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8.sideS
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セオドア視点
「ところで、何が君をそんなに悲しませたんだ?」
そっと顔に手を添え、いつもはつけていない眼鏡を外してやる。
目に映るのは赤みの残る瞳と腫れた瞼。
明らかな涙の痕跡に胸が痛み、思わず眉間にシワがよる。
少しでも痛みが和らぐようにと、そっと優しく指の背で目元を撫でる。
なぁ、お願いだから教えておくれ。君の憂いは全て私がとっぱらってあげるから。
ふっと、花束へ視線を伏せる彼女に言外な拒否を感じて胸が痛い。
「…私には言いたくない、か?」
「私が、どうにかすべき事なのです。ご不快な気分にさせてしまい申し訳ございません。時が経てば自然と治るものと聞いております。大したことではございませんのでどうぞお気になさらず。」
「…辛いまま、時が経つのを待つのは適切な治療なのか?こんなに腫れるほど、夕方になっても赤みが引かぬ程、泣いただろうに?」
「…」
「私は貴女の婚約者だ。貴女が1人でその瞳を泣き腫らしているのに、私は何も出来ないのか?その胸を占める痛みを分けることも、軽くすることも、抱きしめて包むことすらも許されないのか?」
彼女の拒否が怖くてひたすらに言葉を連ねる。
拒否しないで、受け入れて。心の痛みを全て私に渡して。どうか、1人で苦しまないで。
貴女を守るためだけに死ぬ気で力を育ててきたんだ。
「わ、私は…」
目が合った、彼女の美しいの瞳が揺らぐ
真っ白な頬を1粒の雫がつたうのを見て頭の中で何かが弾けた。
気がつけばレイチェルの隣の席に移動し、彼女の頭を胸に掻き抱いていた。
心の痛みに震えるその体に少しでも熱を与えたくて、私がここに居ることを彼女に伝えたくて、ゆっくりと頭を撫ぜる。
「言えないなら、今はまだいい。少しだけ、これだけは今は許せ。」
拒否はしないものの、ぐっと何かを堪えるように唇を噛む彼女に言いしれない恐怖を感じる。
気を抜いたら壊れてしまいそうな儚さ、この手の力を少しでも緩めたらこの腕の中から消え去ってしまいそうな、そんなどうしようもない焦燥感に駆られる。
教えて欲しい。
どんな困難な課題だって絶対にやり遂げてみせるから。
君の望む結果に何がなんでも持っていくから。
だからどうか、どうか俺の傍から離れないで…
「ところで、何が君をそんなに悲しませたんだ?」
そっと顔に手を添え、いつもはつけていない眼鏡を外してやる。
目に映るのは赤みの残る瞳と腫れた瞼。
明らかな涙の痕跡に胸が痛み、思わず眉間にシワがよる。
少しでも痛みが和らぐようにと、そっと優しく指の背で目元を撫でる。
なぁ、お願いだから教えておくれ。君の憂いは全て私がとっぱらってあげるから。
ふっと、花束へ視線を伏せる彼女に言外な拒否を感じて胸が痛い。
「…私には言いたくない、か?」
「私が、どうにかすべき事なのです。ご不快な気分にさせてしまい申し訳ございません。時が経てば自然と治るものと聞いております。大したことではございませんのでどうぞお気になさらず。」
「…辛いまま、時が経つのを待つのは適切な治療なのか?こんなに腫れるほど、夕方になっても赤みが引かぬ程、泣いただろうに?」
「…」
「私は貴女の婚約者だ。貴女が1人でその瞳を泣き腫らしているのに、私は何も出来ないのか?その胸を占める痛みを分けることも、軽くすることも、抱きしめて包むことすらも許されないのか?」
彼女の拒否が怖くてひたすらに言葉を連ねる。
拒否しないで、受け入れて。心の痛みを全て私に渡して。どうか、1人で苦しまないで。
貴女を守るためだけに死ぬ気で力を育ててきたんだ。
「わ、私は…」
目が合った、彼女の美しいの瞳が揺らぐ
真っ白な頬を1粒の雫がつたうのを見て頭の中で何かが弾けた。
気がつけばレイチェルの隣の席に移動し、彼女の頭を胸に掻き抱いていた。
心の痛みに震えるその体に少しでも熱を与えたくて、私がここに居ることを彼女に伝えたくて、ゆっくりと頭を撫ぜる。
「言えないなら、今はまだいい。少しだけ、これだけは今は許せ。」
拒否はしないものの、ぐっと何かを堪えるように唇を噛む彼女に言いしれない恐怖を感じる。
気を抜いたら壊れてしまいそうな儚さ、この手の力を少しでも緩めたらこの腕の中から消え去ってしまいそうな、そんなどうしようもない焦燥感に駆られる。
教えて欲しい。
どんな困難な課題だって絶対にやり遂げてみせるから。
君の望む結果に何がなんでも持っていくから。
だからどうか、どうか俺の傍から離れないで…
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