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【シナリオ】ナフタリンの香り
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~登場人物~
佐藤 静(24)男性設計技師
清水早智子(27)佐藤の先輩設計技師
瀬乃上澄枝(76)瀬乃上家未亡人
瀬乃上さつき(45)澄枝の娘
○瀬乃上家外
真っ白な小花が咲きほこる白い洋館があり、表札には”瀬乃上”と書かれている。
庭先から横浜港が一望出来、ランドマークであるインターコンチネンタルホテル、ランドマークタワー、コスモクロックが見える。
その家を見上げるTシャツに明るい色のスーツにカンカン帽る、佐藤静(24)とキャリアウーマン風のスーツを着た清水早智子(27)がドアの前に立っている。
早智子が家のチャイムを押すと、ドアが開き中から瀬乃上澄枝(76)が上品な和服姿で微笑む。
早智子「所長の鈴木から伺いまして参りました、鈴木設計事務所の私が清水で…」
佐藤「俺、佐藤ッス」
澄子二人を微笑みながら中へ案内する。
○同・ドアの中
ドアをくぐると玄関はなく十畳以上の広間そして、二階へ通じる風と共に去りぬのレッドバトラー邸を思わせる螺旋階段がある。
佐藤は歓喜に満ちた顔でそれを見回す。
佐藤「うわー!! 凄い!! まるで風共の世界だ」
澄枝「そんな風に喜んで頂けると嬉しいわ」
佐藤「え!奥さんはスカーレットですか? 俺、ビビアンリー好きだったんですよ。哀愁は、秀逸ですよね!!」
澄枝子供のようにはしゃぐ佐藤を笑う。
澄枝「私はスカーレットみたいに強い女ではないわ。あなたはそのカンカン帽南部の若者みないで、大変よく似合っているわ」
佐藤「ちょっと意識してきました~」
澄枝それをみて嬉しそうに笑う。しかし早智子は呆れる。
早智子「これはただのコスプレマニアですよ。それよりもこちらを所長の鈴木が設計したと伺いましたが…」
澄枝「ええ、亡くなった主人とそちらの鈴木所長とは友人だったんで、この家を建てる時に思いっきり印象的な物にしようって…」
澄枝、懐かしそうに天井を仰ぐ。
応接室のドアが開きそこから瀬乃上さつき(45)が出てくる。
さつき「設計の方が来たんですか?お母さん」
さつきを見て、慌てて早智子が頭を下げる。
ボーっとそれを見てる佐藤の頭を押さえ、下げさせる。
澄枝それを微笑みながら見つめ、さつきは眉間に皺を寄せ不機嫌な顔をする。
○同・応接室
佐藤、早智子、さつきソファーに座っている。
澄枝は紅茶と焼き菓子を出し、そして腰掛ける。
早智子「この家を全て建て直しで宜しいんでしょうか?」
さつき「ええ、去年父が亡くなりまして、母一人でこの家に住まわしておくのも心配ですので、同居する事になりまして…」
佐藤「こんな凄い家もったいないですよ」
さつき、佐藤を睨む。
早智子「あ、申し訳有りません。で、どう言う風に設計をすればいいのか、教えて頂けますでしょうか?」
さつき「ご覧になったように、この家は機能的に出来ておりませんので、もっと使いやすく住み易いようにして頂きたいんです」
早智子「具体的には?」
さつき「例えばあの玄関の広間や、あの古ぼけた階段なんて無駄なだけですわ」
佐藤驚いたように口を開く。
しかし何も話さずにゆっくり澄枝の顔を見る。
澄枝は静かに目を閉じている。
佐藤は溜息にも似た息を吐く。
早智子徐に立ち上がり、佐藤それを見上げ立ち上がる。
早智子「では来週にでも、もう一回具体的な打ち合わせに伺います」
早智子頭を下げ応接室のドアを開ける。
佐藤、憂いている様に見える澄枝を見つめながら頭を下げ二人部屋を出る。
○外人墓地横の道路
観光客やカップルが疎らな道路。
早智子の横を重い足取りで歩く佐藤。
早智子「どうしたの?佐藤君?」
佐藤「いや…、清水さん、あの家壊さなきゃいけないんですよね?」
早智子「え?だってクライアントからの依頼なんだから仕方ないでしょう?」
佐藤うつむき、足下に転がっていた石を蹴りながら溜息を付く。
早智子「どうしたの黄昏ちゃって?佐藤君らしくないんじゃない?あの家気に入った?」
佐藤「確かに、映画マニアの俺としては萌えますよ。あの家は、でも…」
早智子「でも何?お客さんが建て替えるって言ってるんだからしょうがないでしょう?」
佐藤「あの奥さん、澄枝さんの顔見ました?本当は壊したくないんだろうな、あの家…」
早智子「しょうがないんじゃない?街だって、家だって時代と共に変わって行くのは普通じゃない?それが世の常でしょう?」
佐藤「清水さんはクールだね…。俺は何となくそれじゃ寂しいな。それじゃあさ…」
早智子立ち止まり、眼下に広がる街並みを見下ろす。
早智子「佐藤君この街並を見てこの街は毎日新しい方向に変化して行ってるでしょう? そして古い建物はただ観光目的でしか残らない。そんな物なのよ、建物なんて…」
佐藤悔しそうに拳を握りしめる。
佐藤「でも…。俺ちょっと瀬乃上邸にもう一度行ってきます。所長にそう伝えて下さい」
佐藤は、早智子を残して元来た方向に走り出す。
早智子は溜息を付く。
○瀬乃上邸前
瀬乃上邸全景。
○同・応接室
紅茶のカップと菓子がテーブルに乗っている。
中で佐藤と早智子、向き合うように澄枝が座っている。
佐藤「質問して良いですか?どうしてもこの家を建て替えなくちゃいけないんですか?」
澄枝微笑む。
澄枝「あなたは何故そう思うのかしら?」
佐藤「物凄く良く出来た家だと思います。こんなにきちんと建てられた家を壊すのは勿体ないッテ言うか…」
澄枝「有り難う。この家は主人と、鈴木さんと、私の夢だったの…。でもお仕舞い。世代が変われば住む所も変わって行くものよ」
佐藤「そうですね…」
朗らかに相槌を打った佐藤に、早智子は口を開く。
早智子「そうよ…。変化して行かなくちゃ…、いつまでも古いままでは…」
佐藤「清水さん?」
澄枝「そうかも知れませんね…。そうだわ」
澄枝静かに立ち上がる。
澄枝「申し訳有りません、少し待っていて」
早智子「はぁ…」
澄枝二人を残し、席を立つ。
静まった部屋は気まずい雰囲気をもたらす。
佐藤「何でしょうね?いきなり待っててくれ
って…、美味い物でもくれるんですかね?」
そっぽを向いたまま、早智子応えない。
ちらっと早智子を見、佐藤紅茶と菓子に手を伸ばし口にする。
佐藤「あ、この紅茶とクッキー美味いッス」
しかし早智子は応えない。
するとドアが開き澄枝が箱を持って入ってくる。
澄枝「御免なさいお待たせして、これをあなたに渡したかったんです」
箱を佐藤に渡す。
佐藤はその箱を開けると中からは古いソフト帽が出てくる。
佐藤「これは?」
澄枝「あなたに貰って欲しいの。これは主人がわざわざイギリスで買ったソフト帽なのよ。ハンフリーボガードにあこがれてね」
佐藤「カサブランカですね!!」
澄枝窓の先を見ながら微笑む。
澄枝「若い頃にねその帽子を被ってよく言っていたは、”君の瞳に乾杯”って…」
佐藤にっこりしながら帽子を被り、ティーカップを澄枝に向ける。
佐藤「君の瞳に乾杯」
佐藤ウインクをする。
○外人墓地の前
ソフト帽を被って後ろを気にしている佐藤と、うつむきながら何かを考え込んでいる早智子が歩いている。
佐藤「何気にしてるんっすか?」
一旦顔を上げ口を開こうとするが、戸惑いまたうつむく早智子。
佐藤「清水さんって三重出身ですよね」
早智子「え、ええ」
佐藤「俺はずーっと横浜なんすよ」
早智子「それがなんなの?」
佐藤「ここ十数年で物凄く変わったンすよね、この街。辺り一面整備されて…」
早智子「良い事じゃない?」
佐藤「そうかも知んないっすけど、やっぱ寂しいっすよ。あまりに目まぐるしくって」
早智子溜息を付く。
早智子「私の実家がある街は、いつ帰っても全く変わっていないわ。何にも進化しない
田舎。私はそんな街が嫌でたまらなかった」
佐藤「清水さん…」
早智子「私は、実家よりこの街が好き。どんどん変わって行く…」
佐藤「これからどんどん変わって行くんだろうけど、それでも俺はこの街が好きだな…」
佐藤、空を仰ぐ。
早智子「さ、帰ろうか。時間かかっちゃったからね、打ち合わせで…」
早智子真っ直ぐ前を見て歩き出す。佐藤それを慌てて追う。
(完)
佐藤 静(24)男性設計技師
清水早智子(27)佐藤の先輩設計技師
瀬乃上澄枝(76)瀬乃上家未亡人
瀬乃上さつき(45)澄枝の娘
○瀬乃上家外
真っ白な小花が咲きほこる白い洋館があり、表札には”瀬乃上”と書かれている。
庭先から横浜港が一望出来、ランドマークであるインターコンチネンタルホテル、ランドマークタワー、コスモクロックが見える。
その家を見上げるTシャツに明るい色のスーツにカンカン帽る、佐藤静(24)とキャリアウーマン風のスーツを着た清水早智子(27)がドアの前に立っている。
早智子が家のチャイムを押すと、ドアが開き中から瀬乃上澄枝(76)が上品な和服姿で微笑む。
早智子「所長の鈴木から伺いまして参りました、鈴木設計事務所の私が清水で…」
佐藤「俺、佐藤ッス」
澄子二人を微笑みながら中へ案内する。
○同・ドアの中
ドアをくぐると玄関はなく十畳以上の広間そして、二階へ通じる風と共に去りぬのレッドバトラー邸を思わせる螺旋階段がある。
佐藤は歓喜に満ちた顔でそれを見回す。
佐藤「うわー!! 凄い!! まるで風共の世界だ」
澄枝「そんな風に喜んで頂けると嬉しいわ」
佐藤「え!奥さんはスカーレットですか? 俺、ビビアンリー好きだったんですよ。哀愁は、秀逸ですよね!!」
澄枝子供のようにはしゃぐ佐藤を笑う。
澄枝「私はスカーレットみたいに強い女ではないわ。あなたはそのカンカン帽南部の若者みないで、大変よく似合っているわ」
佐藤「ちょっと意識してきました~」
澄枝それをみて嬉しそうに笑う。しかし早智子は呆れる。
早智子「これはただのコスプレマニアですよ。それよりもこちらを所長の鈴木が設計したと伺いましたが…」
澄枝「ええ、亡くなった主人とそちらの鈴木所長とは友人だったんで、この家を建てる時に思いっきり印象的な物にしようって…」
澄枝、懐かしそうに天井を仰ぐ。
応接室のドアが開きそこから瀬乃上さつき(45)が出てくる。
さつき「設計の方が来たんですか?お母さん」
さつきを見て、慌てて早智子が頭を下げる。
ボーっとそれを見てる佐藤の頭を押さえ、下げさせる。
澄枝それを微笑みながら見つめ、さつきは眉間に皺を寄せ不機嫌な顔をする。
○同・応接室
佐藤、早智子、さつきソファーに座っている。
澄枝は紅茶と焼き菓子を出し、そして腰掛ける。
早智子「この家を全て建て直しで宜しいんでしょうか?」
さつき「ええ、去年父が亡くなりまして、母一人でこの家に住まわしておくのも心配ですので、同居する事になりまして…」
佐藤「こんな凄い家もったいないですよ」
さつき、佐藤を睨む。
早智子「あ、申し訳有りません。で、どう言う風に設計をすればいいのか、教えて頂けますでしょうか?」
さつき「ご覧になったように、この家は機能的に出来ておりませんので、もっと使いやすく住み易いようにして頂きたいんです」
早智子「具体的には?」
さつき「例えばあの玄関の広間や、あの古ぼけた階段なんて無駄なだけですわ」
佐藤驚いたように口を開く。
しかし何も話さずにゆっくり澄枝の顔を見る。
澄枝は静かに目を閉じている。
佐藤は溜息にも似た息を吐く。
早智子徐に立ち上がり、佐藤それを見上げ立ち上がる。
早智子「では来週にでも、もう一回具体的な打ち合わせに伺います」
早智子頭を下げ応接室のドアを開ける。
佐藤、憂いている様に見える澄枝を見つめながら頭を下げ二人部屋を出る。
○外人墓地横の道路
観光客やカップルが疎らな道路。
早智子の横を重い足取りで歩く佐藤。
早智子「どうしたの?佐藤君?」
佐藤「いや…、清水さん、あの家壊さなきゃいけないんですよね?」
早智子「え?だってクライアントからの依頼なんだから仕方ないでしょう?」
佐藤うつむき、足下に転がっていた石を蹴りながら溜息を付く。
早智子「どうしたの黄昏ちゃって?佐藤君らしくないんじゃない?あの家気に入った?」
佐藤「確かに、映画マニアの俺としては萌えますよ。あの家は、でも…」
早智子「でも何?お客さんが建て替えるって言ってるんだからしょうがないでしょう?」
佐藤「あの奥さん、澄枝さんの顔見ました?本当は壊したくないんだろうな、あの家…」
早智子「しょうがないんじゃない?街だって、家だって時代と共に変わって行くのは普通じゃない?それが世の常でしょう?」
佐藤「清水さんはクールだね…。俺は何となくそれじゃ寂しいな。それじゃあさ…」
早智子立ち止まり、眼下に広がる街並みを見下ろす。
早智子「佐藤君この街並を見てこの街は毎日新しい方向に変化して行ってるでしょう? そして古い建物はただ観光目的でしか残らない。そんな物なのよ、建物なんて…」
佐藤悔しそうに拳を握りしめる。
佐藤「でも…。俺ちょっと瀬乃上邸にもう一度行ってきます。所長にそう伝えて下さい」
佐藤は、早智子を残して元来た方向に走り出す。
早智子は溜息を付く。
○瀬乃上邸前
瀬乃上邸全景。
○同・応接室
紅茶のカップと菓子がテーブルに乗っている。
中で佐藤と早智子、向き合うように澄枝が座っている。
佐藤「質問して良いですか?どうしてもこの家を建て替えなくちゃいけないんですか?」
澄枝微笑む。
澄枝「あなたは何故そう思うのかしら?」
佐藤「物凄く良く出来た家だと思います。こんなにきちんと建てられた家を壊すのは勿体ないッテ言うか…」
澄枝「有り難う。この家は主人と、鈴木さんと、私の夢だったの…。でもお仕舞い。世代が変われば住む所も変わって行くものよ」
佐藤「そうですね…」
朗らかに相槌を打った佐藤に、早智子は口を開く。
早智子「そうよ…。変化して行かなくちゃ…、いつまでも古いままでは…」
佐藤「清水さん?」
澄枝「そうかも知れませんね…。そうだわ」
澄枝静かに立ち上がる。
澄枝「申し訳有りません、少し待っていて」
早智子「はぁ…」
澄枝二人を残し、席を立つ。
静まった部屋は気まずい雰囲気をもたらす。
佐藤「何でしょうね?いきなり待っててくれ
って…、美味い物でもくれるんですかね?」
そっぽを向いたまま、早智子応えない。
ちらっと早智子を見、佐藤紅茶と菓子に手を伸ばし口にする。
佐藤「あ、この紅茶とクッキー美味いッス」
しかし早智子は応えない。
するとドアが開き澄枝が箱を持って入ってくる。
澄枝「御免なさいお待たせして、これをあなたに渡したかったんです」
箱を佐藤に渡す。
佐藤はその箱を開けると中からは古いソフト帽が出てくる。
佐藤「これは?」
澄枝「あなたに貰って欲しいの。これは主人がわざわざイギリスで買ったソフト帽なのよ。ハンフリーボガードにあこがれてね」
佐藤「カサブランカですね!!」
澄枝窓の先を見ながら微笑む。
澄枝「若い頃にねその帽子を被ってよく言っていたは、”君の瞳に乾杯”って…」
佐藤にっこりしながら帽子を被り、ティーカップを澄枝に向ける。
佐藤「君の瞳に乾杯」
佐藤ウインクをする。
○外人墓地の前
ソフト帽を被って後ろを気にしている佐藤と、うつむきながら何かを考え込んでいる早智子が歩いている。
佐藤「何気にしてるんっすか?」
一旦顔を上げ口を開こうとするが、戸惑いまたうつむく早智子。
佐藤「清水さんって三重出身ですよね」
早智子「え、ええ」
佐藤「俺はずーっと横浜なんすよ」
早智子「それがなんなの?」
佐藤「ここ十数年で物凄く変わったンすよね、この街。辺り一面整備されて…」
早智子「良い事じゃない?」
佐藤「そうかも知んないっすけど、やっぱ寂しいっすよ。あまりに目まぐるしくって」
早智子溜息を付く。
早智子「私の実家がある街は、いつ帰っても全く変わっていないわ。何にも進化しない
田舎。私はそんな街が嫌でたまらなかった」
佐藤「清水さん…」
早智子「私は、実家よりこの街が好き。どんどん変わって行く…」
佐藤「これからどんどん変わって行くんだろうけど、それでも俺はこの街が好きだな…」
佐藤、空を仰ぐ。
早智子「さ、帰ろうか。時間かかっちゃったからね、打ち合わせで…」
早智子真っ直ぐ前を見て歩き出す。佐藤それを慌てて追う。
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