198 / 399
恋はさざ波に似て②
首の曲がった化け物
しおりを挟む全ての矛盾を酔いのせいにして、私はケラケラと笑い声を上げた。
――その時。
華やかな彩りに飾られた戸の向こうから、恐竜が疾走してきたような騒音が轟いてきた。
何事かと、覚醒している私と総大くんの約2名は顔を見合わせる。
その音の元凶は、確実に南条セイヤの特別室『向日葵の間』に近付いてきたのだ。
――ドドドド……
「地震ッスかねぇ」
お互い顔を見合わせたまま、眉根を潜める。
そして私達の視線は、同時に襖の向こうに注がれることになった。
――ッズバーンッッ!!!!
あまりの勢いに、襖が壊れてしまうんじゃないかという心配をする間も無く、とてつもない怒りに満ちた大声が室内を揺るがした……!
「松島ぁぁーっ!!!!」
「ひ、ひぃぃいい!!」
鬼の形相で怒声を浴びせるなり、ものの数秒で千鶴は総大くんの胸ぐらを掴んで引きずり、そのまま隣の部屋へ消えて行った。
まるで、人さらいの鬼だ……。
今のは何の特殊効果?
CGで創られた怪物が暴れ狂う、ハリウッド映画のワンシーンを間の当たりにした感じだった。
ていうか!
さっき私がひっぱたいた方向に首が曲がったままだったよ?
B級ホラー映画かよ……。
やっぱこえーよ、アイツ。
あまりの驚きに声が出ないまま、私はその場にずるりと座り込む。
何かが起こったことには違いないが、私には関係ない。
そう思うことで、面倒事から回避してしまった。
しばらくして焦点の合わない目でボーッとしながらビールの空き缶を見つめていると、総大くんが連れ込まれた隣室から、ドス、バキ、グシャ、ドン!
と、不穏な音が漏れてきた。
な、なぁ~にぃ~?
物騒ねぇ~。リンチでも行われているのかしらん。
くわばらくわばら!
滝のような汗を掻いて襖にチラリと目をやれば、スススと静かな音を鳴らし、タイミング良くそれは開かれた。
そして長い指と切れ長の黒い瞳が隙間から覗いてきた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる