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恋はさざ波に似て②
酒に飲まれよう
しおりを挟む「何ですって?」
「いや、こっちの話……で、仕事って?」
「ああ、地元開催のライヴなんスよ。さっき終わって、これから部屋でメンバーと軽い打ち上げでもやろうかって。ビールを売店で買って来たところだったんスよー。
まぁ、メンバーって言ってもギターのヤツしか残っていませんケドね。
他のヤツらはファンの女の子達と……ゲフン、何でも無いッス」
「じ、地元?え?
ビール……じゃなくて、ライヴ?」
言いたいことが二重にも三重にもなってしまい、思わず口が回らなかった。
「あ、ハイ。
バンドの、ライヴで……」
『知らないッスか?』
なーんて呑気に聞かれても。
悪かったわね、こっちは初耳よ。
双子の姉妹が何でもかんでも情報交換し合ってると思ったら、大間違いだわ。
「凪から聞いて……」
「無いわ」
総大くんの話を遮って、私はキッパリと偉そうに断言した。
「そっか……。
うん、やってるんス。バンド。うん……」
うわ~……あからさまに
『オレって可哀想』オーラ漂わせてるよ。
親父の哀愁さながらに、総大くんはビニール袋に入ったビールを見下ろしながら溜め息を吐いた。
「うん……いいんスよ。
どーせオレなんか、凪の頭の隅にでもいりゃあイイ方だ。
ましてやオレの仕事の話題になんかならないッスよね……分かります、うん」
「あ、いやいや!忘れてただけ!
そうそう、バンドマンなんだってね!」
大量の冷や汗を掻きながら、申し訳程度のフォローをする私。
「ああ、酒でも飲まなきゃやってられないッスよ。ホント……」
「分かる~……。
やってられないわよねぇ」
項垂れた総大くんに思わず同調してしまった。
「あ、じゃあアネゴもオレらの部屋で飲みますか?
知らない面子ばっかだけど」
「え、あ~。どうしよ」
その時、不意に千鶴の顔が頭に浮かんできたので、それを消すかのように私は慌てて申し込んだ。
「うん、飲むわ。私も飲む」
酒に任せれば、どうにかなるかもしれない。
こんな考え、どうかしているけど……。
飲まずにはいられない時だってある!それが大人ってもんよ!
なんて、成人なりたての自分に言い聞かせ。
「おしっ、じゃあ行きましょ!」
一瞬だけ、ローテンションな総大くんがニカッと笑った。
それにつられて私も疲れたような笑みを溢す。
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