私と一緒にご退場願いましょうか

りすい

文字の大きさ
18 / 23

17.

しおりを挟む
「…んっ」

ふと光を感じ、意識を浮上させる。

「!レイチェル様、お加減はいかがですか?」

侍女のサラが声をかけてくる。
体を起こすのを支え、水の入ったコップを渡してくれる。

「奥様にお声がけしてきますので、お待ちください。」

パタパタと走り去るサラを見送りながら、記憶を掘り起こす。
えーと?

バタンと言う音と共にノックもなく扉が開け放たれ、お母様が駆け寄ってくる。
「あぁ、レイチェル。よかった…気分は?痛みや、違和感はない?」

「あれ?私…?」

「帰宅中に倒れたみたいなの。家のすぐそこだったからそのままセオドア様が運んで下さったわ。今お医者様を呼びに行ってくださってるからもう少し待っていてね。」

あ…思い出した。
推しの供給過多で意識が飛んだんだった…

え、お医者様って?なんて説明するの?
いや、ごめんなさい、私元気なんです!!!
あまりの恥ずかしさに顔に熱が集まり、涙で目が潤んだ。

「熱があるのね…大丈夫よ。セオドア様が直ぐにお医者様を連れて戻ってきてくださいますからね。」

「…お母様、すみません、あの、体調は大丈夫なんです。だから、お医者様なんてそんな!」

「奥様、失礼致します。お医者様とセオドア様が到着致しました。」

「ご案内してちょうだい。セオドア様は客間にお通しして。」

あぁ…間に合わなかった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

大人しく診察を受け、出た結果は
不眠による疲労との事。
熱は無いが軽い風邪の症状も出ているから、薬を飲んで大人しく寝るようにとの指示でした。

不眠になってることすら気づいてなかったけれど恥ずかしい理由は暴露せずに済んだから良しとしましょう。

診察結果が出るまでセオドア様もお待ちくださり「大事がないならよかった。ゆっくり休んでくれ」とお母様に言伝だけ頼んで帰って行ったらしい。

部屋まで運んでくださったのもセオドア様ときき、意識がなかった事を大いに悔やんだ。
推しのお姫様抱っこ…!!

とにかく今度色々とお礼をしなくては…
次のお休みはお茶会もあるし、何か準備をした方がいいかしら。

うーん、とぐるぐると考えていると、くすりと小さな笑い声が聞こえた。

「…お母様?」
「セオドア様が一緒でよかったわね。移動中の馬車の中でもずっと支えていてくれたみたいよ?お医者の手配も直ぐに済ませて下さって。運ぶのもシリウスにって伝えたのだけれど"彼女に触れる男は自分だけだと嬉しい、任せて頂けないだろうか"なんて言われて思わずお任せしてしまったわ!」

仲良く出来ているようでよかった。とにこにこと微笑まれる。
お母様の後ろでは侍従のシリウスも頷いている。

「…セオドア様には今度きちんと御礼を致します。」

えぇ、そうしてちょうだい。ゆっくり休むのよ。と頭を軽く撫でられベッドに寝るように促される。

味方を増やすためのご招待のお手紙とか、書こうと思ってたんだけどなぁ…
とはいえ、ベッドに沈み込み目を閉じるとあっという間に意識は遠のいていく。
お医者の見立て通り疲れてはいるようだ。

今日はちょっと色々ありすぎて疲れたわ。
動き出すのは明日からにしましょう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の妹は復讐を誓う

影茸
恋愛
王子との婚約を冤罪によって破棄され、何もかも失った少女メイア・ストラード。 そしてその妹、アリアは絶望に嘆き悲しむ姉の姿を見て婚約を破棄した王子に復讐を誓う。

やはり婚約破棄ですか…あら?ヒロインはどこかしら?

桜梅花 空木
ファンタジー
「アリソン嬢、婚約破棄をしていただけませんか?」 やはり避けられなかった。頑張ったのですがね…。 婚姻発表をする予定だった社交会での婚約破棄。所詮私は悪役令嬢。目の前にいるであろう第2王子にせめて笑顔で挨拶しようと顔を上げる。 あら?王子様に騎士様など攻略メンバーは勢揃い…。けどヒロインが見当たらないわ……?

乙女ゲームの断罪シーンの夢を見たのでとりあえず王子を平手打ちしたら夢じゃなかった

恋愛
気が付くとそこは知らないパーティー会場だった。 そこへ入場してきたのは"ビッターバター"王国の王子と、エスコートされた男爵令嬢。 ビッターバターという変な国名を聞いてここがゲームと同じ世界の夢だと気付く。 夢ならいいんじゃない?と王子の顔を平手打ちしようと思った令嬢のお話。  四話構成です。 ※ラテ令嬢の独り言がかなり多いです! お気に入り登録していただけると嬉しいです。 暇つぶしにでもなれば……! 思いつきと勢いで書いたものなので名前が適当&名無しなのでご了承下さい。 一度でもふっと笑ってもらえたら嬉しいです。

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

【完結短編】真実の愛を見つけたとして雑な離婚を強行した国王の末路は?

ジャン・幸田
恋愛
真実の愛を見つけたとして政略結婚をした新妻を追い出した国王の末路は、本人以外はハッピーになったかもしれない。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

最近のよくある乙女ゲームの結末

叶 望
恋愛
なぜか行うことすべてが裏目に出てしまい呪われているのではないかと王妃に相談する。実はこの世界は乙女ゲームの世界だが、ヒロイン以外はその事を知らない。 ※小説家になろうにも投稿しています

【短編】その婚約破棄、本当に大丈夫ですか?

佐倉穂波
恋愛
「僕は“真実の愛”を見つけたんだ。意地悪をするような君との婚約は破棄する!」  テンプレートのような婚約破棄のセリフを聞いたフェリスの反応は?  よくある「婚約破棄」のお話。  勢いのまま書いた短い物語です。  カテゴリーを児童書にしていたのですが、投稿ガイドラインを確認したら「婚約破棄」はカテゴリーエラーと記載されていたので、恋愛に変更しました。

処理中です...