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恋の焼け跡④
祖母と孫
しおりを挟む「……あら?皐月さん、久しぶりねぇ!弥生を迎えに来たの?
あらあら、ちょうど良かったわ。ちょうど弥生にお小遣いをあげていたところなのよ。ちょっと2人で食事でもして来なさい。たまには大衆食堂でゆっくりするのも、いいものよ」
いやいやいや。数万円も渡しておいて、大衆食堂って。
しかし、そんな私の苦笑いもすぐ真顔に正された。
超が付くほどのハイテンションだった弥生ちゃんの様子が、少しおかしいからだ。
さっきまでニコニコと笑顔を浮かべていたのに、たった今話された藤堂さんの言葉を聞くと途端に無表情になり、私に悲しそうな瞳を向けてきた。
そして再び藤堂さんに視線を向けると、今度はぎこちない笑みを顔に張り付けた。
まるで悲しみを隠す為の、作り笑顔だ。
認知症になったおばあちゃんを見て、ショックを受けたのだろうか?
無理も無い、そう思うと私はただ黙って様子を見た。
「……おばあ様、わたくしお姉様とお話がしたいので、今日はもう失礼しますわね。せっかくですけど……また明日会いに来ますわ」
「そうね!親子水入らず、楽しんで来なさい!」
そのやり取りを見て、胸を痛める暇も与えてくれなかった。
弥生ちゃんは私の腕を掴むと、部屋の外へと強引に引っ張った。
「……澪お姉様、わたくしの家へ行きましょう!見せたい物がたくさんありますの!
この前学校で描いた絵が表彰されて、その絵とクラスのお友達と一緒に写った写真とか……。
あと、色々たくさん、ありますの!ね、行きましょう?」
「うん……分かった。行こっか」
表彰された絵と友達と一緒に写った写真を見せたいというのは、口実だろうなと薄っすら思った。
少しだけ震えている、私の手を握るこの小さな手からは、ひしひしと不安が伝わってくる。
それを確認すると、私は何も聞かずに弥生ちゃんに着いて行った。
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