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五十八話 階段の場所は精霊も知らないようだった

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俺がなぜ3日もいなくなっていたのか納得したところで、瑞希が今日は取り敢えず城に帰ると言ったので俺達(エリスを除く)は今城にいる。
あと1日で護衛兼アドバイス役の仕事が終わってしまうのだが色々と大丈夫なのだろうか?

「瑞希、明日で護衛兼アドバイス役の期間が終わるんだが、下の階層への階段はあったのか?」

「うんん、涼太が落ちた部屋以外なかったらしいよ」

「らしい?」

「私は涼太を探さないといけなかったから、私の護衛の兵士に頼んで探しといてもらったの。それで、どこにもそれらしきものは無かったんだって」

「へー、そうなのか」

ということは、閻魔がラスボスなのだろうか?その割には弱かった気がするんだが。
それに、情報が不確かだな。もっと確実な情報が欲しいし、俺の近くを飛び回っている精霊に聞いてみよう。

「なあ、あのダンジョンは何階層まであるんだ?」

「多分100階層ぐらいだと思います」

「本当か?」

「多分ですけど」

100階層まであるとしたら、何故階段が見つからなかったんだろうか?
そんなことは考えても意味が無いので、階段は明日探す事にして、今日はゆっくり寝るか。



朝起きるとすぐきダンジョンに向かうことになった。なぜなら今日は護衛兼アドバイス役の最終日だからだ。今日は急ぎのため、馬車を使わず、ダンジョンに走っていく。その後ダンジョンの前でエリスと合流して50階層(俺が落ちた場所)へと転移した。

「よし、それじゃあレベル上げの為に49階層に行こっか!」

瑞希が少し楽しげに言う。この世界を堪能してくれているようでよかった。
だが、上に行くことは出来ない。まだしたの階層があるかもしれないからな。

「瑞希、まだ下の階層があるかもしれないからな、少し探していいか?」

「いいけど、兵士さんの話だとそれらしき場所は無かったらしいよ?」

「それでもちょっと探してみたいんだよ」

「そっか。じゃあ私とエリスさんは上でレベル上げしとくね?」

「ああ」

ああ、と言ったものの依頼中なのに俺は探していていいのだろうか?

「護衛の仕事、俺やらなくていいのか?」

「49階なら大丈夫だよ、じゃ頑張ってね」

瑞希に許可をもらったし、早速下の階層へと続く階段を探し始めるか。だが正直いって、全く見つかりそうにない。壁も床も全て同じような感じで、おかしい所もない。なので俺はすぐに精霊に頼ることにした。

「なあ、どうやって下の階層に行くんだ?」

「それは私にもわかりません。お役に立てなくて申し訳ございません」

「いや、全然気にしなくていいよ」

まじか、精霊にも分からないのか。
確かに閉じ込められていたのに知っている訳ないか。んー、どうしようか。
取り敢えず地面でも割ってみるとするか。
...最近、取り敢えずすることがおかしくなってきている気がするな。うん、気のせいだな。

そんな自問自答をしてから、俺は地面を思い切り殴る。

ーーードォーン!

爆発したような音が響くと同時、砂煙が舞った。更には想像していたより床が柔らかく、地面に大きな穴ができた。俺はその穴が空いた地面の上に立っていたので、そのまま穴に落ちていった。

空いた穴の深さはかなりのものだったらしく、思ってた以上の時間下に落ち続けた。
落ちた先は、またもや部屋のような場所だった。まさかここにも精霊が捕まっているのか?

「なあ、ここにも精霊がいたりするのか?」

「いえ、捕まっている精霊は私達だけですよ?」

「そっか」

それなら良かった。俺の心配は杞憂だったようだな。俺が一安心した所で上の方から声が聞こえてきた。

「涼太!大丈夫!?」

「にぃ...!」

「涼太!涼太!」

上から順に瑞希、靉麗、霧月姉の声だ。多分すごい音がしたから49階層から駆けつけてくれたのだろう。因みに俺がいる場所はかなり深いので瑞希達の顔は見えない。
俺は瑞希達はどんな顔をしているのだろう?と考えながら全く無傷なので大きな声で全然大丈夫だと叫んだ。
すると、瑞希達は分かった、と俺に返事をして元の階層へと戻っていった。
今の失敗は忘れて、下の階層へ行けたし探索するか!


俺はこうして何階層かも分からない部屋の探索を始めたのだった───。
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