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そして、私の決断
しおりを挟む推し様から、改めて熱烈なプロポーズをいただき、1週間じっくり自分と向き合って考えることにした。
今までだって、チラチラと脳内で推し様との結婚について見え隠れしていたけれど、流石に引っ張り出してきた。
推し様との結婚生活。私が推し様と一緒に住んでいることすら奇跡的というか、めちゃくちゃ贅沢なのに結婚って……
生涯ずっとって、言ってた。
推し様だからなのか、すごく安心する。
不安要素も「生活リズムやスタイルは、今まで通りで大丈夫」って言ってくれたから、なくなった。
推し事しつつ、推し様と過ごす毎日。
こんな私でいいのかなって、思ったことも何度もあった。
だけど、その分推し様からの“愛”をたくさんもらって、少しずつ「こんな私でもいっか!」と思えるようになってきた。
本当、推し様のお陰だよ……こんな平凡推し女である私に、少しの自信を持たせてくれたこと。
本当に、感謝しても足りないくらいだよ。
推し様が、こんなにも私に尽くしてくれている。
どうして私は、自己中心的な考えしか出来なかったんだろう?
推し様はこんなにも私の為にしてくれて、甘やかしてくれたのに。
私は推し様の為に、何かしたのだろうか?
いや、全然していない。
だから、これからは私が推し様の為に尽くす番だ。
ヨシ、決めた。
一世一代の大勝負!
小泉 美華、行きます───!
「今日の夜、大丈夫?」
「うん!みーちゃんが帰ってくる頃には、家に居ると思う」
「分かった」
いざ決意したって言っても、緊張しちゃうなぁ……
でも、腹を括るしかない!
いざ、出陣じゃ(ご帰宅)───
「ただいまー!」
「おかえり、みーちゃん」
「今日の夜ご飯は、何!?」
「今日は、チキンライスドリアだよ~」
「うわぁ……!好きな物が詰まったご飯……!」
「さ、手洗いうがいしてきて」
「はーい!」
部屋着に着替えて、テーブルに着く。
「熱いから、気を付けてね」
「うん!」
「「いただきます」」
「んまぁ~!」
「ふふ、良かった」
推し様が私の為に毎日、出来るだけ温かいご飯を作ってくれる。
こうして二人揃って、顔を合わせてご飯を食べる。
実に幸せだ。私には勿体ないぐらいの。
「あのね、相くん……」
「ん?なぁに」
「えっとね……私、相くんと結婚するッ!」
「えっ……」
推し様は、目を見開いてフリーズしている。
あ、あれ……?推し様は私のこと、好きなんじゃなかったの!?
すっごいびっくりしてるけど……もしかして、もう私のこと好きじゃなくなった!?
「あ、ごめんなさい……流石に待ちくたびれた、よね……」
やっぱり、こんな私じゃ駄目───
「ホント、待ちくたびれた」
「ごめんなさい……」
「もう、どれぐらい待ったら気が済むの?」
「ごめんなさい……」
「さっきから謝ってるけど、謝るだけなの?」
「えっ……と、慰謝料?は、その……」
「責任取ってよ、いい加減」
「おっ、おいくら万円、支払えば……」
「責任取って僕と結婚して一生、僕にだけ尽くしてよ」
「っは、はいぃ……!」
あぁあああああ~!!!すみません、すみません!心の中だけでも、叫ばせてください!
ホント、推し様は砂糖の塊王子なのですか?
マジで甘々過ぎる!胃もたれ、胸焼けしそうなぐらいに!
もう観光大使ならぬ、砂糖大使ですわ。
口から出る、甘い言葉は砂糖の塊そのもの!
はぁあああ!そりゃあ、ため息も長くなりますわ!
これからもっと愛されちゃったら、私……一体どうなるんだろう。
ダメ人間まっしぐらになって、推し沼から抜け出せなくなりそうだ。
いや、抜け出そうという思考さえ奪われそうだ。
何はともあれ、推し様に幻滅されたり嫌われたわけではなかったので、ヨシとしよう……
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