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恋の焼け痕
み、見ないで下さい……っ
しおりを挟む「あははー!千鶴さん、めっちゃウケるんだけどー!
こんなサプライズ初めて見たぁー!」
私も初めて見たよ。
妖怪・ラッピング男をね。
そう、その名の通り、千鶴はショッキングピンクのリボンを体中に巻き付けているのだ。絶対に、イカれている。
まだ一言も喋っていない変態だが、己の無様な格好に恥じたような表情をしている。
『罰ゲームに負けたから仕方なく』とか『見ないで』とか、今にも言い出しそうな。
「み、見ないで下さい……っ」
本当に言いやがった。
「なら何故わざわざ見せに来るんだ」
「ねぇねぇ、動画撮ってイイ?」
こういう時につくづく思うんだけど、双子って同じ殻を持った全く違う生き物よね。
動画を撮るだなんてそんな余裕は、どうやら私の中にはほんの少しも無いみたい。
紺色のスーツの上から何重にも巻き付いたドピンクが、悲しいほどに目に痛む。
ていうか、これは何のプレイですかと聞きたくなった。
なんせ、頭頂部から脚まで全身を見事にラッピングしてあるんだから!
「もう、澪ったら……僕にこんな格好をさせて、満足ですか?」
「てめマジ殺したろか」
「え、お姉……そんな趣味あったの?」
ケラケラと笑っていた凪の表情は一変し、ドン引きと言わんばかりの苦笑いを寄越してきた。
「良いんですよ、凪さん。
どんな羞恥の前でも、僕の愛は揺らぎませんからね」
ああ見てられない、こんな惨状。
全身リボンでグルグル巻きの男が、この上なくキザったらしい台詞を吐いているんだもの。
俳優顔負けの哀愁を漂わせてね。
こんな不愉快なコトって無いわ。
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