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恋はさざ波に似て③
ただ、頬と唇が触れただけですけど何か?
しおりを挟む「嗚呼、嗚呼!もう立ち上がれません!明日さえも見えません!
このまま脱水症状起こして死のうか……いや、このまま海に身を投げて死のうか」
今度は死んだ魚の眼をしながら、物騒なコトを口走る始末。
このままでは本当に物騒なコトになりかねん。
それはあまりにも面倒だ。
どうしたものか。
その時、『ピコーン!』と電球が私の頭上に浮かぶ(古典的にも程がある)。
それを思い付くと、すぐに変態の胸ぐらを掴んで無理矢理起立させた。
「澪、放って置いて下さい!
貴女の身を守れなかった僕など、人魚の様に泡となって消えてしまえばいいんです!」
「脱水症状か溺死で死ぬんじゃなかったっけ?
てか、人魚って……アンタねぇ。自分を美化しすぎだっつーの」
はぁと小さく溜め息を吐いて、私は滅茶苦茶な泣き顔をさらす千鶴の顔を、自分の元へと引き寄せた。
そしてそのまま、ヤツの滑らかな頬に自分の唇をちょん、と乗せる。
我に返ればなおのこと恥ずかしさが増すだろうと思い、私はあえて何食わぬ顔でいた。
ただ、頬と唇が触れただけですけど何か?ってね。
「あ……あ……ええ?」
爆発寸前、千鶴は火山の噴火口のごとく顔を赤くさせた。
見れば見るほど、赤が分かりやすく染まっていく。
何故こうも、女慣れをしてそうな美男子が初々しい反応を示すのか不思議でならないけど。
今の魔訶不思議な私の行動に比べたら、それは些細な事柄だった。
『頬にくらい、してもかまわないだろう』
そんな悪魔の囁きが耳打ちしたから、したのだ。
うん……、どうしよう。
どうしよう……ねぇ?
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