王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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おまけ 3

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 城内で使用される水は通常、敷地内の井戸から汲み上げられる。

 水源は、城の北西に位置するラギヨン川だ。

 水質は極めて良好で、水底が透けて見えるほど清廉な川だから、衛生面に問題はない。

 しかしエステルの手紙にはわざわざこう記されていた。

「生まれた赤子をオクラノの泉水で清めると、英明で息災に育つらしい。験担ぎに過ぎないが、そうと聞いたなら試してみない手はないだろう」

 エステルの星読みによる予言には理由などない。

 オクラノの泉は城の北側に位置し、城門から歩いて30分ほどの距離がある。

 何もアルダシール自ら汲みに行かずとも、誰かに命じて汲ませれば済む話だ。

 しかし、大した労力でもない。生まれ来る子のために、自らも何かしてやりたい。

「このようなことまでお分かりになるとは。エステル姫の恩返しですね。お幸せになられたようで、何よりです」

 手渡した書面をマクシムも読み終え、笑みを深める。

「水瓶に5杯とは。捉えようによっては真に興味深い内容ですね。……直ぐに出立致しましょう!」

 不満顔で頬を膨らませ気味だったマクシムも即座に納得し、同意した。

 手紙にはエステルたちのその後が綴られていた。

 奇しくも競い合いで勝者の座を手に入れたユリウスは、そのままエステルを妻に迎えなかった。

 勝者の権利を、エステルに移譲したいと提案したらしい。

 アラウァリアを始め、近隣諸国でも女性の地位は高くない。

 ラークの民で能力を授かるのは長い歴史から見ても女児に限定されていた。

 大切な能力を有効に引き継ぐ目的で、選抜を勝ち抜いた男が伴侶となる慣わしができた。

 だが、能力を持つ者自身の意思が考慮されないのは理に適わない。

 現に優勝候補と目されていたシルランは伴侶に相応しかっただろうか。

 そうユリウスは主張した。

 賛否両論はあったものの、古からの慣わしに疑問の声が重なった。

 協議は難航したが、粘り強い説得が功を奏して今回、特例が認められる運びとなった。

 エステルには選定式の特別な報奨として、本人の自由意志で伴侶を定められる権利を与える。

 あくまでも、エステル一代に限る、限定的な定めだ。

 実験的に導入し、村落の存続に影響がないと分ければ、永続的な決まりとして掟に加える検討をする。

 と決まったらしい。

 非常に封建的なやり方だが、一歩前進と言ったところだろう。

 アルダシールも以前からアシュレイに、女性の権利について言及されていた。

 アシュレイを国王であるアルダシールと同等に扱ってくれるように、世の女性にも権利を与えてほしいと。

 こういうことかと、思い知らされる。

 こればかりは他人事ではない。

「3人で行けば一度に持ち帰れます。ご誕生にも充分間に合うでしょう」

 権利関係の是非はともかく、エステルは諸々の礼を兼ねて粋な計らいをしてくれた。

 みすみす逃す手はない。

「私はシーラにそのように伝えてから後を追います」
 
 エッダも状況を飲み込んだらしく、一礼をして踵を返すと、足早に去っていった。

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