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第27話 大祭壇ハッキング決戦
王都の地下、深く深く潜った場所にある『地下第三殻洞(通称:大祭壇)』。
かつては巨大な浄水プラントだった空間は、今や禍々しい紫色の発光体に覆い尽くされていた。
「ひどいなこりゃ……」
俺は柱の陰から、広大な空間を見下ろしていた。
床には複雑な幾何学模様の陣(俺の目には巨大なQRコードか、ハッキング用のスクリプトにしか見えない)が描かれ、その中心に、灰色のローブを着た教団員たちが百人近くもひれ伏している。
そして、その中央。
俺が以前、地下水路で強制フォーマットした『中枢コア』があった場所には、紫色の半透明の結晶の塊が浮かび上がっていた。
『我らが真の神よ! 今こそ偽りの管理者たちの縛めを解き、この世界をあるべき混沌へと還したまえ!』
教祖が狂ったような声で叫びながら、杖から魔力を注ぎ込んでいる。
結晶の周囲には、王都中の魔素が集められ、圧縮され、ドクドクと脈打っていた。
【System:警告。不正なローカルサーバー(疑似神)が、王都の主要システムをオーバーライド(上書き)しようとしています】
【System:強制終了(パッチ)を実行しますか? [YES/NO]】
「はいはい、YES、YESっと」
俺はいつも通り、隠れたままでコンソールパネルに『YES』を入力した。
相手が百人いようが、システムからデリートしてしまえば一瞬で——。
『エラー:対象のプロセスは、ローカル環境によってカプセル化(完全防御)されています。外部からの【YES操作(ワンクリック削除)】は弾かれました』
「は?」
俺の視界に赤いバツ印が表示された。
そして、俺がコマンドを実行しようとしたことに気づいたのか、教祖が真っ直ぐに俺の隠れている柱の方角を見据えた。
「来たか……偽神(デバッガー)め!!」
教祖の号令と共に、百人の教団員が一斉にこちらへと無数の紫色の光弾を撃ち放ってきた。
雨あられというレベルではない。文字通り、空間を埋め尽くすほどの弾幕だ。
「うおっ!?」
俺は慌てて柱の陰から飛び出した。
俺には攻撃する魔法がない。ただ相手の魔法を『消す』だけだ。
だが、百人から同時に撃たれる弾幕を、いちいち目で追って『削除』していたら処理が追いつかない!
「Target... Incoming_Magic... Action... Delete!!」
俺は走りながら、脳内でコマンドを一括送信した。
俺の周囲に群がってきた数十の光弾が、一瞬で『無(ただの風圧)』に変換される。
だが——。
「甘いぞ! 『詠唱破棄の削除能力』、すでに我々はその原理と限界を解析済みだ!!」
教祖が杖を掲げた。
「お前は『向けられた事象』を無効化できても、広範囲の空間そのものを支配することはできない! やれッ!」
直後、教団員たちの魔法が形を変えた。
俺に直接攻撃を向けるのではなく、俺の頭上の『巨大な天井(岩盤)』に向かって放たれたのだ。
ドドドドォォォンッ!!!
轟音とともに、地下空間の天井が崩落し、何十トンもの巨大な岩石の雨が俺の頭上に降り注いできた。
「嘘だろ!?」
岩の落下は『魔法』じゃない。ただの巨大な質量を持った物理現象だ。
俺のシステム権限は、現時点では『ナノマシンの干渉(魔法)』を無効化できるだけで、ただ落ちてくる岩を消し去ることはできない。
「クソッ、Target…Rock…Action…」
俺は必死にパスを探すが、【Error: 指定されたオブジェクトに魔素ネットワークへの接続がありません。デリート不可】という無情なメッセージが返ってくる。
岩盤が俺の体を押し潰そうと迫り来る——死ぬ。マジで死ぬ!
「——アッシュ様ぁぁっ!!」
その瞬間、俺の前に現れたのは、淡い銀の光(アイギスの盾)を展開しながら飛び込んできた、エレナ・アークライトだった。
「エレナ!? なんでここに!」
「アッシュ様がこっそり夜中にお出かけになるのを、この私が素直に見送るはずがないではありませんか! 息を潜めて尾行しておりました!」
「それ犯罪だからな!?」
ガァァァンッ!!
俺と彼女の上に落ちてこようとした巨大な岩盤が、エレナの最大防御魔法である『絶封の氷壁(アイギス)』に直撃し、凄まじい衝撃波を上げる。
「くぅぅっ……!」
エレナが血を吐きそうになりながら、杖を持つ手を震わせる。
数十トンの岩盤の直撃。天才の彼女であっても、これだけの運動エネルギーを魔力だけで支えるのは無理がある。氷の盾にピキピキとひびが入り始めた。
「エレナ、無理するな!」
「い、いえ! アッシュ様を守るこの盾、たとえ私の命が尽きようとも——!」
「馬鹿者! 私を置いて抜け駆けするとは!」
さらに響いたのは、凛とした別の声だった。
ズドォォォンッ!
俺たちを潰そうとしていた巨大な岩の塊が、横からの強烈な衝撃によって半分に叩き割られた。
白銀の鎧を着たセレスティア王女が、魔剣からすさまじい光の刃を伸ばし、落下する岩を空中で両断したのだ。
「王女殿下まで!?」
「アッシュ卿の夜の散歩を、単なる『気まぐれ』だとは到底思えなかったのでな! こやつ(エレナ)が貴方の後を尾行していくのを、私も尾行していたのだ!」
「王女がストーカーのストーカーって、国の威信はどうなってるんだよ!!」
俺は頭を抱えたかったが、状況がそれを許さなかった。
エレナの氷の防御と、セレスティア王女の物理的な剣撃による岩盤破壊。
二人の盾の力によって、なんとか落石の嵐からの直撃だけは避けることができた。
「はははっ! 無駄なことを! 我らが神(システム)が放つ『真なる絶望』の前に、貴様らなど塵芥にすぎない!!」
教祖が狂気の笑いを上げる。
その背後で浮遊する『紫色のシステム・コア(疑似神)』が、先ほどの落石など比にならないレベルの——王都を丸ごと吹き飛ばすほどの超高圧縮エネルギーをチャージし始めていた。
かつては巨大な浄水プラントだった空間は、今や禍々しい紫色の発光体に覆い尽くされていた。
「ひどいなこりゃ……」
俺は柱の陰から、広大な空間を見下ろしていた。
床には複雑な幾何学模様の陣(俺の目には巨大なQRコードか、ハッキング用のスクリプトにしか見えない)が描かれ、その中心に、灰色のローブを着た教団員たちが百人近くもひれ伏している。
そして、その中央。
俺が以前、地下水路で強制フォーマットした『中枢コア』があった場所には、紫色の半透明の結晶の塊が浮かび上がっていた。
『我らが真の神よ! 今こそ偽りの管理者たちの縛めを解き、この世界をあるべき混沌へと還したまえ!』
教祖が狂ったような声で叫びながら、杖から魔力を注ぎ込んでいる。
結晶の周囲には、王都中の魔素が集められ、圧縮され、ドクドクと脈打っていた。
【System:警告。不正なローカルサーバー(疑似神)が、王都の主要システムをオーバーライド(上書き)しようとしています】
【System:強制終了(パッチ)を実行しますか? [YES/NO]】
「はいはい、YES、YESっと」
俺はいつも通り、隠れたままでコンソールパネルに『YES』を入力した。
相手が百人いようが、システムからデリートしてしまえば一瞬で——。
『エラー:対象のプロセスは、ローカル環境によってカプセル化(完全防御)されています。外部からの【YES操作(ワンクリック削除)】は弾かれました』
「は?」
俺の視界に赤いバツ印が表示された。
そして、俺がコマンドを実行しようとしたことに気づいたのか、教祖が真っ直ぐに俺の隠れている柱の方角を見据えた。
「来たか……偽神(デバッガー)め!!」
教祖の号令と共に、百人の教団員が一斉にこちらへと無数の紫色の光弾を撃ち放ってきた。
雨あられというレベルではない。文字通り、空間を埋め尽くすほどの弾幕だ。
「うおっ!?」
俺は慌てて柱の陰から飛び出した。
俺には攻撃する魔法がない。ただ相手の魔法を『消す』だけだ。
だが、百人から同時に撃たれる弾幕を、いちいち目で追って『削除』していたら処理が追いつかない!
「Target... Incoming_Magic... Action... Delete!!」
俺は走りながら、脳内でコマンドを一括送信した。
俺の周囲に群がってきた数十の光弾が、一瞬で『無(ただの風圧)』に変換される。
だが——。
「甘いぞ! 『詠唱破棄の削除能力』、すでに我々はその原理と限界を解析済みだ!!」
教祖が杖を掲げた。
「お前は『向けられた事象』を無効化できても、広範囲の空間そのものを支配することはできない! やれッ!」
直後、教団員たちの魔法が形を変えた。
俺に直接攻撃を向けるのではなく、俺の頭上の『巨大な天井(岩盤)』に向かって放たれたのだ。
ドドドドォォォンッ!!!
轟音とともに、地下空間の天井が崩落し、何十トンもの巨大な岩石の雨が俺の頭上に降り注いできた。
「嘘だろ!?」
岩の落下は『魔法』じゃない。ただの巨大な質量を持った物理現象だ。
俺のシステム権限は、現時点では『ナノマシンの干渉(魔法)』を無効化できるだけで、ただ落ちてくる岩を消し去ることはできない。
「クソッ、Target…Rock…Action…」
俺は必死にパスを探すが、【Error: 指定されたオブジェクトに魔素ネットワークへの接続がありません。デリート不可】という無情なメッセージが返ってくる。
岩盤が俺の体を押し潰そうと迫り来る——死ぬ。マジで死ぬ!
「——アッシュ様ぁぁっ!!」
その瞬間、俺の前に現れたのは、淡い銀の光(アイギスの盾)を展開しながら飛び込んできた、エレナ・アークライトだった。
「エレナ!? なんでここに!」
「アッシュ様がこっそり夜中にお出かけになるのを、この私が素直に見送るはずがないではありませんか! 息を潜めて尾行しておりました!」
「それ犯罪だからな!?」
ガァァァンッ!!
俺と彼女の上に落ちてこようとした巨大な岩盤が、エレナの最大防御魔法である『絶封の氷壁(アイギス)』に直撃し、凄まじい衝撃波を上げる。
「くぅぅっ……!」
エレナが血を吐きそうになりながら、杖を持つ手を震わせる。
数十トンの岩盤の直撃。天才の彼女であっても、これだけの運動エネルギーを魔力だけで支えるのは無理がある。氷の盾にピキピキとひびが入り始めた。
「エレナ、無理するな!」
「い、いえ! アッシュ様を守るこの盾、たとえ私の命が尽きようとも——!」
「馬鹿者! 私を置いて抜け駆けするとは!」
さらに響いたのは、凛とした別の声だった。
ズドォォォンッ!
俺たちを潰そうとしていた巨大な岩の塊が、横からの強烈な衝撃によって半分に叩き割られた。
白銀の鎧を着たセレスティア王女が、魔剣からすさまじい光の刃を伸ばし、落下する岩を空中で両断したのだ。
「王女殿下まで!?」
「アッシュ卿の夜の散歩を、単なる『気まぐれ』だとは到底思えなかったのでな! こやつ(エレナ)が貴方の後を尾行していくのを、私も尾行していたのだ!」
「王女がストーカーのストーカーって、国の威信はどうなってるんだよ!!」
俺は頭を抱えたかったが、状況がそれを許さなかった。
エレナの氷の防御と、セレスティア王女の物理的な剣撃による岩盤破壊。
二人の盾の力によって、なんとか落石の嵐からの直撃だけは避けることができた。
「はははっ! 無駄なことを! 我らが神(システム)が放つ『真なる絶望』の前に、貴様らなど塵芥にすぎない!!」
教祖が狂気の笑いを上げる。
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