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3章:師匠とルーク
10.鉱山のモグラ退治 前編
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その日、ジュリアス・フェンサーは自宅の椅子に座って、ギルド経由で受け取った王国からの手紙を読んでいた。
手紙の内容を見て眉間にしわを寄せるジュリアスの目と鼻の先で、キラキラと輝くカラスが出現して人の言葉を話す。
「ジュリアスは働きもんだなぁ~」
「ルーク。呼んでねぇのに勝手に出てくるなよ」
「いいじゃねぇか。今回の仕事は俺とオマエでこなすんだろ? だったら俺だって内容を知る権利があると思わねぇか、相棒?」
ルークと呼ばれたカラスは羽を軽く広げて、そう主張した。
「まぁ俺はメイちゃんか、こないだの金髪のお嬢ちゃん達が一緒の方がうれしいんだけどなぁ~」
「今度の仕事は夜だし危険だからな。メイ達を連れて行くわけにはいかん」
「つまんねぇの~」
「まったく……これが今回の依頼だ。オマエにもしっかり働いてもらうから覚悟しろよ?」
ジュリアスはテーブルに依頼の手紙を置いた。
『鉱山に住み着いた魔物の退治。魔物はもぐらの姿をしている模様。生命力は弱いが、数が非常に多く好戦的で逃げ足が速いとの報告あり。特に多く出没する夜間にまとめて駆除を頼みたい』
「もぐら?」
「あぁ。おそらく前足が大きな鉤爪(かぎつめ)みたいになっている魔物なんだろう。それを使って鉱山の中に自分達用のトンネルを作って移動しているんじゃねぇかな」
「硬い岩盤にトンネル作るとかとんでもねぇな……」
「あぁ、それだけ強固な爪を持ってるってことだ。気をつけろ」
数時間後、ジュリアスとルークは坑道の中へと足を進めていた。
「なぁ、ジュリアス。やけにでっけぇ坑道だな」
「あぁ。ここは魔力をたくさん含む貴重な鉱石が取れるってので、大規模に発展した鉱山なんだ。でもそういう場所は魔物も多く引き寄せちまうからな」
その時、ピシっと壁に亀裂が入り、バキバキいう音と共に壁面の一部が崩れて、大型犬程度のサイズのモグラの魔物が飛び出してきた。
モグラは鋭い鉤爪を振りかざして襲い掛かってくる。
「早速おいでなすったか……ルーク!」
「あいよ!」
ジュリアスの指示でルークが素早く飛び出してきたモグラに体当たりしようとすると、モグラは素早く元の穴に引っ込んでしまった。
「――あれ? おーい、モグラちゃん? どこいった?」
ルークが困惑しながらも飛び回っていると、ゴリゴリと硬い物が削れる音がして天井からパラパラと石の破片が落ちてくる。
「ルーク! 上だ!」
天井の一部が崩れて、現れたモグラの鋭い爪をルークはギリギリでかわす。
「ひゅー、あぶねぇー。しかし、でっけぇモグラちゃんだな」
「――母なる大地よ、その力を飛弾に変えよ! ストーンブラスト!」
ジュリアスが腰に差していた銀色の杖を引き抜いて振りかざし呪文を唱えると、モグラの眉間に石つぶてが直撃して断末魔の悲鳴が上がり、ドサリと足元に死体が落ちて来た。
「まずは一匹か……」
「――なぁジュリアス。確か依頼書に“数が非常に多く”ってあったよな」
「あぁ。まだまだ先は長いぞ、ルーク!」
その言葉と同時に、地震のような振動がして、バキバキと音をさせながら坑道の壁面のあちこちからモグラの化け物が顔を出した。
手紙の内容を見て眉間にしわを寄せるジュリアスの目と鼻の先で、キラキラと輝くカラスが出現して人の言葉を話す。
「ジュリアスは働きもんだなぁ~」
「ルーク。呼んでねぇのに勝手に出てくるなよ」
「いいじゃねぇか。今回の仕事は俺とオマエでこなすんだろ? だったら俺だって内容を知る権利があると思わねぇか、相棒?」
ルークと呼ばれたカラスは羽を軽く広げて、そう主張した。
「まぁ俺はメイちゃんか、こないだの金髪のお嬢ちゃん達が一緒の方がうれしいんだけどなぁ~」
「今度の仕事は夜だし危険だからな。メイ達を連れて行くわけにはいかん」
「つまんねぇの~」
「まったく……これが今回の依頼だ。オマエにもしっかり働いてもらうから覚悟しろよ?」
ジュリアスはテーブルに依頼の手紙を置いた。
『鉱山に住み着いた魔物の退治。魔物はもぐらの姿をしている模様。生命力は弱いが、数が非常に多く好戦的で逃げ足が速いとの報告あり。特に多く出没する夜間にまとめて駆除を頼みたい』
「もぐら?」
「あぁ。おそらく前足が大きな鉤爪(かぎつめ)みたいになっている魔物なんだろう。それを使って鉱山の中に自分達用のトンネルを作って移動しているんじゃねぇかな」
「硬い岩盤にトンネル作るとかとんでもねぇな……」
「あぁ、それだけ強固な爪を持ってるってことだ。気をつけろ」
数時間後、ジュリアスとルークは坑道の中へと足を進めていた。
「なぁ、ジュリアス。やけにでっけぇ坑道だな」
「あぁ。ここは魔力をたくさん含む貴重な鉱石が取れるってので、大規模に発展した鉱山なんだ。でもそういう場所は魔物も多く引き寄せちまうからな」
その時、ピシっと壁に亀裂が入り、バキバキいう音と共に壁面の一部が崩れて、大型犬程度のサイズのモグラの魔物が飛び出してきた。
モグラは鋭い鉤爪を振りかざして襲い掛かってくる。
「早速おいでなすったか……ルーク!」
「あいよ!」
ジュリアスの指示でルークが素早く飛び出してきたモグラに体当たりしようとすると、モグラは素早く元の穴に引っ込んでしまった。
「――あれ? おーい、モグラちゃん? どこいった?」
ルークが困惑しながらも飛び回っていると、ゴリゴリと硬い物が削れる音がして天井からパラパラと石の破片が落ちてくる。
「ルーク! 上だ!」
天井の一部が崩れて、現れたモグラの鋭い爪をルークはギリギリでかわす。
「ひゅー、あぶねぇー。しかし、でっけぇモグラちゃんだな」
「――母なる大地よ、その力を飛弾に変えよ! ストーンブラスト!」
ジュリアスが腰に差していた銀色の杖を引き抜いて振りかざし呪文を唱えると、モグラの眉間に石つぶてが直撃して断末魔の悲鳴が上がり、ドサリと足元に死体が落ちて来た。
「まずは一匹か……」
「――なぁジュリアス。確か依頼書に“数が非常に多く”ってあったよな」
「あぁ。まだまだ先は長いぞ、ルーク!」
その言葉と同時に、地震のような振動がして、バキバキと音をさせながら坑道の壁面のあちこちからモグラの化け物が顔を出した。
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