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【シナリオ】Codename:KARUIZAWA
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~登場人物~
渡辺 渉(19)大学生
伊藤 糸香(20)渡辺の友人
宇佐見 浮藻(21)渡辺の友人
江崎 詠子(18)渡辺の友人
音原 旺彦(20)渡辺の友人
村民A
村民B
村民C
○JR長野新幹線”あさま”全景
新幹線が走り去る。
○同・車内
ボックス席には、伊藤糸香(20)と宇佐見浮藻(21)、江崎詠子(18)、音原旺彦(20)が、通通を挟んで、音原の隣に渡辺渉(19)が座っている。
渡辺の手にはA4のホチキスで束ねられた紙がある。
表紙には、CodeName”Karuizawa”と書かれている。
○(回想)渡辺家全景の
T―三ヶ月前
電柱から蝉の鳴き声が、聞こえる。
道路には陽炎が蟠っている。
○(回想)渡辺部屋の中
机の上に向かう渡辺、詠子と音原がパソコンのモニターを眺めている。
中央に置かれたちゃぶ台には、汗をかいて、氷の溶けた五杯の麦茶が置かれている。
ちゃぶ台に付くように、糸香と浮藻が怠そうにくつろいでいる。
モニターに、”軽井沢へようこそ”と出る。
渡辺マウスをクリックする。
画面が変わり、店舗案内が出る。
音原「もっと面白そうなのねーのかな?」
伊藤と宇佐見も、渡辺に近づき、モニターをのぞき込む。
糸香「えー、こんな感じ何じゃない? 避暑地って云うの? おしゃれな別荘有って、テニスして…」
浮藻「ねー、別の頁調べてみてよ。例えば、ローマ字で検索とか? 当て字とか?」
糸香「なんか、それってやばい頁引っかかりそうじゃない? 変な掲示版の…」
音原「あ、あれね…」
浮藻「何?あれって?」
音原「ま、子供は知らなくてもいいの!」
浮藻「何?何?」
渡辺マウスを持つ手を離し、後ろの糸香、浮藻、詠子、音原の方を向く。
渡辺「で、どうするの?」
詠子「ま、試しに、ローマ字で検索して!」
糸香「てゆっか、そこまで拘る?」
詠子「折角の旅行じゃん。わくわくどきどきしたいじゃん?」
音原「軽井沢でわくわくどきどきね…」
詠子「場所はあたしの希望じゃないよ」
糸香「でもー、夏場の避暑地って云ったら、軽井沢っしょ?」
音原「ハワイじゃなく?」
糸香「そんな金無いって…」
浮藻「海は焼けるからやだし~、まあ、別荘も借りれたし~。一応、合宿って名目もクリアだし~?」
糸香「あ、合宿だっけ?」
渡辺「まあ、忘れているかも知れないけど、エンターティメント研究会の合宿…」
糸香「あ…、どう云う研究会だっけ?」
音原「エンターティメントの研究…」
詠子「そのままじゃん。つうか、飲み会以外何したか覚えてないんだけど…」
音原「そんなもんでいいでしょ? まあ、この時期なのに、安い別荘も借りれたし」
渡辺は、適当にパソコンを操作している。
詠子、モニターをのぞき込む。
詠子「早く!全く、だらだらやってないで、さっさと検索しなさい!」
音原は肩をすくめて、目で渡辺に”やれ”とサインを送る。
渡辺はいきなり、行動を止める。
モニターには、頁のタイトルとして、”Codename:Karuizawa”と文字が出ている。
渡辺は、文字をクリックする。
”軽井沢埋蔵金伝説”と書かれた頁がで、軽井沢の歴史、埋蔵金伝説の説明がある。
大正十年の軽井沢の写真、地図が貼ってあり、その横に帝国軍が、当時の国家予算並の金を埋めたと書いてある。
地図は旧軽井沢の愛宕山中腹辺りに、印がある。
渡辺「何だこりゃ…?」
詠子は乗り出し、糸香、浮藻と音原が慌ててモニターをのぞき込む。
渡辺「これ、まじかな?」
詠子「うーん、ちょっと良い感じじゃん」
浮藻「えー、気味悪い~」
渡辺「Codename:Karuizawaって頁名は書いてあったよ」
詠子「まじかな?この”埋蔵金”って…」
糸香「てゆっかー、何で、帝国軍の埋蔵金の作戦名が、英語なの?」
音原「えー、強引に作った観光スポットとかじゃねーの?」
詠子「嘘にしても、マジにしてもちょっと興味無い?」
糸香「あ、それ、云えるかも…」
浮藻「ここ、行って見ようよ!!」
詠子「ねー、プリントアウトして!」
渡辺は音原の顔を見て、助けを求める。
音原は、眉間に皺を寄せ、”仕方ない”と言う顔をする。渡辺は溜息を付き画
面を印刷する。
机脇のプリンターから何枚か紙が出てくると、すかさず詠子が取り、糸香と浮藻がのぞき込む。
モニターには、隠し場所の地図。
渡辺「この地図だと、旧軽井沢だな。旧三笠ホテルと熊野神社の間かな?」
糸香「愛宕山の中腹辺りよね」
浮藻「これって、地図的には、借りてる別荘に近くない?」
音原「でも、完全に山登りだよ?」
浮藻「げ!!」
渡辺「じゃ、止める?」
詠子「絶対行く!」
音原「じゃ他は?」
糸香、浮藻は顔を見合わすが、その先の詠子の強い視線に肩をすくませる。
糸香「ま、詠子女史が云うように、楽しければ良しかな?」
音原「浮藻は?」
周りを見渡し、肩をすぼめ浮藻は小さく手を挙げる。
浮藻「えー、そんな目で見ないで!判った、行きたいよ!」
詠子「じゃ、ここに決定!渡辺と音原は車とか手配宜しくね!」
顔を見合われる渡辺と音原。蝉の鳴き声が聞こえる。
○(回想)同・外
蝉が電柱に止まって啼いているが、空遠くに飛んでいく。
○JR長野新幹線”あさま”全景
T―三ヶ月後
新幹線が走り去る。
○軽井沢駅
軽井沢駅と看板が見える改札を、渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原が降り立つ。
○軽井沢駅周辺・街並み→山道
車で移動している風景。
○愛宕山
愛宕山と看板が出ている山道を登り始める渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原。
糸香「ほんとにこんなとこにあんの?」
浮藻「でも、軽井沢ってだけで、金持ちが財宝埋めてそうじゃない?」
音原「そうか?」
詠子「あ、あれ…」
詠子の指す方向に看板が見える。
看板には”ここには埋蔵金は有りません。
勝手に掘り返さないで下さい”と書かれている。
音原「だって…、どうする?」
糸香「い、いちおう…、ここまで来たんだし、行くだけ、行かない?」
浮藻「だよね?」
詠子「そうよ、いこ!!」
糸香、浮藻、詠子看板の先に進む。
溜息を付きながら音原、渡辺それを追い掛ける。
しばらく歩き、糸香、浮藻、詠子が立ちつくし、渡辺が唖然と立ちつくす。
眼下には穴だらけ、ゴミだらけの風景が広がる。
音原「何だこりゃ…」
詠子「きっと、あのホームページ見て、みんな掘り起こしたんじゃん?」
浮藻「げ、さいて…」
村民A「こらー!!」
渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原振り向くと、村民が数名すきやくわを持って立っている。
村民B「また、こんなにして!ちゃんと元に戻せ!」
くわやすきで、渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原を脅す。渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原互いの顔を見る。
糸香「あたしたち掘ったりしてないですよ」
浮藻「そーよ、今来たばっかだし…」
後ずさりしようとするが、出来ない糸香、浮藻、詠子。
○愛宕山全景
雲一つない青空に山並みが広がる。
○同・中腹(昼→夕)
軍手をして、ゴミ拾い、穴を埋めている渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原。
浮藻「なんか、たまにはこう云うのもよくない? 都会を忘れるっていうか~」
詠子「確かに~、誤解はあるにせよ。ちょっと良いことしてるって感じ?」
音原「そうか?」
渡辺「まあ、これもありっしょ?」
糸香「確かに、物見遊山で山あらしちゃだめだって、教訓めいた話だよね…」
渡辺「そうだな~」
空を見上げる渡辺。空は夕日に染まり、鳥が数羽鳴いている。
渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原を夕日が染める。
○愛宕山全景 (夕)
夕日に染まった山並みが広がる。
(了)
渡辺 渉(19)大学生
伊藤 糸香(20)渡辺の友人
宇佐見 浮藻(21)渡辺の友人
江崎 詠子(18)渡辺の友人
音原 旺彦(20)渡辺の友人
村民A
村民B
村民C
○JR長野新幹線”あさま”全景
新幹線が走り去る。
○同・車内
ボックス席には、伊藤糸香(20)と宇佐見浮藻(21)、江崎詠子(18)、音原旺彦(20)が、通通を挟んで、音原の隣に渡辺渉(19)が座っている。
渡辺の手にはA4のホチキスで束ねられた紙がある。
表紙には、CodeName”Karuizawa”と書かれている。
○(回想)渡辺家全景の
T―三ヶ月前
電柱から蝉の鳴き声が、聞こえる。
道路には陽炎が蟠っている。
○(回想)渡辺部屋の中
机の上に向かう渡辺、詠子と音原がパソコンのモニターを眺めている。
中央に置かれたちゃぶ台には、汗をかいて、氷の溶けた五杯の麦茶が置かれている。
ちゃぶ台に付くように、糸香と浮藻が怠そうにくつろいでいる。
モニターに、”軽井沢へようこそ”と出る。
渡辺マウスをクリックする。
画面が変わり、店舗案内が出る。
音原「もっと面白そうなのねーのかな?」
伊藤と宇佐見も、渡辺に近づき、モニターをのぞき込む。
糸香「えー、こんな感じ何じゃない? 避暑地って云うの? おしゃれな別荘有って、テニスして…」
浮藻「ねー、別の頁調べてみてよ。例えば、ローマ字で検索とか? 当て字とか?」
糸香「なんか、それってやばい頁引っかかりそうじゃない? 変な掲示版の…」
音原「あ、あれね…」
浮藻「何?あれって?」
音原「ま、子供は知らなくてもいいの!」
浮藻「何?何?」
渡辺マウスを持つ手を離し、後ろの糸香、浮藻、詠子、音原の方を向く。
渡辺「で、どうするの?」
詠子「ま、試しに、ローマ字で検索して!」
糸香「てゆっか、そこまで拘る?」
詠子「折角の旅行じゃん。わくわくどきどきしたいじゃん?」
音原「軽井沢でわくわくどきどきね…」
詠子「場所はあたしの希望じゃないよ」
糸香「でもー、夏場の避暑地って云ったら、軽井沢っしょ?」
音原「ハワイじゃなく?」
糸香「そんな金無いって…」
浮藻「海は焼けるからやだし~、まあ、別荘も借りれたし~。一応、合宿って名目もクリアだし~?」
糸香「あ、合宿だっけ?」
渡辺「まあ、忘れているかも知れないけど、エンターティメント研究会の合宿…」
糸香「あ…、どう云う研究会だっけ?」
音原「エンターティメントの研究…」
詠子「そのままじゃん。つうか、飲み会以外何したか覚えてないんだけど…」
音原「そんなもんでいいでしょ? まあ、この時期なのに、安い別荘も借りれたし」
渡辺は、適当にパソコンを操作している。
詠子、モニターをのぞき込む。
詠子「早く!全く、だらだらやってないで、さっさと検索しなさい!」
音原は肩をすくめて、目で渡辺に”やれ”とサインを送る。
渡辺はいきなり、行動を止める。
モニターには、頁のタイトルとして、”Codename:Karuizawa”と文字が出ている。
渡辺は、文字をクリックする。
”軽井沢埋蔵金伝説”と書かれた頁がで、軽井沢の歴史、埋蔵金伝説の説明がある。
大正十年の軽井沢の写真、地図が貼ってあり、その横に帝国軍が、当時の国家予算並の金を埋めたと書いてある。
地図は旧軽井沢の愛宕山中腹辺りに、印がある。
渡辺「何だこりゃ…?」
詠子は乗り出し、糸香、浮藻と音原が慌ててモニターをのぞき込む。
渡辺「これ、まじかな?」
詠子「うーん、ちょっと良い感じじゃん」
浮藻「えー、気味悪い~」
渡辺「Codename:Karuizawaって頁名は書いてあったよ」
詠子「まじかな?この”埋蔵金”って…」
糸香「てゆっかー、何で、帝国軍の埋蔵金の作戦名が、英語なの?」
音原「えー、強引に作った観光スポットとかじゃねーの?」
詠子「嘘にしても、マジにしてもちょっと興味無い?」
糸香「あ、それ、云えるかも…」
浮藻「ここ、行って見ようよ!!」
詠子「ねー、プリントアウトして!」
渡辺は音原の顔を見て、助けを求める。
音原は、眉間に皺を寄せ、”仕方ない”と言う顔をする。渡辺は溜息を付き画
面を印刷する。
机脇のプリンターから何枚か紙が出てくると、すかさず詠子が取り、糸香と浮藻がのぞき込む。
モニターには、隠し場所の地図。
渡辺「この地図だと、旧軽井沢だな。旧三笠ホテルと熊野神社の間かな?」
糸香「愛宕山の中腹辺りよね」
浮藻「これって、地図的には、借りてる別荘に近くない?」
音原「でも、完全に山登りだよ?」
浮藻「げ!!」
渡辺「じゃ、止める?」
詠子「絶対行く!」
音原「じゃ他は?」
糸香、浮藻は顔を見合わすが、その先の詠子の強い視線に肩をすくませる。
糸香「ま、詠子女史が云うように、楽しければ良しかな?」
音原「浮藻は?」
周りを見渡し、肩をすぼめ浮藻は小さく手を挙げる。
浮藻「えー、そんな目で見ないで!判った、行きたいよ!」
詠子「じゃ、ここに決定!渡辺と音原は車とか手配宜しくね!」
顔を見合われる渡辺と音原。蝉の鳴き声が聞こえる。
○(回想)同・外
蝉が電柱に止まって啼いているが、空遠くに飛んでいく。
○JR長野新幹線”あさま”全景
T―三ヶ月後
新幹線が走り去る。
○軽井沢駅
軽井沢駅と看板が見える改札を、渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原が降り立つ。
○軽井沢駅周辺・街並み→山道
車で移動している風景。
○愛宕山
愛宕山と看板が出ている山道を登り始める渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原。
糸香「ほんとにこんなとこにあんの?」
浮藻「でも、軽井沢ってだけで、金持ちが財宝埋めてそうじゃない?」
音原「そうか?」
詠子「あ、あれ…」
詠子の指す方向に看板が見える。
看板には”ここには埋蔵金は有りません。
勝手に掘り返さないで下さい”と書かれている。
音原「だって…、どうする?」
糸香「い、いちおう…、ここまで来たんだし、行くだけ、行かない?」
浮藻「だよね?」
詠子「そうよ、いこ!!」
糸香、浮藻、詠子看板の先に進む。
溜息を付きながら音原、渡辺それを追い掛ける。
しばらく歩き、糸香、浮藻、詠子が立ちつくし、渡辺が唖然と立ちつくす。
眼下には穴だらけ、ゴミだらけの風景が広がる。
音原「何だこりゃ…」
詠子「きっと、あのホームページ見て、みんな掘り起こしたんじゃん?」
浮藻「げ、さいて…」
村民A「こらー!!」
渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原振り向くと、村民が数名すきやくわを持って立っている。
村民B「また、こんなにして!ちゃんと元に戻せ!」
くわやすきで、渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原を脅す。渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原互いの顔を見る。
糸香「あたしたち掘ったりしてないですよ」
浮藻「そーよ、今来たばっかだし…」
後ずさりしようとするが、出来ない糸香、浮藻、詠子。
○愛宕山全景
雲一つない青空に山並みが広がる。
○同・中腹(昼→夕)
軍手をして、ゴミ拾い、穴を埋めている渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原。
浮藻「なんか、たまにはこう云うのもよくない? 都会を忘れるっていうか~」
詠子「確かに~、誤解はあるにせよ。ちょっと良いことしてるって感じ?」
音原「そうか?」
渡辺「まあ、これもありっしょ?」
糸香「確かに、物見遊山で山あらしちゃだめだって、教訓めいた話だよね…」
渡辺「そうだな~」
空を見上げる渡辺。空は夕日に染まり、鳥が数羽鳴いている。
渡辺、糸香、浮藻、詠子、音原を夕日が染める。
○愛宕山全景 (夕)
夕日に染まった山並みが広がる。
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