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ルシアン様の宣言
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わたくしも己を奮い立たせ、ルシアン様を見つめ返した。
「はい、ルシアン様。お話をお伺いいたします」
真剣な眼差しに、ピリリと空気が張り詰める。
その次の瞬間、ルシアン様は思いがけない行動に出た。
「私は君を心から愛している。オデット、私からの求婚を受け入れて欲しい」
ルシアン様はわたくしの手を取ると、周囲の目など意に介さない様子で跪いた。
(えっ?)
わたくしの心の声を代弁するように、周囲からもどよっと声が上がる。
いったいこの行動を、誰が予想しただろう。
「きゅうこ……わたくしに?」
わたくしは思わずルシアン様の顔と手を交互に見る。
いつの間にかルシアン様の手には、美しい宝飾の施された箱が握られていた。
恭しく蓋を開け、中身がこちらに見えるように捧げ持つ。
「当然だ。君以外にいない」
ルシアン様は跪いたまま顔を上げると、少し赤らんだ頬を隠すように視線を逸らした。
その仕草は、まるで初恋に戸惑う少年のようだ。
「とは仰られても、わたくしは既に」
「そうだ。10年以上も前に、私たちが生涯を共にすることは決まっていた。しかし、それは周囲の意思によるものだ。だから今、私は自分の意思で結婚を申し込みたい。オデット、私と結婚してくれ」
開かれた小箱には、ブレスレットが収まっていた。
華奢な銀の輪を、同じく銀の花弁が取り巻く可憐なデザインだ。
ところどころに宝石が散りばめられているのか、シャンデリアの灯りを弾いてきらきらと輝いている。
いかなる時にも冷静で優雅な振る舞いを、と心掛けているわたくしも、さすがに動揺を隠せなかった。
ルシアン様の言葉をそのまま受け止めるなら、このブレスレットはわたくしへの贈り物なのだろうか。
しかし、それならこれまでの行動に説明がつかない。
「そのブレスレットは、私に下さるのではなかったのですか?」
わたくしが返答に迷っていると、横からマリアナ嬢が割り込んだ。
大勢の生徒たちの注目が集まる中で声を上げられるのだから、度胸は並大抵ではない。
「今私が大切な話をしているとわからないのか? それに最初からこれを私の大切な女性に贈ると、君には伝えたはずだ」
ルシアン様は強引に入れられた横槍に顔を顰めながらも、ゆっくりと立ち上がった。
「はい。ですから……てっきり」
ルシアン様に睨め付けられ、流石のマリアナ嬢も言い淀んだ。
「君が市井の流行や異国の職人を紹介してくれたことに関しては、感謝している。後日になるが、君への礼はきちんとするつもりだ」
マリアナ嬢は顔色と言葉を同時に失った。
ひくり、と口元が動いたけれど、それ以上は言葉にならない。
「すまない、話が逸れてしまったな」
マリアナ嬢がこれ以上発言しないと見てとって、ルシアン様は再びわたくしへ向き直った。
「いえ、お気になさらず。恐れ入りますが、わたくしからも一つよろしいでしょうか」
「ああ。何でも聞いてくれ」
ルシアン様はわたくしの言葉を、心して待つとの意思表示に姿勢を正した。
「このブレスレットは、わたくしへの贈り物でよろしいのですか?」
「はい、ルシアン様。お話をお伺いいたします」
真剣な眼差しに、ピリリと空気が張り詰める。
その次の瞬間、ルシアン様は思いがけない行動に出た。
「私は君を心から愛している。オデット、私からの求婚を受け入れて欲しい」
ルシアン様はわたくしの手を取ると、周囲の目など意に介さない様子で跪いた。
(えっ?)
わたくしの心の声を代弁するように、周囲からもどよっと声が上がる。
いったいこの行動を、誰が予想しただろう。
「きゅうこ……わたくしに?」
わたくしは思わずルシアン様の顔と手を交互に見る。
いつの間にかルシアン様の手には、美しい宝飾の施された箱が握られていた。
恭しく蓋を開け、中身がこちらに見えるように捧げ持つ。
「当然だ。君以外にいない」
ルシアン様は跪いたまま顔を上げると、少し赤らんだ頬を隠すように視線を逸らした。
その仕草は、まるで初恋に戸惑う少年のようだ。
「とは仰られても、わたくしは既に」
「そうだ。10年以上も前に、私たちが生涯を共にすることは決まっていた。しかし、それは周囲の意思によるものだ。だから今、私は自分の意思で結婚を申し込みたい。オデット、私と結婚してくれ」
開かれた小箱には、ブレスレットが収まっていた。
華奢な銀の輪を、同じく銀の花弁が取り巻く可憐なデザインだ。
ところどころに宝石が散りばめられているのか、シャンデリアの灯りを弾いてきらきらと輝いている。
いかなる時にも冷静で優雅な振る舞いを、と心掛けているわたくしも、さすがに動揺を隠せなかった。
ルシアン様の言葉をそのまま受け止めるなら、このブレスレットはわたくしへの贈り物なのだろうか。
しかし、それならこれまでの行動に説明がつかない。
「そのブレスレットは、私に下さるのではなかったのですか?」
わたくしが返答に迷っていると、横からマリアナ嬢が割り込んだ。
大勢の生徒たちの注目が集まる中で声を上げられるのだから、度胸は並大抵ではない。
「今私が大切な話をしているとわからないのか? それに最初からこれを私の大切な女性に贈ると、君には伝えたはずだ」
ルシアン様は強引に入れられた横槍に顔を顰めながらも、ゆっくりと立ち上がった。
「はい。ですから……てっきり」
ルシアン様に睨め付けられ、流石のマリアナ嬢も言い淀んだ。
「君が市井の流行や異国の職人を紹介してくれたことに関しては、感謝している。後日になるが、君への礼はきちんとするつもりだ」
マリアナ嬢は顔色と言葉を同時に失った。
ひくり、と口元が動いたけれど、それ以上は言葉にならない。
「すまない、話が逸れてしまったな」
マリアナ嬢がこれ以上発言しないと見てとって、ルシアン様は再びわたくしへ向き直った。
「いえ、お気になさらず。恐れ入りますが、わたくしからも一つよろしいでしょうか」
「ああ。何でも聞いてくれ」
ルシアン様はわたくしの言葉を、心して待つとの意思表示に姿勢を正した。
「このブレスレットは、わたくしへの贈り物でよろしいのですか?」
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