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そもそも……
しおりを挟む「入屋千鶴!貴様よくも俺の愛する恋人を傷つけたな。彼女に変わってこの俺が、貴様を断罪してやる!!」
部室の鍵を取りに職員室に向かっていたら、知らない男子生徒に絡まれた。
上靴の色から上級生だと分かるけど、全然見覚えがない。
さっきから恋人を虐めやがってとかキーキーと行っているがまったくわからん。
「あの~」
「あっ、何だ認めるのか。」
「そもそも「あっ、お~い千鶴ちゃ~ん!!」あっ…さっちゃん。」
聞きおぼえのある声に振り返ると、親友の藤沢五月こと、さっちゃんがこっちに駆け寄ってきた。
「も~千鶴ちゃん、職員室に行ったままなかなかこないんだもん。」
「あぁ、ごめん。ちょっと絡まれとって……」
ちらりとその先輩のほうを見ると、何故かさっちゃんの顔を見て動揺している。
「さっ、五月離れろ!その女に近づいてはいけない!! 」
そう言って私とさっちゃんを近づけまいと、その先輩が間に入ってきた。
「……さっちゃん、この人と付き合ってんの?」
「えっ!?何いっとんの?私、彼氏おらんの千鶴ちゃんだって知っとるじゃん。」
私がそう訪ねると、さっちゃんは手を横に振り否定する。
「あと、私がさっちゃんを虐めとるとかって言ってるんだけど。」
「はあっ?なにそれ!!」
「……だっ、だって君はこの女に召使いのようにこき使われているじゃないか。放課後になればこの女の家に通っているのを俺は見ているんだよ。」
「召使いって……バイト先がたまたま千鶴ちゃんの実家だっただけなんですけど。」
私のウチは喫茶店を営んでおり、そこにさっちゃんがアルバイトをしている。 ちなみに私も忙しいときに臨時バイトとして、手伝っている。
「さっきから聞いていれば千鶴ちゃんを悪者扱いして、千鶴ちゃんは私の大切な親友です。千鶴ちゃんの悪く言うなんて許せない。そもそも……
あなた誰?私の恋人だって言っとるけど、私あなたのこと知らんのですけど!!はっきり言って気持ち悪い!!」
「きっ、気持ち悪い!?」
さっちゃんのその一言が刺さったのか、先輩はヘロヘロと膝から崩れ落ち何やらブツブツと呟いている。
「何で……ここは悪役を断罪して……彼女とハッピーエンドなのに……バグか、バグなのか……ん?」
トントンと肩を叩かれてその先輩が顔を上げると、般若の形相をした生活指導の
中村先生がいた。
その後、中村先生に引き摺られて空き教室へと入っていった。
後日、中村先生をはじめとした先生方からお説教をうけ、大量の反省文と2週間の謹慎をくらったらしい。
どうやらその先輩は前から問題をを起こしていたらしく、どうしようかと先生達が考えていたところ、今回のことが起こり、説明を受けた先輩の両親は謹慎の間、田舎で農家をしている親戚のもとに預けたらしく、謹慎が開けてからは人が変わったかのように普通の生活を送るようになった。
「それにしても乙女ゲームってねぇ……ゲーム自体に罪はないけどねぇ。」
「………うん」
中村先生から聞いたところによると、その先輩は入学してすぐの頃は大人しく真面目な性格だったのだが、乙女ゲームにハマってしまい、さらに乙女ゲームがテーマのライトノベルにも手を伸ばし、どっぷりハマってしまい、自分は乙女ゲームの攻略対象者で悪役令嬢を断罪してヒロインと結ばれるのだという妄想に取り憑かれヒロインや悪役令嬢に似た女子生徒に付き纏っていたらしい。
「あの先輩の妄想では私はヒロインであるさっちゃんをイジメる悪役令嬢ってことか。」
「ホント迷惑極まりないよ。そもそも………何で接点も話したことのない私や千鶴ちゃんに絡んで来たんだろう。」
「あ~……何か廊下ですれ違ったときさっちゃんに一目ぼれしてたみたいだよ。」
「一目ぼれって……それだけであの妄想話を作りあげたの?」
「そうみたいだね。まったく迷惑極まりないよね。」
そうだよねぇと、私たちは頷きあった。
数年後、高校生になった妹の友達が生徒会のメンバーに生徒会に入らないかと勧誘された上、付き纏われていること、その生徒会長が先輩の弟であることを知るのは、もう少し先の話。
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入屋千鶴
当時、高校1年生
姉御肌で食べるの大好きな普通の女子高生
「キャンプガールズ×乙女ゲーム?」の主要キャラだった入屋杏那の姉
現在は実家の喫茶店を継いでいる
藤沢五月
当時、高校1年生 愛称さっちゃん
おっとりとしているがいうことは言う
現在は名古屋で珈琲豆の焙煎士をしている
中村先生
2年生の生活指導の先生
問題を起こす先輩に相当怒っていた。
「キャンプガールズ×乙女ゲーム?」の主人公・中村涼花の母親
先輩
高校2年生 元々は大人しい性格だったが、ライトノベルにハマって以降、問題を起こすようになるが、今回の件で反省し、現在は親戚の農家を手伝う。 「キャンプガールズ×乙女ゲーム?」の生徒会長の兄で、弟が自分と同じことを知り、大激怒した。
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