで片づけ手伝って。」
「「はーい。」」
クルリと踵を返し、涼花と秋乃は昇降口に背を向け、火の始末をしている杏那達のもとに戻る。
あっ……と秋乃がつぶやく。
「どうしたの?」
「そういえば、昨日のすぅちゃんのソロキャンの話聞いてなかったね。」
「あっ、そういえばそうだね。」
生徒会メンバーの話をしていて、すっかり忘れていた。
「じゃあさ、今度アドサーのみんなで行こうよ。」
涼花がそう提案すると、秋乃の表情がパァァと明るくなる。
「行こう行こう!!」
杏那ちゃんと相談してみる~。とポニーテールを揺らしながら杏那やあおいの元に駆け寄る秋乃の背中を涼花は追いかけた。
おしまい
-----------------
登場人物
中村涼花(愛称すぅ)
高校1年生
ショートヘア
性格はマイペースだがしっかり者 中学のときに母方の叔母から入学祝いでキャンプ用品一式をもらってからキャンプにはまる。
ちなみに母親は高校の教師で、加藤の担任教師のため、生徒会長や加藤のことを最初に相談した。
生徒会に勧誘されるが興味はない
生徒会メンバーの名前すら知らない
梶秋乃
高校1年生
ポニーテールがチャームポイント 明るい元気娘
春休みに山登りをした際、迷子になっていたところを涼花に助けられ、それがきっかけでキャンプにハマる。
入屋杏那
高校1年生
アウトドア活動同好会 部長
身長146cmの小柄でツインテールをシュシュでまとめている
大胆かつ行動的な性格 実家は喫茶店を営んでおり、コーヒー豆は店から持参した。高校のOGである姉から生徒会長の兄のやらかしを聞く
花隈あおい(愛称ハナ)
高校1年生
中学からの涼花の親友
読書と写真を撮るのが趣味
中学の友人からの愚痴をLINEで聞く
茅野芽衣(愛称カヤ)
涼花とあおいの中学時代の友人
県外の高校に進学し、高校のOGだった姉の在学中の話を聞き、驚きと警戒心のない姉に呆れ、あおいにLINEで愚痴る
生徒会長
3年生 涼花達の高校の生徒会会長
地元の農家の次男 年の離れた兄の持っていたライトノベルにハマり、俺様を気取る。涼花に執着し、生徒会に勧誘していたが、この後他の生徒会役員や先生達に説教され、家族(特にやらかし経験のある兄)にこってりしぼられた為反省して大人しくなる。
生徒会副会長・会計
3年生 涼花達の高校の生徒会役員
従兄弟の悪い影響を受け、涼花に執着するが会長同様、他の生徒会メンバーや教師、家族からこってりしぼられ、林業をしている知人宅に預けられてからは大人しくなる。
加藤
1年生 涼花の同級生
生徒会長と親しくなり、生徒会に入り浸るようになる
従姉妹の影響で乙女ゲームや少女漫画が好きで、妄想と虚言癖がありそれが原因で中学時代は浮いていた。
涼花に一方的な好意を持ち、アドサーメンバー嫉妬心を抱いている。
この後、担任教師(涼花の母)にこってりしぼられ家族から心療内科へのカウンセリングを勧められる。
他の生徒会メンバー
仕事をサボッて1人の生徒に執着するが生徒会長達に苛立ち、しかもその生徒に迷惑行為をかけていたと知り、彼女に接触しないよう協力する。 今回の件でブチ切れてしまい、リコールを考えるも、反省して大人しくなったので、しばらくそっとしておく。
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この作品は感想を受け付けておりません。
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