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ヒロイン、及び攻略対象。これ以上モブにかかわらないで下さい。
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ここが前世で流行っていた乙女ゲームに似ていると気づいたのは高校の入学式、彼女を見つけた時だった。
進学校である高校に入学したヒロインがひょんなことから生徒会のイケメンメンバーと出会い、交流を深めていくことで彼らの誰かと恋に落ちていくという王道のゲームだった。
そして、入学式から1週間もたたないうちにヒロインちゃんはイケメン生徒会メンバーと仲良くなっていった。
「まあ、私には関係ない話だけどね・・・」
放課後の校内を駆けまわる彼らの後ろ姿を私はふよふよと宙に浮きながら眺めている。
そう、今世の私は数年前にとあることが原因で死んでおり、幽霊としてこの世をさまよっていた。
「あっ、綾香。」
彼らが立ち去ったあとの廊下を友達とおしゃべりしながら歩く私の双子の妹綾香がいた。
「綾香、高校生活を楽しんでいるみたいでよかった。それにしても……まさか、アイツが乙女ゲームのヒロインちゃんだったとはね・・・」
今から9年前、自宅近くの公園で遊んでいた時、私が少し離れた瞬間、綾香の悲鳴が聞こえてきて、戻ってみると、私達と同じ年の女の子に追いかけられている綾香の姿があった。
そのときの綾香の表情は怯えており、それを追いかける女の子はどこか熱を帯びてどこか狂気をはらんでいた。 公園の外に出た綾香の前を車が近づいてきていた。
「綾香!!」
とっさに私は綾香の背中を押した瞬間、車は私のすぐ近くに迫ってきていた。
気がつくと、私の遺体のそばで泣いている両親と綾香の姿が目の前にあった。
あのとき、私をはねた車の運転手が救急車に搬送したらしく私は搬送先の病院で死んだらしい。
運転手は何度も謝罪をしてくれていたが、元凶であるアイツは「やっと邪魔者がいなくなったね」と反省どころか私が死んだことを喜んでいた。そもそも初対面の相手を追いかけ回すなんて正気ではなく、両親はアイツの両親に綾香に近づかないでほしいと頼んだが、アイツはストーカーのごとくつき纏い、そのせいで綾香はストレスで喘息の発作を起こしため、これはヤバいと思ったアイツの親御さんは遠方の親戚のもとに預けたらしい。
入学式でアイツの姿を見つけたときは驚いたが、アイツは綾香の存在に気づいたらしく、「今度こそあの子を私のモノにするんだから。」ととち狂った発言をしているのを聞いてしまい
「あっ、コイツ全然反省していない………」
と悟った。
しかもアイツ、綾香を一方的に追いかけ回していたことを「一緒に遊んだ。」とふざけたことをぬかしたときは本気で呪い殺したろか?と思ったほどだ。
アイツの影響なのかは分からないが攻略対象も何故だか綾香に興味を持っているらしく、アイツと一緒になってさっきのように追いかけ回しているのだが、アイツらと綾香を接触させないよう、私はちょこちょことアイツらのルートを(ちょ~~っと軽めの)ポルターガイストで邪魔したり、金縛りで動けなくしたりと足止めをして阻止をしているため、今のところ綾香がアイツらと接触している様子はない。
そもそもアイツはなんであそこまで綾香に執着しているのかはまったくわからない。あのときはじめて逢った綾香を何故追い回していたのかも、私や当事者である綾香も皆目見当がつかない。
生徒会のイケメンと仲良くなりたいなら勝手にやっていればいい。
けれど、無関係な綾香を巻き込むのは止めてほしい。
だから私はアイツらが綾香を追いかけ回し接触するのを全力で止める。
自己満足かもしれないが、綾香には幸せに生きてもらいたいから。アイツらに関わらず、普通に学校生活を送ってほしい。
だから、ヒロイン及び攻略対象。これ以上モブにかかわるな!!
「………………………清香ちゃん?」
「綾香~~~!先に行くよ!!」
「あっ、待ってよ~~!!」
進学校である高校に入学したヒロインがひょんなことから生徒会のイケメンメンバーと出会い、交流を深めていくことで彼らの誰かと恋に落ちていくという王道のゲームだった。
そして、入学式から1週間もたたないうちにヒロインちゃんはイケメン生徒会メンバーと仲良くなっていった。
「まあ、私には関係ない話だけどね・・・」
放課後の校内を駆けまわる彼らの後ろ姿を私はふよふよと宙に浮きながら眺めている。
そう、今世の私は数年前にとあることが原因で死んでおり、幽霊としてこの世をさまよっていた。
「あっ、綾香。」
彼らが立ち去ったあとの廊下を友達とおしゃべりしながら歩く私の双子の妹綾香がいた。
「綾香、高校生活を楽しんでいるみたいでよかった。それにしても……まさか、アイツが乙女ゲームのヒロインちゃんだったとはね・・・」
今から9年前、自宅近くの公園で遊んでいた時、私が少し離れた瞬間、綾香の悲鳴が聞こえてきて、戻ってみると、私達と同じ年の女の子に追いかけられている綾香の姿があった。
そのときの綾香の表情は怯えており、それを追いかける女の子はどこか熱を帯びてどこか狂気をはらんでいた。 公園の外に出た綾香の前を車が近づいてきていた。
「綾香!!」
とっさに私は綾香の背中を押した瞬間、車は私のすぐ近くに迫ってきていた。
気がつくと、私の遺体のそばで泣いている両親と綾香の姿が目の前にあった。
あのとき、私をはねた車の運転手が救急車に搬送したらしく私は搬送先の病院で死んだらしい。
運転手は何度も謝罪をしてくれていたが、元凶であるアイツは「やっと邪魔者がいなくなったね」と反省どころか私が死んだことを喜んでいた。そもそも初対面の相手を追いかけ回すなんて正気ではなく、両親はアイツの両親に綾香に近づかないでほしいと頼んだが、アイツはストーカーのごとくつき纏い、そのせいで綾香はストレスで喘息の発作を起こしため、これはヤバいと思ったアイツの親御さんは遠方の親戚のもとに預けたらしい。
入学式でアイツの姿を見つけたときは驚いたが、アイツは綾香の存在に気づいたらしく、「今度こそあの子を私のモノにするんだから。」ととち狂った発言をしているのを聞いてしまい
「あっ、コイツ全然反省していない………」
と悟った。
しかもアイツ、綾香を一方的に追いかけ回していたことを「一緒に遊んだ。」とふざけたことをぬかしたときは本気で呪い殺したろか?と思ったほどだ。
アイツの影響なのかは分からないが攻略対象も何故だか綾香に興味を持っているらしく、アイツと一緒になってさっきのように追いかけ回しているのだが、アイツらと綾香を接触させないよう、私はちょこちょことアイツらのルートを(ちょ~~っと軽めの)ポルターガイストで邪魔したり、金縛りで動けなくしたりと足止めをして阻止をしているため、今のところ綾香がアイツらと接触している様子はない。
そもそもアイツはなんであそこまで綾香に執着しているのかはまったくわからない。あのときはじめて逢った綾香を何故追い回していたのかも、私や当事者である綾香も皆目見当がつかない。
生徒会のイケメンと仲良くなりたいなら勝手にやっていればいい。
けれど、無関係な綾香を巻き込むのは止めてほしい。
だから私はアイツらが綾香を追いかけ回し接触するのを全力で止める。
自己満足かもしれないが、綾香には幸せに生きてもらいたいから。アイツらに関わらず、普通に学校生活を送ってほしい。
だから、ヒロイン及び攻略対象。これ以上モブにかかわるな!!
「………………………清香ちゃん?」
「綾香~~~!先に行くよ!!」
「あっ、待ってよ~~!!」
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