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案件その1 ⚪⚪⚪⚪の娘
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「プラーム・ヴィオレット、貴様との婚約を破棄する!!貴様は身分を笠に私の愛するミミを虐めた。よって私の妻に相応しくない。今この場を持って貴様との婚約を破棄し、ミミを新たな婚約者とする!!」
とある学園の学生食堂の中で見目麗しい美青年がピンク頭の庇護欲のある少女の肩を抱き、自分の正面にいる銀髪に瑠璃色の瞳の人形のように整った容姿の少女を指差して叫んだ。
「………」
婚約破棄を告げられた少女プラームは無表情なまま、ツカツカと元婚約者に近寄ると、その胸倉を掴んだ。
「うわっ!?なっ、何をする!?」
「ちょっと離しなさいよ!!」
元婚約者の胸倉を掴んだプラームはギロッと鋭い瞳で元婚約者を睨むと、スゥッと息を吐くと……
「てめえ、どのツラさげて言ってんだよ。アァ!!」
ドスのきいた声で叫んだ。
「…………………え?」
「あ?身分を笠にだぁ?
てめえが言うんじゃねぇよ。てめえが。
一番、身分を笠にきてんのてめえだろ!!
てめえの尻ぬぐいやって来たのは誰だ言ってみろやコラァ。」
「ヒィィ~!!」
プラームのあまりにもドスのきいた声と圧力に元婚約者はガタガタと震えた。そしてその隣のピンク頭の少女を睨みつけた。
「ヒッ………!!」
「それに……てめえもてめぇだコノピンク頭!!お前コイツの威をかって好き勝手しやがってよぉ~!!」
プラームとて何もしなかったわけではない。 婚約者の浮気相手である少女は婚約者と親しいことを良いことに、高級バッグや宝石、さらにはドレスなどを貢がせた上、それを換金して夜な夜な遊び歩き男漁りをしていた。
「こっちはこんな婚約受けたくなかったのに、てめえの母親のせいで無理やり婚約させられたんだよ!!記憶偽装してんじゃねぇぞコルラァ~!!てめぇの浮気知ってたから、役所経由でやてめえの両親やてめえに婚約についての話し合いしようとしたのに、無視しやがって。」
「グエッ……きっ、貴様は…私のことが好きなんだろう。」
「ああッ?」
その一言はプラームの怒りを更に爆発させた。
「だ・れ・が、てめえみたいな屑野郎なんか好きになるか、てめえなんか熨斗つけてそこのピンク頭にくれてやるわ!!」
「………まあまあヴィオレット嬢。」
「堪忍袋の尾が切れたのは分かりましたが、落ち着いてください。」
プラームの背後から銀に見える白髪の男とオレンジ色の髪の小柄な少女がプラームを宥めながら現れた。
「なっ、なんだ貴様ら?」
「どうも、僕達はプラーム・ヴィオレット嬢の担当弁護官の第3者意見司法機関婚約・離婚訴訟問題対策課の弁護官レオン・クォーツです。」
「同じく対策課事務官ロゼット・ミュラーです。」
ロゼットと名乗った少女は懐から1枚の紙を出し、それを読み上げた。
「婚約に関わる話し合いの場を設けたにも関わらず、全くこなかった上に、第3者意見司法機関の再三の通達も無視。おまけに独断の婚約破棄宣言により、貴方に逮捕状が出ています。あと、貴女にも婚約破棄宣言の幇助したとして逮捕状が出ていますからね。」
「なっ、何で……?」
何故、婚約破棄を宣言しただけで自分達が逮捕されるのか、ミミ…もといピンク頭頭の少女はただただ困惑した。
その疑問にレオンは当たり前だろうといった感じで答えた。
「何でって……そりゃあ君が法を犯すことをしたからでしょう。おまけに、ヴィオレット嬢に虐められたって冤罪着せて慰謝料ぶんどる魂胆だったんでしょう。」
「なっ、何で知って……あっ!!」
ピンク頭はとっさに口を押さえたが、レオンは聞き逃さなかった。
いつの間にか食堂にいた学生達はいなくなり、緑の軍服の警邏が現れ、2人の前に1枚の紙を出すと、冷たい声で告げる。
「世界共通憲法第666条 婚約法 第30法 婚約間の話し合いの拒否及び第3者意見司法機関の通達の拒否や独断での婚約破棄宣言で君達を逮捕します。」
「「はあぁ~~、とりあえず終わったぁぁ~。」」
第3者意見司法機関に戻った2人はとりあえず終息したことに安堵の声を上げた。
元婚約者と浮気相手の独断の婚約破棄宣言による逮捕と裁判所の判断によって、プラームと彼との婚約は正式に白紙となった。
「あの元婚約者、馬鹿だよなぁ。ワーテルロー島のお姫様に喧嘩売るンだからな。」
「ですよねぇ~。」
ワーテルロー島。かつては囚人達を投獄した監獄島だったが、彼らは島で採れる鉱山の宝石を資金源として財を成していき、いつの間にか島の支配者となり、ワーテルロー島は独立したひとつの国と化していた。この島を支配する4つの家門があり、その中のひとつ、 ヴィオレット家は島の自警団を担ってきた。
プラーム・ヴィオレット嬢はそこの跡取り娘だ。
にも関わらず、元婚約者の家は特に母親が強く婚約を望み、半ば強引に結ばせたらしい。
その母親も、息子の逮捕が受け入れられず夫と口論となり、離婚を告げられたらしいが、それは別の職員が担当している。
「何で夫人はあそこまでこだわっていたんでしょうね。ねぇ、レオン弁護官。」
「ン~、それは俺にも分からないなぁ……まぁ、これだけは確実に言えるな。」
「?何ですか?」
「無謀な婚約破棄宣言はするもんじゃない。って言うかするな。」
「………確かに。」
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マフィアの娘プラーム・ヴィオレットの案件でした。
お読みいただきありがとうございます。
とある学園の学生食堂の中で見目麗しい美青年がピンク頭の庇護欲のある少女の肩を抱き、自分の正面にいる銀髪に瑠璃色の瞳の人形のように整った容姿の少女を指差して叫んだ。
「………」
婚約破棄を告げられた少女プラームは無表情なまま、ツカツカと元婚約者に近寄ると、その胸倉を掴んだ。
「うわっ!?なっ、何をする!?」
「ちょっと離しなさいよ!!」
元婚約者の胸倉を掴んだプラームはギロッと鋭い瞳で元婚約者を睨むと、スゥッと息を吐くと……
「てめえ、どのツラさげて言ってんだよ。アァ!!」
ドスのきいた声で叫んだ。
「…………………え?」
「あ?身分を笠にだぁ?
てめえが言うんじゃねぇよ。てめえが。
一番、身分を笠にきてんのてめえだろ!!
てめえの尻ぬぐいやって来たのは誰だ言ってみろやコラァ。」
「ヒィィ~!!」
プラームのあまりにもドスのきいた声と圧力に元婚約者はガタガタと震えた。そしてその隣のピンク頭の少女を睨みつけた。
「ヒッ………!!」
「それに……てめえもてめぇだコノピンク頭!!お前コイツの威をかって好き勝手しやがってよぉ~!!」
プラームとて何もしなかったわけではない。 婚約者の浮気相手である少女は婚約者と親しいことを良いことに、高級バッグや宝石、さらにはドレスなどを貢がせた上、それを換金して夜な夜な遊び歩き男漁りをしていた。
「こっちはこんな婚約受けたくなかったのに、てめえの母親のせいで無理やり婚約させられたんだよ!!記憶偽装してんじゃねぇぞコルラァ~!!てめぇの浮気知ってたから、役所経由でやてめえの両親やてめえに婚約についての話し合いしようとしたのに、無視しやがって。」
「グエッ……きっ、貴様は…私のことが好きなんだろう。」
「ああッ?」
その一言はプラームの怒りを更に爆発させた。
「だ・れ・が、てめえみたいな屑野郎なんか好きになるか、てめえなんか熨斗つけてそこのピンク頭にくれてやるわ!!」
「………まあまあヴィオレット嬢。」
「堪忍袋の尾が切れたのは分かりましたが、落ち着いてください。」
プラームの背後から銀に見える白髪の男とオレンジ色の髪の小柄な少女がプラームを宥めながら現れた。
「なっ、なんだ貴様ら?」
「どうも、僕達はプラーム・ヴィオレット嬢の担当弁護官の第3者意見司法機関婚約・離婚訴訟問題対策課の弁護官レオン・クォーツです。」
「同じく対策課事務官ロゼット・ミュラーです。」
ロゼットと名乗った少女は懐から1枚の紙を出し、それを読み上げた。
「婚約に関わる話し合いの場を設けたにも関わらず、全くこなかった上に、第3者意見司法機関の再三の通達も無視。おまけに独断の婚約破棄宣言により、貴方に逮捕状が出ています。あと、貴女にも婚約破棄宣言の幇助したとして逮捕状が出ていますからね。」
「なっ、何で……?」
何故、婚約破棄を宣言しただけで自分達が逮捕されるのか、ミミ…もといピンク頭頭の少女はただただ困惑した。
その疑問にレオンは当たり前だろうといった感じで答えた。
「何でって……そりゃあ君が法を犯すことをしたからでしょう。おまけに、ヴィオレット嬢に虐められたって冤罪着せて慰謝料ぶんどる魂胆だったんでしょう。」
「なっ、何で知って……あっ!!」
ピンク頭はとっさに口を押さえたが、レオンは聞き逃さなかった。
いつの間にか食堂にいた学生達はいなくなり、緑の軍服の警邏が現れ、2人の前に1枚の紙を出すと、冷たい声で告げる。
「世界共通憲法第666条 婚約法 第30法 婚約間の話し合いの拒否及び第3者意見司法機関の通達の拒否や独断での婚約破棄宣言で君達を逮捕します。」
「「はあぁ~~、とりあえず終わったぁぁ~。」」
第3者意見司法機関に戻った2人はとりあえず終息したことに安堵の声を上げた。
元婚約者と浮気相手の独断の婚約破棄宣言による逮捕と裁判所の判断によって、プラームと彼との婚約は正式に白紙となった。
「あの元婚約者、馬鹿だよなぁ。ワーテルロー島のお姫様に喧嘩売るンだからな。」
「ですよねぇ~。」
ワーテルロー島。かつては囚人達を投獄した監獄島だったが、彼らは島で採れる鉱山の宝石を資金源として財を成していき、いつの間にか島の支配者となり、ワーテルロー島は独立したひとつの国と化していた。この島を支配する4つの家門があり、その中のひとつ、 ヴィオレット家は島の自警団を担ってきた。
プラーム・ヴィオレット嬢はそこの跡取り娘だ。
にも関わらず、元婚約者の家は特に母親が強く婚約を望み、半ば強引に結ばせたらしい。
その母親も、息子の逮捕が受け入れられず夫と口論となり、離婚を告げられたらしいが、それは別の職員が担当している。
「何で夫人はあそこまでこだわっていたんでしょうね。ねぇ、レオン弁護官。」
「ン~、それは俺にも分からないなぁ……まぁ、これだけは確実に言えるな。」
「?何ですか?」
「無謀な婚約破棄宣言はするもんじゃない。って言うかするな。」
「………確かに。」
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マフィアの娘プラーム・ヴィオレットの案件でした。
お読みいただきありがとうございます。
応援ありがとうございます!
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