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政略結婚!?
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それも災害救助の最中にぷっつりと途絶えている。
あの時、千春は死んだのかも。
そう、考えるに至ったのは記憶が蘇ってから半年ほど経ってからだ。
何故唐突に思い出したのだろう。
疑問に思いながらも時を経て、徐々に納得するようになった。
幼い「アシュレイ」が独り残された宮中で生き延びるためには、千春の記憶が必要だったからだと。
娘を独り残して逝かなければならなかった母の想いがそうさせたのかもしれない、と考えると堪らなく切なくなった。
母を死に追いやったのは、この女、キューベルルだ。
「アラウァリアは外海にも接する大国です。国土は広大で、人口も万を超えるとか。その国王陛下に嫁ぐなら、影響力は甚大ですね」
アシュレイは目を上げて、真正面からキューベルルを見据えた。
相変わらず、何て心地の良い声だろう。
まるで小鳥の囀りのようだ。
滅多に喋らないから、自分でも惚れ惚れしてしまう。
「とは申せ、19番目の妃では、貢物に毛が生えたようなものです。せいぜい輿入れまで、肌に磨きをかけなさいな。心多きアラウァリア王の関心を少しでも惹けるようにねえ」
キューベルルは口元を揃えた指先で覆うと、「ほほ」と含みのある笑みを漏らした。
そう、アラウァリアは肥沃な大地が広がる大国である。
しかし現国王である、アラウァリア王は近隣諸国でも無類の女好きで通っており、御年は50歳。
既に18人のもの妾妃を持っている。
所詮はおまけに過ぎず、たとえ寵愛を受けられたとしても、いつ王子への譲位が行われてもおかしくない年齢だ。
「勿体ないくらいの縁談だと、王妃陛下が仰せられたのです。どうぞ楽しみにお待ちください。見事アラウァリア王の寵姫となり、近隣諸国を手中に治めて見せましょう」
この縁談は、キューベルルの主導による、体裁の良い”追放”だ。
アシュレイの意思など関係ないし、拒否もできない。
けれどどうにも黙って従えないので、精一杯の憎まれ口を叩いてやる。
どの道黙っていてもあと数か月、輿入れを待つまでの間嫌がらせが止むだけだ。
大人しくしていてもいなくても、大差ない。
もちろん“近隣諸国”には、このセレンティア王国も含まれている。
「まあ、憎まれ口を叩くなど、性根の卑しい娘だこと。粗相をして、祖国の恥とならぬよう、輿入れまでに再度、教育が必要ね。娘の教育は、継母である私にどうか、ご一任くださいませ、陛下」
キューベルルは媚を含んだ声で、聞こえよがしに許しを請うた。
セレンティア王は小さく頷いただけで、その表情にはなんの感情も窺えない。
(――わかってる。期待なんか、していない)
「キャヴス。アシュレイを連れて行きなさい」
あの時、千春は死んだのかも。
そう、考えるに至ったのは記憶が蘇ってから半年ほど経ってからだ。
何故唐突に思い出したのだろう。
疑問に思いながらも時を経て、徐々に納得するようになった。
幼い「アシュレイ」が独り残された宮中で生き延びるためには、千春の記憶が必要だったからだと。
娘を独り残して逝かなければならなかった母の想いがそうさせたのかもしれない、と考えると堪らなく切なくなった。
母を死に追いやったのは、この女、キューベルルだ。
「アラウァリアは外海にも接する大国です。国土は広大で、人口も万を超えるとか。その国王陛下に嫁ぐなら、影響力は甚大ですね」
アシュレイは目を上げて、真正面からキューベルルを見据えた。
相変わらず、何て心地の良い声だろう。
まるで小鳥の囀りのようだ。
滅多に喋らないから、自分でも惚れ惚れしてしまう。
「とは申せ、19番目の妃では、貢物に毛が生えたようなものです。せいぜい輿入れまで、肌に磨きをかけなさいな。心多きアラウァリア王の関心を少しでも惹けるようにねえ」
キューベルルは口元を揃えた指先で覆うと、「ほほ」と含みのある笑みを漏らした。
そう、アラウァリアは肥沃な大地が広がる大国である。
しかし現国王である、アラウァリア王は近隣諸国でも無類の女好きで通っており、御年は50歳。
既に18人のもの妾妃を持っている。
所詮はおまけに過ぎず、たとえ寵愛を受けられたとしても、いつ王子への譲位が行われてもおかしくない年齢だ。
「勿体ないくらいの縁談だと、王妃陛下が仰せられたのです。どうぞ楽しみにお待ちください。見事アラウァリア王の寵姫となり、近隣諸国を手中に治めて見せましょう」
この縁談は、キューベルルの主導による、体裁の良い”追放”だ。
アシュレイの意思など関係ないし、拒否もできない。
けれどどうにも黙って従えないので、精一杯の憎まれ口を叩いてやる。
どの道黙っていてもあと数か月、輿入れを待つまでの間嫌がらせが止むだけだ。
大人しくしていてもいなくても、大差ない。
もちろん“近隣諸国”には、このセレンティア王国も含まれている。
「まあ、憎まれ口を叩くなど、性根の卑しい娘だこと。粗相をして、祖国の恥とならぬよう、輿入れまでに再度、教育が必要ね。娘の教育は、継母である私にどうか、ご一任くださいませ、陛下」
キューベルルは媚を含んだ声で、聞こえよがしに許しを請うた。
セレンティア王は小さく頷いただけで、その表情にはなんの感情も窺えない。
(――わかってる。期待なんか、していない)
「キャヴス。アシュレイを連れて行きなさい」
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