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第1章 幼なじみの転生は気付けない(20) SIDE ケイン
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SIDE ケイン
なれない人助けなんてするんじゃなかった……。
マリーから要請された『協力』は、人身売買組織の壊滅だった。
もっと怪しい仕事を頼まれるかと思っていたので、内容自体に文句はないのだが、狩りに出られないのはストレスだ。
どうも最近、街で行方不明になる子供が多いらしく、の解決が任務である。
といっても、調査からではなく、アジトの場所はマリーから聞いている。
マリーの依頼で解決したと、噂を流して欲しいのだそうだ。
嘘の噂を流せとでも言われるかと思ったが、予想よりまともな内容だ。
ということで、オレ『達』は闇夜にまぎれてアジトの裏口へとやってきた。
一見、普通のボロい民家である。
「ここがアジトですね」
オレのとなりには、ワクワク顔のメグがいる。
魔力が回復したからとついてきてしまったのだ。
組織の調査なんてしたことないし、協力者がいるのは助かるから同行を許可してみた。
どうなるかはわからないが、なるようになれだ。
さて、いきなり突入してよいものかどうか悩むところだ。
押し入った後に、マリーの情報がまちがっていた日には、こちらが強盗である。
もちろん、マリーに命令されたなどと言い訳をすれば、逆にマリーから命を狙われかねない。
あの女、絶対責任なんて取ってくれないだろうし。
めんどくさぁっ!
そうして裏口をしばらく監視していると、ずた袋をかついだ二人組の男がやってきた。
足で乱暴にドアをノックすると、中から別の男が顔を出した。
みごとに全員人相が悪い。
ずた袋からは人間の足がはみ出している。
サイズからして子供のものだ。
「(さすが勇者様です。でも、どこでそんな情報を?)」
メグが尊敬の眼差しでオレを見てくる。
マリーが関わっていることは、一応内緒にしている。
まだこの少女が信用できるかわからないからだ。
「(冒険者つながりでちょっとな)」
ギリギリ嘘ではない範囲でごまかしておく。
彼女は戦闘もこなせる魔道士にしてはめずらしく、どの冒険者ギルドにも登録していないらしい。
旅をするのに邪魔なんだとか言っていたが、そういうものなんだろうか?
「おい、足がはみ出てるぞ。今日は旦那がきているんだ。ちゃんとしまっとけ。粗相するなよ!」
「へ、へい!」
袋の中で暴れる足を強引に押し込んだ男は、家の中へと入っていった。
マリーの情報は正しかったらしい。
オレとメグは腰をかがめ、窓の下へと移動する。
分厚いカーテンの隙間からは微かに光と声が漏れてくる。
しかし、何を話しているかまではわからない。
メグがとなりで小さく呪文を唱えた。
すると、彼女のイヤリングについた小さな魔石が光り、そこから室内の声が聞こえてくる。
盗聴用の魔法なんていうピンポイントなものが存在するのかは知らないが、とにかく聞こえてくるのだから使わさてもらおう。
ついてきてもらってよかった。
イヤリングがイヤホンの代わりをしているらしく、メグは頬がくっつきそうな距離に顔を寄せてくる。
魔女っ子美少女がこんな近くに……。
受付嬢さん以外で、ばしめてのドキドキイベントかも……。
服装こそ少し特殊だが、これまで話した感じでは清純派と言ってもよい性格だ。
なにかと荒んだこの世界、いい娘とは仲良くしていきたいものだね。
『今回は3匹か』
聞き覚えのないしわがれた声だ。
さっき男たちが言っていた『旦那』だろうか。
『へい。男が2人、女が1人です』
『ふむ……』
テーブルにじゃらりと硬貨を置かれた音がする。
『き、金貨……へへ。ありがとうございます。てめーら、マリー様への献上分を抜いて山分けだ。よーく礼を言っておけよ』
『『あざーす!!』』
『おいお前、これをマリー様に届けてこい』
『へい!』
マリーへの献上?
おいおいおい。
まさかマリーの自作自演か?
それとも、邪魔になったやつらをオレに消させようってのか?
なれない人助けなんてするんじゃなかった……。
マリーから要請された『協力』は、人身売買組織の壊滅だった。
もっと怪しい仕事を頼まれるかと思っていたので、内容自体に文句はないのだが、狩りに出られないのはストレスだ。
どうも最近、街で行方不明になる子供が多いらしく、の解決が任務である。
といっても、調査からではなく、アジトの場所はマリーから聞いている。
マリーの依頼で解決したと、噂を流して欲しいのだそうだ。
嘘の噂を流せとでも言われるかと思ったが、予想よりまともな内容だ。
ということで、オレ『達』は闇夜にまぎれてアジトの裏口へとやってきた。
一見、普通のボロい民家である。
「ここがアジトですね」
オレのとなりには、ワクワク顔のメグがいる。
魔力が回復したからとついてきてしまったのだ。
組織の調査なんてしたことないし、協力者がいるのは助かるから同行を許可してみた。
どうなるかはわからないが、なるようになれだ。
さて、いきなり突入してよいものかどうか悩むところだ。
押し入った後に、マリーの情報がまちがっていた日には、こちらが強盗である。
もちろん、マリーに命令されたなどと言い訳をすれば、逆にマリーから命を狙われかねない。
あの女、絶対責任なんて取ってくれないだろうし。
めんどくさぁっ!
そうして裏口をしばらく監視していると、ずた袋をかついだ二人組の男がやってきた。
足で乱暴にドアをノックすると、中から別の男が顔を出した。
みごとに全員人相が悪い。
ずた袋からは人間の足がはみ出している。
サイズからして子供のものだ。
「(さすが勇者様です。でも、どこでそんな情報を?)」
メグが尊敬の眼差しでオレを見てくる。
マリーが関わっていることは、一応内緒にしている。
まだこの少女が信用できるかわからないからだ。
「(冒険者つながりでちょっとな)」
ギリギリ嘘ではない範囲でごまかしておく。
彼女は戦闘もこなせる魔道士にしてはめずらしく、どの冒険者ギルドにも登録していないらしい。
旅をするのに邪魔なんだとか言っていたが、そういうものなんだろうか?
「おい、足がはみ出てるぞ。今日は旦那がきているんだ。ちゃんとしまっとけ。粗相するなよ!」
「へ、へい!」
袋の中で暴れる足を強引に押し込んだ男は、家の中へと入っていった。
マリーの情報は正しかったらしい。
オレとメグは腰をかがめ、窓の下へと移動する。
分厚いカーテンの隙間からは微かに光と声が漏れてくる。
しかし、何を話しているかまではわからない。
メグがとなりで小さく呪文を唱えた。
すると、彼女のイヤリングについた小さな魔石が光り、そこから室内の声が聞こえてくる。
盗聴用の魔法なんていうピンポイントなものが存在するのかは知らないが、とにかく聞こえてくるのだから使わさてもらおう。
ついてきてもらってよかった。
イヤリングがイヤホンの代わりをしているらしく、メグは頬がくっつきそうな距離に顔を寄せてくる。
魔女っ子美少女がこんな近くに……。
受付嬢さん以外で、ばしめてのドキドキイベントかも……。
服装こそ少し特殊だが、これまで話した感じでは清純派と言ってもよい性格だ。
なにかと荒んだこの世界、いい娘とは仲良くしていきたいものだね。
『今回は3匹か』
聞き覚えのないしわがれた声だ。
さっき男たちが言っていた『旦那』だろうか。
『へい。男が2人、女が1人です』
『ふむ……』
テーブルにじゃらりと硬貨を置かれた音がする。
『き、金貨……へへ。ありがとうございます。てめーら、マリー様への献上分を抜いて山分けだ。よーく礼を言っておけよ』
『『あざーす!!』』
『おいお前、これをマリー様に届けてこい』
『へい!』
マリーへの献上?
おいおいおい。
まさかマリーの自作自演か?
それとも、邪魔になったやつらをオレに消させようってのか?
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