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【シナリオ】盤面の裏側~悩める仔羊の集う場所~
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~登場人物~
芳賀二葉(21) 男性プロ棋士
藤塚仁史(23) 二葉の対戦相手
平澤始(58) 永世名人
保科久(31) 棋士四冠
碧野風(17) 棋士四段
久永保奈美(23) 女流名人
記者
記録係
○将棋会館・全景
石碑には将棋会館と書いてある。
○同・対局室の前
和室の入り口。
前には”第48期王将戦 王将 藤塚仁史 挑戦者 芳賀二葉”と看板が立っている。
○同・対局室の中
盤を挟んで、芳賀二葉(20)と藤塚仁史が将棋をしている。
藤塚が一手打ち、自分の腕時計と、記録の残り時間を確認し、ニヤリとする。
係が記録を付けている。
○同・控え室の中
モニターが二台あり、一台は芳賀が盤を真剣な面もちで見つめている姿を、もう一台には、かなり対局が進んだ盤を映している。
机に菓子お茶が置かれ、平澤始(58)、保科久(31)、久永保奈美(25)と、碧野風(18)がパソコンを開き、周りには記者がいる。
保科「あ、今度は藤塚がいなくなった。たく、落ち着きのない対局だな…」
藤塚「そうですか?」
平澤「藤塚君!」
藤塚「大丈夫ですよ。今、二葉長考中だし」
藤塚すました顔で、お茶を煎れ飲む。
碧野「不謹慎です!! 王将戦ですよ!!」
碧野は藤塚の腕を掴み、唾を飛ばしながら叫ぶ。
藤塚はその腕を必死に剥がし、その横で保科が大笑いをしている。
藤塚「あー、うざい!! 笑ってないで何とかして下さいよ。保科四冠の力で!!」
保科は笑い止まず、藤塚の肩を叩く。
平澤「まあ、碧野君の云う事も一理あるな」
碧野「そうですよね。平澤先生!!」
苦笑しながら藤塚は、ポケットから煙草を取り出し、一服する。
藤塚「大丈夫なんだよ。あの手は、さすがに二葉も当分考えるだろうから…」
碧野「だからって!!」
藤塚「ちょっと、久永君、助けてよ!!」
保奈美は、藤塚を何か云いたげに見つめるだけで、応えない。
モニターの芳賀が動き一手を打つ。
藤塚表情が変わり、腕時計に目をやり、保奈美に周りの目を盗み、耳打ちする。
藤塚「絶対六時までには終わらすからな」
保奈美「…」
ニヤリと笑い、藤塚は立ち上がり部屋を出て、モニターには芳賀の姿がない。
○同・廊下
藤塚が歩いてくる。こそこそ隠れる様に、芳賀が携帯で電話している。
芳賀「なー、華子!! 今晩良いだろ~。対局は七時迄には終わるからサー。なーそう言わずにサー。あっ!!」
溜息を付きながら芳賀は、電話を切る。
その様子をニヤリと見つめ、対局室に藤塚は戻る。
芳賀は新たに電話をする。
○同・控え室の中
碧野がぷりぷり怒りながら、モニターを見ている。
モニターには、芳賀はおらず、丁度、席に着いている藤塚の姿が見える。
碧野「全く、王将戦ですよ、王将戦!! なのに、なんて、不謹慎なんでしょうか!!」
平澤と記者は、眉間に皺を寄せ、保科はケタケタ笑っている。
碧野「先生方もそう思いませんか? 保科先生は、ケタケタ笑っているだけですが!!」
保科「え、面白いから良いじゃないか! 将棋は楽しまなくっちゃ。見ていても二人の行動が面白いから、僕はO.K.」
碧野「棋界の宝と謳われている、保科四冠の言葉とは、思えないです」
保科は顔をしかめる。
平澤「まあ、碧野君も若いんだから、そう硬い事、言わずにさ、盤を見てみたらどうだい? 二人とも面白い手を打っている…」
○将棋盤面
84手まで駒が動き、藤塚が4四銀と打ち、芳賀君が5六飛車を打つ。
○将棋会館・控え室
平澤、保科、碧野、保奈美、記者がモニターを見ながら閑談している。
保科「確かに、二日目で84手まで来て、藤塚君が4四銀、芳賀君が5六飛車か…。ちょっと予測の付かない、面白い手ですよね?」
保科また笑いだし、止まらなくなる。
平澤「でも、保科君の手も彼らみたいに、定石だけに囚われない将棋をするじゃないか」
いきなり顔を芳賀は出す。
芳賀「そうですよねー。目の前でいきなりサンバを踊り出す様な、手を打ちますよね!!」
保科「さ、サンバ!!」
笑い続け、保科咳き込み、開放する保奈美。
芳賀に碧野が、詰め寄ってくる。
碧野「全く!何で皆さん不謹慎なんですか!! 対局中ですよ!対局中!!」
芳賀「そうですよね~。で、久永さん! 今晩デートしません?」
碧野に愛想笑いをしながら、保奈美の手を芳賀は握る。
保奈美は芳賀の手を押し戻し、ちらりと保科を見る。
保科その視線に気付きつつ笑い続けている。
保奈美「そうね~。保科せんせを抜いて、五冠くらい取ったら、考えるわ」
平澤「しかし、昨日は物凄い勢いで早差しをしていたと思ったら、今日は随分ゆっくり打っているね」
芳賀「えーだって、今日対局二日目ですよ!! この後当分地方に回るし、今日デートしなくていつデートするんですか!?」
保科「二葉はいっつもそうだね。まるでナンパで願掛けでもしてるのかな? 成功すれば勝てるみないな…」
一瞬、芳賀は言葉を失い、失笑しながら慌てて芳賀が立ち上がる。
芳賀「さ、戻らないと~」
芳賀にこやかに手を降って退出する。
○同・控え室前の廊下
溜息を付きながら、ポケットから芳賀は携帯を取り出し、電話する。
芳賀「あ、比奈乃?今晩だけどさ~」
○同・控え室の中
平澤、保科、碧野、保奈美、記者がモニターを見ながら閑談している。
保科「あ、やっと戻って来た」
碧野「誰がですか?」
保科「え、二葉だよ。実は彼って若い割りに、古風でね。プレッシャーきつい対局は、必ず願掛けするんだよ?
碧野「願掛けですか?」
保科はニタニタ笑いながら云う。
保科「二葉は緊張する対局は、絶対ナンパしまくるんだよ。何でも相手が見つかる時は、必ず勝つらしくてね」
思いっきり机を、碧野は叩く。
碧野「ナンパ!? ってタイトル戦ですよ!! 何でそんな非常識な事が出来るんですか!!」
保科「碧野君は、もうちょっと柔軟な精神を持った方が、良いんじゃないのか?」
碧野「保科先生こそ、もっと真剣に将棋を指すべきです!!」
保奈美「あ、保科さん怒られてる」
保科「保奈美、助けてくれよ~」
保奈美「それより、三手進んだわよ」
保奈美はモニターを指し、保科は見る。
保科「藤塚君は早差しモードか…。あ、また二葉逃げてる」
沈黙し保科は、モニターを見つめる。
○同・控え室前の廊下
芳賀は携帯で電話する。
芳賀「あ、文ちゃん?今晩だけどさ~、あー、待って切るなよ~」
○同・対局室の中
芳賀が溜息を付いて襖を開いて入って来る。
藤塚は余裕の表情で芳賀を見つめる。
もう一度溜息を付き、記録者の前に置かれた時計で、自分の持ち時間を、芳賀は確認する。
芳賀「今、四時半か…。おし! 残り一時間半か…。後、辺見ちゃんと、帆戸ちゃん位には、電話出来るな…」
芳賀は上目づかいに藤塚を見つめ、ニヤリと微笑む。
藤塚は眉間に皺を寄せ、芳賀を見る。
芳賀「さ、まずはさっさと、進めますか…」
芳賀、”歩”を取り、ニヤリとする。
○同・控え室の中 (夜)
窓の外が暗くなっている。平澤、保奈美、記者がモニターを見ながら閑談し、保科と碧野が、将棋盤を開いている。
平澤「そろそろ、終盤に近づいてきたな」
保科は盤からモニターに目線を移す。
保科「あ、また藤塚が逃亡している…」
襖が開き、藤塚が入って来ると、保奈美を手招きする。
保奈美は自分を指で指し、藤塚は頷き、襖を閉じる。
保奈美は口を尖らせ、外に出る。
○同・控え室前の廊下 (夜)
藤塚と保奈美が立っている。
藤塚「ちょっと対局長くなりそうだから、待っていてくれる?」
保奈美、云い辛そうにもじもじし、深呼吸する。
保奈美「大事な対局中に申し訳ないんだけど、今晩つきあえない」
藤塚「あ、じゃあ、明日でも…」
保奈美「そうじゃなくて、別れましょう…」
藤塚「え…」
藤塚は、愕然とする。
○同・対局室 (夜)
駒を片づけている藤塚と芳賀、その横で平澤が記録を確認しており、少し離れた所で、保科と碧野が閑談している。
平澤「良い勝負だった。第三局が楽しみだ」
藤塚「有り難う御座います」
藤塚は平澤に頭を下げる。
芳賀「これで、イーブンですからね!! 次は負けませんよ!!」
保科「で、もう一つの対局は、お二方どうだったんだ?」
藤塚「…。何で楽しそうにそう訊くんですか? 四冠…」
芳賀「四冠のおごりで徹底的に飲むぞ!!」
保科「待てよ!! お前も振られたのか?」
芳賀「云わないで下さいよ!! 碧野お前もつきあえよ!!」
保科「ちょっと待てお前ら、今何時だと思ってるんだ!!」
芳賀、袖をたくし上げ腕時計を見る。
芳賀「知ってますよ、もうすぐ一時でしょう? あー、長い対局だった…」
芳賀はストレッチする。盤が片づけられ、皆部屋を出る。
藤塚「大丈夫、俺一人暮らしだから、近所に酒屋もあるし…、さ、行きましょう。所で、なんでさ忙しい四冠がいるんです?」
保科「それは…」
全員退出し、部屋の電気が消される。
(了)
芳賀二葉(21) 男性プロ棋士
藤塚仁史(23) 二葉の対戦相手
平澤始(58) 永世名人
保科久(31) 棋士四冠
碧野風(17) 棋士四段
久永保奈美(23) 女流名人
記者
記録係
○将棋会館・全景
石碑には将棋会館と書いてある。
○同・対局室の前
和室の入り口。
前には”第48期王将戦 王将 藤塚仁史 挑戦者 芳賀二葉”と看板が立っている。
○同・対局室の中
盤を挟んで、芳賀二葉(20)と藤塚仁史が将棋をしている。
藤塚が一手打ち、自分の腕時計と、記録の残り時間を確認し、ニヤリとする。
係が記録を付けている。
○同・控え室の中
モニターが二台あり、一台は芳賀が盤を真剣な面もちで見つめている姿を、もう一台には、かなり対局が進んだ盤を映している。
机に菓子お茶が置かれ、平澤始(58)、保科久(31)、久永保奈美(25)と、碧野風(18)がパソコンを開き、周りには記者がいる。
保科「あ、今度は藤塚がいなくなった。たく、落ち着きのない対局だな…」
藤塚「そうですか?」
平澤「藤塚君!」
藤塚「大丈夫ですよ。今、二葉長考中だし」
藤塚すました顔で、お茶を煎れ飲む。
碧野「不謹慎です!! 王将戦ですよ!!」
碧野は藤塚の腕を掴み、唾を飛ばしながら叫ぶ。
藤塚はその腕を必死に剥がし、その横で保科が大笑いをしている。
藤塚「あー、うざい!! 笑ってないで何とかして下さいよ。保科四冠の力で!!」
保科は笑い止まず、藤塚の肩を叩く。
平澤「まあ、碧野君の云う事も一理あるな」
碧野「そうですよね。平澤先生!!」
苦笑しながら藤塚は、ポケットから煙草を取り出し、一服する。
藤塚「大丈夫なんだよ。あの手は、さすがに二葉も当分考えるだろうから…」
碧野「だからって!!」
藤塚「ちょっと、久永君、助けてよ!!」
保奈美は、藤塚を何か云いたげに見つめるだけで、応えない。
モニターの芳賀が動き一手を打つ。
藤塚表情が変わり、腕時計に目をやり、保奈美に周りの目を盗み、耳打ちする。
藤塚「絶対六時までには終わらすからな」
保奈美「…」
ニヤリと笑い、藤塚は立ち上がり部屋を出て、モニターには芳賀の姿がない。
○同・廊下
藤塚が歩いてくる。こそこそ隠れる様に、芳賀が携帯で電話している。
芳賀「なー、華子!! 今晩良いだろ~。対局は七時迄には終わるからサー。なーそう言わずにサー。あっ!!」
溜息を付きながら芳賀は、電話を切る。
その様子をニヤリと見つめ、対局室に藤塚は戻る。
芳賀は新たに電話をする。
○同・控え室の中
碧野がぷりぷり怒りながら、モニターを見ている。
モニターには、芳賀はおらず、丁度、席に着いている藤塚の姿が見える。
碧野「全く、王将戦ですよ、王将戦!! なのに、なんて、不謹慎なんでしょうか!!」
平澤と記者は、眉間に皺を寄せ、保科はケタケタ笑っている。
碧野「先生方もそう思いませんか? 保科先生は、ケタケタ笑っているだけですが!!」
保科「え、面白いから良いじゃないか! 将棋は楽しまなくっちゃ。見ていても二人の行動が面白いから、僕はO.K.」
碧野「棋界の宝と謳われている、保科四冠の言葉とは、思えないです」
保科は顔をしかめる。
平澤「まあ、碧野君も若いんだから、そう硬い事、言わずにさ、盤を見てみたらどうだい? 二人とも面白い手を打っている…」
○将棋盤面
84手まで駒が動き、藤塚が4四銀と打ち、芳賀君が5六飛車を打つ。
○将棋会館・控え室
平澤、保科、碧野、保奈美、記者がモニターを見ながら閑談している。
保科「確かに、二日目で84手まで来て、藤塚君が4四銀、芳賀君が5六飛車か…。ちょっと予測の付かない、面白い手ですよね?」
保科また笑いだし、止まらなくなる。
平澤「でも、保科君の手も彼らみたいに、定石だけに囚われない将棋をするじゃないか」
いきなり顔を芳賀は出す。
芳賀「そうですよねー。目の前でいきなりサンバを踊り出す様な、手を打ちますよね!!」
保科「さ、サンバ!!」
笑い続け、保科咳き込み、開放する保奈美。
芳賀に碧野が、詰め寄ってくる。
碧野「全く!何で皆さん不謹慎なんですか!! 対局中ですよ!対局中!!」
芳賀「そうですよね~。で、久永さん! 今晩デートしません?」
碧野に愛想笑いをしながら、保奈美の手を芳賀は握る。
保奈美は芳賀の手を押し戻し、ちらりと保科を見る。
保科その視線に気付きつつ笑い続けている。
保奈美「そうね~。保科せんせを抜いて、五冠くらい取ったら、考えるわ」
平澤「しかし、昨日は物凄い勢いで早差しをしていたと思ったら、今日は随分ゆっくり打っているね」
芳賀「えーだって、今日対局二日目ですよ!! この後当分地方に回るし、今日デートしなくていつデートするんですか!?」
保科「二葉はいっつもそうだね。まるでナンパで願掛けでもしてるのかな? 成功すれば勝てるみないな…」
一瞬、芳賀は言葉を失い、失笑しながら慌てて芳賀が立ち上がる。
芳賀「さ、戻らないと~」
芳賀にこやかに手を降って退出する。
○同・控え室前の廊下
溜息を付きながら、ポケットから芳賀は携帯を取り出し、電話する。
芳賀「あ、比奈乃?今晩だけどさ~」
○同・控え室の中
平澤、保科、碧野、保奈美、記者がモニターを見ながら閑談している。
保科「あ、やっと戻って来た」
碧野「誰がですか?」
保科「え、二葉だよ。実は彼って若い割りに、古風でね。プレッシャーきつい対局は、必ず願掛けするんだよ?
碧野「願掛けですか?」
保科はニタニタ笑いながら云う。
保科「二葉は緊張する対局は、絶対ナンパしまくるんだよ。何でも相手が見つかる時は、必ず勝つらしくてね」
思いっきり机を、碧野は叩く。
碧野「ナンパ!? ってタイトル戦ですよ!! 何でそんな非常識な事が出来るんですか!!」
保科「碧野君は、もうちょっと柔軟な精神を持った方が、良いんじゃないのか?」
碧野「保科先生こそ、もっと真剣に将棋を指すべきです!!」
保奈美「あ、保科さん怒られてる」
保科「保奈美、助けてくれよ~」
保奈美「それより、三手進んだわよ」
保奈美はモニターを指し、保科は見る。
保科「藤塚君は早差しモードか…。あ、また二葉逃げてる」
沈黙し保科は、モニターを見つめる。
○同・控え室前の廊下
芳賀は携帯で電話する。
芳賀「あ、文ちゃん?今晩だけどさ~、あー、待って切るなよ~」
○同・対局室の中
芳賀が溜息を付いて襖を開いて入って来る。
藤塚は余裕の表情で芳賀を見つめる。
もう一度溜息を付き、記録者の前に置かれた時計で、自分の持ち時間を、芳賀は確認する。
芳賀「今、四時半か…。おし! 残り一時間半か…。後、辺見ちゃんと、帆戸ちゃん位には、電話出来るな…」
芳賀は上目づかいに藤塚を見つめ、ニヤリと微笑む。
藤塚は眉間に皺を寄せ、芳賀を見る。
芳賀「さ、まずはさっさと、進めますか…」
芳賀、”歩”を取り、ニヤリとする。
○同・控え室の中 (夜)
窓の外が暗くなっている。平澤、保奈美、記者がモニターを見ながら閑談し、保科と碧野が、将棋盤を開いている。
平澤「そろそろ、終盤に近づいてきたな」
保科は盤からモニターに目線を移す。
保科「あ、また藤塚が逃亡している…」
襖が開き、藤塚が入って来ると、保奈美を手招きする。
保奈美は自分を指で指し、藤塚は頷き、襖を閉じる。
保奈美は口を尖らせ、外に出る。
○同・控え室前の廊下 (夜)
藤塚と保奈美が立っている。
藤塚「ちょっと対局長くなりそうだから、待っていてくれる?」
保奈美、云い辛そうにもじもじし、深呼吸する。
保奈美「大事な対局中に申し訳ないんだけど、今晩つきあえない」
藤塚「あ、じゃあ、明日でも…」
保奈美「そうじゃなくて、別れましょう…」
藤塚「え…」
藤塚は、愕然とする。
○同・対局室 (夜)
駒を片づけている藤塚と芳賀、その横で平澤が記録を確認しており、少し離れた所で、保科と碧野が閑談している。
平澤「良い勝負だった。第三局が楽しみだ」
藤塚「有り難う御座います」
藤塚は平澤に頭を下げる。
芳賀「これで、イーブンですからね!! 次は負けませんよ!!」
保科「で、もう一つの対局は、お二方どうだったんだ?」
藤塚「…。何で楽しそうにそう訊くんですか? 四冠…」
芳賀「四冠のおごりで徹底的に飲むぞ!!」
保科「待てよ!! お前も振られたのか?」
芳賀「云わないで下さいよ!! 碧野お前もつきあえよ!!」
保科「ちょっと待てお前ら、今何時だと思ってるんだ!!」
芳賀、袖をたくし上げ腕時計を見る。
芳賀「知ってますよ、もうすぐ一時でしょう? あー、長い対局だった…」
芳賀はストレッチする。盤が片づけられ、皆部屋を出る。
藤塚「大丈夫、俺一人暮らしだから、近所に酒屋もあるし…、さ、行きましょう。所で、なんでさ忙しい四冠がいるんです?」
保科「それは…」
全員退出し、部屋の電気が消される。
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