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恋の矢印
倦怠期?
しおりを挟む「元気?‥‥って、頻繁に会ってんじゃんお宅ら。」
「いや、それがですね~‥‥
しばらーく、会ってないんスよ。」
「え、嘘。」
確かこの前もこの前もこの前も、『彼氏んトコ行ってくるぅ~』
とか言ってルンルンとステップを踏みながら家を出たのに。
むしろ、『いってきます』の代わりのような台詞だったのに。
何か?彼氏んトコとか言いつつ、実際は総大くんのトコへは行っていなかったってコト?
もしくはその『彼氏』が既に総大くんでは無い誰かに替わったのか?
何ソレ。
やましい香りがプンプンするんですけど。
「何か‥‥聞いてたり、します?」
おどおどと、まるで地雷を踏まないように注意を払いながら、
私の反応を待つ総大くん。
これは‥‥言っても良いものなのか。
「さぁ~。
あの子、人のコトは根掘り葉掘り聞いてくるクセに、自分のコトとなるとからっきし喋らないから。」
「はぁ‥‥そうッスかぁ~。」
そう情けない声を漏らした割には、ついた溜め息が妙に男らしく渇いたモノだった。
その瞬間に、彼の側面を垣間見るのだ。
総大くんは、それこそ人当たりが良いだけであって本当はドライな男だってコト。
大人の、使い勝手の良い二面性。
「倦怠期?」
「けんた‥‥いや、倦怠期と言えば倦怠期かもしれないし、そうとは言い切れないような気も、しないでもないしぃ‥‥へへっ。」
あー。何だこの宇宙語。
無意識にも総大くんとの会話には苛立ちを覚える私なのだ。
それに加え耳に響くバスの、低い声で喋っているのにも関わらず、
イントネーションが彼女である凪にどことなく似ているので、胃が浮くような感覚になる。
「あーもー、ハッキリしなよ。
結局、それがどっちかも分からないくらい不明瞭なら倦怠期、
でしょ!?」
「あ~、そうかもしれないかも。」
「かもかもって何よ!
この、鴨!」
って、嗚呼。
すっかりツッコミ体質な自分に嫌気が差す。
だって、あまりにも曖昧な反応ばかりで疲れてきたんだもん。
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