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恋の焼け痕
停止
しおりを挟む「はぁ~……」
呼吸を整え、私は真っ白な自分の吐息をくぐり抜けて、公園に足を踏み入れた。
さんさんと輝く太陽が、やけに眩しかった。
目を細めて、少しずつ千鶴が待つジャングルジムへ歩を進める。
コンビニからここまで辿り着くのに、何ヵ月分もかかったように思えた。
意を決して、私は高い場所にある背中に向かって声を掛ける。
「ねえ、そんな所に登るのは、馬鹿と煙だけよ?」
見上げれば、微動だにしない見慣れた背中。
少し様子がおかしいと思い、ぐるりとジャングルジムを回り込む。
そしてやっと、千鶴の正面を捉えることが出来た。
突き刺す午後の陽が視界を奪う。
千鶴は逆光によって、真っ黒な影になっていた。
「ねーってば。買って来てあげたんだけど、お礼のひとつも言えないワケ?早く下りて来なさいよ、また困らせるつもり?」
何?今度は何の真似かしら?
『そこにジャングルジムがあるから』なんて理由は受け付けないわよ。浮かれているにも程があるじゃない。
ていうか、無視ですか?
私が首を傾げて目を凝らしながらそう思えば、千鶴はやっと口を開いた。
逆光でほとんど顔が見えなかったが、上唇と下唇がゆっくりと開く音がしたのだ。
「……やあ、」
「は?何が『やあ』よ。ついに寒さで頭ぶっ飛んだ?
いい加減にしてよね。こっちだって学校サボタージュしてまでチョコ買ってき、て……」
流暢に文句を並べていた私の口が、突然動きを止めた。
そうじゃなくて、止まってしまったのだ。
私の意思に関係なく止まってしまったのだ、全てが。
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