Shadow★Man~変態イケメン御曹司に溺愛(ストーカー)されました~

美保馨

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恋はさざ波に似て③

あなたの目に映る私

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最後に海を見たのはいつだったろうか。
遠い昔のように思える。


ザザン、ザパーッ、繰り返される波の音。
まるで私の心の中のよう。

延々と、終わること無く繰り返される。
流れて、流されて、それでも泳ごうとしない。
流れに身を委ねて、どこかへ辿り着くのを待っている。

規則的に寄せては返す波をぼうっと眺めていると、千鶴の革靴が視界に入る。

千鶴は、自分の足下の砂を見ている。
雪の下から顔を出した、濁った砂をただ見つめていた。

私と千鶴の視線が足下で絡まる。

千鶴は私の視線に気付いてこちらを見上げてきた。
私はそれをかわすように、水平線へ視線を移す。


『私に構わないで』

『いなくなって欲しい』


胃の辺りでその言葉が漂う。

言おう。言わなきゃ。言いたい。言えない。

ああ、思考が、言葉が、
波に飲まれていく。

千鶴も、何かを言いたそうにしている。

言って欲しい。聞きたくない。




「綺麗ですね」



とても柔らかな表情で千鶴は言う。
穏やかで、満ち足りていて、
綺麗なのはアンタの顔だよと言いたいくらいに。

美しい海辺を背景に、千鶴の優美な姿が映える。
更に言わせてもらうなら、一枚の絵画に描かれた風景の、一部に見える。

千鶴が、この煌めく海の一部に見えて仕方無いのだ。

キラキラ、キラキラ、光を反射させて、何も寄せ付けない。
凛とした美しさ。

それが私には眩しすぎて、目を細めてしまうのだ。



「うん、そうだね」



私は千鶴を盗み見て、そう言った。
綺麗だと思ったから。



「海を見ている、澪が綺麗です」


「……は。どうも、ありがとー」


私のことを綺麗だなんて言う愚か者は、この世でアンタただ1人だよ。
こんなに眩しく、絵になる自分をまず褒めろよ。

ナルシストでもイイ。
誰もが思うんだから、誰もが許すだろうに。

なのに、
どうして私を褒めるのよ。

どこも、ちっとも綺麗じゃない。

私を喜ばせてばっかり。

疲れないの?
アンタは、それでイイの?


アンタの目には、私がどう映っていると言うの。


 

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