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52-2 異世界との繋がり
しおりを挟む「大昔は日本と交流があったのか……」
ジウシードが呟き、皆が信じられないといった驚愕の顔。
「昔、異世界と交流があったが、それを今は禁止している。ということは、禁止されているだけで、今もまだその異世界と繋がる方法がある、ということか」
驚き思考が止まりかけはするが、「ふむ」と、ウェジエが腕組みをしながら言葉にした。フェシスが頷きながらも、そのページの続きを捲る。そこには過去、異世界を渡った方法が記されていた。フェシスがそれを読み込んでいくが、眉間に皺を寄せる。
「どうした? これで日本に渡れるんじゃないのか?」
ジェイクがフェシスの態度に疑問を抱き、声を掛ける。ジウシードも怪訝な顔だ。
「いえ、方法は分かったのですが、この魔石……」
「魔石?」
「えぇ、どうやら異世界へ渡るために使用された魔石があるようですが、その魔石はこの本に封印されていると書かれているのです。しかし、その魔石の気配は全くない」
「どういうことだ!? では、こちらからは異世界に渡れないということなのか!?」
ジウシードは声を張り上げた。異世界へ渡る方法が見付かったかと思った矢先、その渡るために最重要となる魔石の消失。
その場にいる全員が声を失くした……。
◇◇
「いやぁ、原田さんはなんか鋭いから怖いな……」
リョウが溜め息を吐きながら笑った。
「あー、ハハ、ほんとにな」
「親父と似てるってなんか嫌だな」
「ハハ、頑固者かぁ……俺たちも頑固者に見えるのか……ハハ」
夕食を取った後、久しぶりにふたりで縁側に座りそんなことを話す。雲一つない星の輝く夜空。月も綺麗に輝いている。異世界へと渡っている間に、すっかりと春になっていたようで、少し肌寒くはあるが、酒を飲みながら過ごすには程良く心地好い。庭にある小さな池には月が映り込み、心地好い風が水面を揺らす。
ジウシードにも見せてやりたかった……一緒に縁側で酒を飲みたかったな……。
ジウシードに再び会うことが出来るだろうか。一生一緒に生きていくと誓ったけど、本当に異世界へと戻ることが出来るのだろうか。そんなことをぼんやりと考えながら夜空の月を見上げる。
異世界へと渡ってからは毎日が初めてのことばかりで、色々なことがあったが賑やかで楽しくもあった。しかし、今こうしてのんびりとリョウと共に縁側で酒を飲むことも、ほっこりといい気分だな……。
「そんな頑固者の親父にあんな美人なおふくろが惚れたんだもんな。分からないもんだ」
リョウがこちらを向くでもなく、月を見上げながら酒を飲み、苦笑しながら言った。
「あぁ、確かにな」
リョウは母親似だ。かなりの美人で近所でも評判だった母親。その母親似だからリョウもそりゃ美形になるよな。モテるのも当たり前ってもんだ。
俺は父親似だったため、全くイケメンではない。いや、ごめん親父。人当りが良く、優しい父親ではあった。だから頑固者と言われてもピンとは来ないが……いや、意外と頑固だったかも? 意思の強い人だったため、自身の考えを貫き通す信念もあった。だがそれは俺たちや母親のためであることばかりで、家族のためだけに生きているような人だった。
なんだかんだとリョウと両親の話をし、懐かしくなってくる。ジウシードたちに早く会いたいという思いはあるが、こうして実家にリョウと共にいると懐かしい話に花が咲いてしまうのも仕方がないことで……。
「久しぶりに書斎でも覗いてみるか」
久々に帰った実家にリョウも懐かしさを覚えたのか、両親の想い出を語るリョウはいつもよりも数段優し気な顔となっていた。ジェイクたちといるときのリョウも楽しそうではあったが、やはり実家や両親というものは特別なんだよな。
俺にとっても久しぶりの父親の書斎。両親が死んだときに整理するために入ったが、なにやらよく分からないものが多くて、そのまま放置したんだよな。
酒も飲みつつ陽気であったため、そのままのノリで書斎へと向かう。書斎は父親の性格上、綺麗に整理されてあり、よく分からないものまでもが展示されてあるかのように並ぶ。
「ハハ、相変わらず訳分からんものばっかりだな」
「アハハ……だなぁ」
どこの国のお土産なんだか、というような訳の分からない置物があったり、かと思ったら、やたらと難しそうな書物が並んでいたり、と綺麗に整理はされてあるが統一性のないものばかりが並ぶことに苦笑する。
リョウがパソコンデスクの椅子に座り、机に向かって眺めているが、突然「ん?」と声を上げたかと思うと、身を乗り出した。
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