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現在編② 融和
Side Story 10 - Boy Loses Boy Again
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怖かった。
幸に別れ話をされるのが怖くて、あれからずっと幸を避けてた。
幸に別れを切り出されたら、俺はどうする?
あいつのことが好きだって言われたら?
それでも俺はきっと幸を手放せない。
どんな手を使っても幸を離さない。
俺はまた幸に酷いことをしてしまう。
また幸を泣かせてしまう。
幸にはいつも笑っていて欲しいと思う。
それなのに俺は幸を傷つける未来しか思い描けない。
俺は、そんな俺自身が一番怖かった。
幸から逃げて、俺自身からも逃げて、酒に溺れた。
けどその間もずっと、幸のことを考えてた。
俺に向ける幸の笑顔、幸の眼差し、幸の声。
記憶の中の幸は、俺のことが好きだと告げてるのに。
どうして幸は俺に一度も好きという言葉をくれなかった?
意地っ張りだから? 照れ屋だから?
それともやっぱり俺のことなんて好きじゃない?
何か言いたげな幸、怯えたように目を伏せる幸。
何を言おうとしてた? 別れ話?
でももし別れ話じゃなかったとしたら?
幸は何かに怯えてた?
何に怯えてた?
幸の様子がおかしいのはあいつと何かあるからだと思った。
けどそうじゃなかった。だったら何が原因だった?
幸がずっと見えない壁を作ってたのはどうして?
そうやって守ってたものは何?
俺から何を隠そうとしてた?
幸のことをわかってるつもりだったけど、俺は何もわかってなかった。
幸のことをちゃんと知りたい、幸とちゃんと話さなきゃいけない。
そう思ったら居ても立ってもいられず、幸のもとへ走った。
酔ってたし、後先考えてなかったのは事実だけど……
「もう、終わりにしよう」
あれは別れの言葉なんかじゃなかった。
幸に別れを切り出せるほど、俺は諦めのいい男じゃない。
俺はただ、拗れてしまったこの関係をリセットしたかった。
幸と話がしたかった。幸の話を聞きたかった。
けど幸は……
幸は笑ってた。
笑って、家を出て行くって言い始めて……
凶暴で自分本位な俺が囁く。
幸を閉じ込めてしまえ。そうすば、幸は一生俺のもの。
幸が嫌だと泣いても喚いても、力尽くで奪ってしまえばいい。
もう二度と俺から逃げられないように、逃げる気にならないように。
家を出て行ったのは、そんな俺自身から幸を守るため。
幸を傷つけるような俺はいないほうがいい。
幸がそう望むなら……
俺は幸の手を離してやらなきゃいけないのかもしれない。
* * *
「で、頭冷やして戻ったときには姫はいなかったと」
「啓お前、『もう終わりにしよう』はないわー」
「うん。それだと、完全に別れようって言ってるよね」
「姫さん、啓に別れ話されたと思て出てったんちゃうか」
二人に言われるまでもなく、酔いが覚めた今では俺もそう思う。
幸が望んで出て行ったわけじゃないなら、早く幸を探し出して誤解をときたい。
まだチャンスがあるなら、今度こそちゃんと幸と話がしたい。
けど幸は携帯番号もバイト先も変えてしまい、連絡の取りようがない。
幸の実家にも行ったし、千秋にも電話したけど、幸の居所はわからなかった。
幸に別れ話をされるのが怖くて、あれからずっと幸を避けてた。
幸に別れを切り出されたら、俺はどうする?
あいつのことが好きだって言われたら?
それでも俺はきっと幸を手放せない。
どんな手を使っても幸を離さない。
俺はまた幸に酷いことをしてしまう。
また幸を泣かせてしまう。
幸にはいつも笑っていて欲しいと思う。
それなのに俺は幸を傷つける未来しか思い描けない。
俺は、そんな俺自身が一番怖かった。
幸から逃げて、俺自身からも逃げて、酒に溺れた。
けどその間もずっと、幸のことを考えてた。
俺に向ける幸の笑顔、幸の眼差し、幸の声。
記憶の中の幸は、俺のことが好きだと告げてるのに。
どうして幸は俺に一度も好きという言葉をくれなかった?
意地っ張りだから? 照れ屋だから?
それともやっぱり俺のことなんて好きじゃない?
何か言いたげな幸、怯えたように目を伏せる幸。
何を言おうとしてた? 別れ話?
でももし別れ話じゃなかったとしたら?
幸は何かに怯えてた?
何に怯えてた?
幸の様子がおかしいのはあいつと何かあるからだと思った。
けどそうじゃなかった。だったら何が原因だった?
幸がずっと見えない壁を作ってたのはどうして?
そうやって守ってたものは何?
俺から何を隠そうとしてた?
幸のことをわかってるつもりだったけど、俺は何もわかってなかった。
幸のことをちゃんと知りたい、幸とちゃんと話さなきゃいけない。
そう思ったら居ても立ってもいられず、幸のもとへ走った。
酔ってたし、後先考えてなかったのは事実だけど……
「もう、終わりにしよう」
あれは別れの言葉なんかじゃなかった。
幸に別れを切り出せるほど、俺は諦めのいい男じゃない。
俺はただ、拗れてしまったこの関係をリセットしたかった。
幸と話がしたかった。幸の話を聞きたかった。
けど幸は……
幸は笑ってた。
笑って、家を出て行くって言い始めて……
凶暴で自分本位な俺が囁く。
幸を閉じ込めてしまえ。そうすば、幸は一生俺のもの。
幸が嫌だと泣いても喚いても、力尽くで奪ってしまえばいい。
もう二度と俺から逃げられないように、逃げる気にならないように。
家を出て行ったのは、そんな俺自身から幸を守るため。
幸を傷つけるような俺はいないほうがいい。
幸がそう望むなら……
俺は幸の手を離してやらなきゃいけないのかもしれない。
* * *
「で、頭冷やして戻ったときには姫はいなかったと」
「啓お前、『もう終わりにしよう』はないわー」
「うん。それだと、完全に別れようって言ってるよね」
「姫さん、啓に別れ話されたと思て出てったんちゃうか」
二人に言われるまでもなく、酔いが覚めた今では俺もそう思う。
幸が望んで出て行ったわけじゃないなら、早く幸を探し出して誤解をときたい。
まだチャンスがあるなら、今度こそちゃんと幸と話がしたい。
けど幸は携帯番号もバイト先も変えてしまい、連絡の取りようがない。
幸の実家にも行ったし、千秋にも電話したけど、幸の居所はわからなかった。
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