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恋の忘れ形見③
待っているのは御免ですから。
しおりを挟むパソコンの液晶を睨み付けること、かれこれ1時間。
私は今、地域情報のレポート作成に勤しんでいる。
午前の講義を終え、『さて午後の時間でレポートを完成させよう』と意気込んだのは良いものの、足を運んだ先のパソコン室のドア前で回れ右。
地域情報の講義に出席している顔ぶればかりの室内。皆が皆、眉根を寄せながら難しい顔をしていた。
人ゴミに圧倒された私は、大人しく自宅のパソコンで作業をすることにしたのだ。
そう、ここまでは良かった。
とあるハプニングに気付くまでは‥‥。
現在、正午を回り1時の暖かい陽気が部屋を満たしている。
夕方の5時までに終わらせなければ‥‥。
そう思うと後頭部から汗が垂れる。
期限は今日まで。
つまりあと4時間で学務課に提出しなければならない。
視界がチカチカと点滅してきた。
分かりやすく状況説明するとしたら、『テンパっている』の一言だ。
その理由も分かりやすい。
何故なら、レポート提出で焦ったことが無いからだ。
普段の私なら今頃、周りの未提出者を見て『可哀想に』とほくそ笑んでいるはず。
むしろ、こんな期限ギリギリで焦るようなことにはならない。
最低でも期限より1日早く提出している。
自分で言うのもなんだけど、まぁ真面目の部類に入る学生だ。
その真面目な私が、何故に今更パソコンのキーボードをめった打ちしているのだろう。
ああ、昨晩のデータはどこに。
そう、昨日は色々と考え過ぎたのだ。余計なことを。
主に克哉のことや、変態千鶴のこと。
そう、余計なことだ。
そのせいでレポート期日を忘れてしまっただなんて‥‥。
「‥‥不覚。」
手の平に爪を立てながら、誰に言うとでも無く呟いてみた。
それでも、昨晩にはほぼ完成していたのだ。
後は仕上げをして、今日提出するはずだったのに‥‥。
何故か無いのよ。
レポートのデータが入ったUSBが丸々と!
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