オマケなのに溺愛されてます

浅葱

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邪魔な奴

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呪いたい相手はいるかな?と問われた。
呪いとは何かと尋ねると、返ってきたのは抽象的な表現ばかりで要領を得ない。

「つまり、どういうこと?」
「うーん、有体に言えば特定の人物の災いを願ったり、自分の運気を上げたり出来るおまじないみたいなものだよ」
「それって呪いって言うの?」
「そう、呪いだよ」

色んなことが出来るから、是非活用してみてねと店主は言った。
…見た目から何から、とにかく胡散臭い男である。けれど不思議と、店を出ようとは思わない。

「待っていたって言った?梨々香のことを?」
「そうだよ、お嬢さん。この店は代々その時代の聖女が懇意にしていた店なんだ」
「へえ?」
「聖女として生きるには困難なことも多いだろう。この店はそんな彼女たちの手助けをする為の呪い屋だ。効率良く便利に使ってくれて構わないよ」

その代わり対価はもらう。でもそれは、お嬢さんとはあまり関係のないものだから心配しなくていいよ、と店主は言う。

「…意味がわからないんだけど?」
「そうだね、とりあえずお嬢さんは聖女らしく振る舞ってくれればそれでいい。そうすることで、出来ることも増えていくからね」
「聖女らしくって、例えば?」
「周囲の人間を広く愛し、愛されることだ」
「愛想を振りまけってこと?」
「ハハ、話が早いね」

要はそういうことだよ、と店主は笑う。顔は見えないのに、満面の笑みを浮かべている様子がわかるような声音だった。

「そうだな、今のお嬢さんのレベルだと……今はこのくらいかな」

数日の内に、お嬢さんの邪魔をしている人間に、災いが降りかかるよ


よく見ていてね、と店主は言った。











(梨々香の邪魔をしている人間に、災い……かぁ)

あの後、気がつけば店は消えていて、いつの間にか追いついてきていたヴァリエールに注意を受けた。
白昼夢みたいなものかと思って忘れていたのに、何故今それをふと思い出したのだろう。

「ねえ、そのリッチってやつ、具体的に何処に現れたの?誰か襲われたりした?」

気まぐれに、そう聞いてみる。すると、ヴァリエールが口を開いた。

「襲われたのは、聖女様と共に召喚された女性の方です」



それを聞いた瞬間、すとんと腑に落ちる。

(………そっか、そういうことかぁ)


やっぱりあの女が、梨々香にとっての邪魔者なんだ。
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