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少女の恋②
校門前で
しおりを挟むあの日の茜色の空は幾度か色を変え、過ぎ去って行く日々を物語った。
あの屋上の事件から1週間が経つ。
黒い学生服に身を包んだ見目麗しい少年は、廊下ですれ違う数多の女子生徒達に熱烈な視線を注がれている。
それに辟易するでもなく、少年は慣れた笑顔で女子生徒達をかわした。
薄っぺらな、皮一枚の笑顔で。
しかし、その偽りの笑顔は校門の前で消え失せることになる。
いつぞやに出会った、少女の姿が目の前にあるではないか。
『何故此処に』
反射的にそう思うも決して表に出さず、少年は視界に入らなかったように少女を通り過ぎた。
「あ、無視しないでよー。お兄ちゃん」
下校時刻、当然校門前は人通りが多かった。
学ラン姿の男子達はこちらに好奇の眼差しを送っているし、セーラー服姿の女子達は相変わらず黄色い声を押し殺している。
「止めて下さい、兄妹と勘違いされるじゃないですか」
しかし激昂することもなく少年は至って冷静に、後ろからひょこひょこ着いてくる少女を軽くあしらう。
背中にはランドセル、今日は折鶴の入ったレジ袋は右手に無く、代わりにトートバッグが下げられている。
プール授業でもあったのだろうか、着替えらしきものが見えた。
「いいんだもん」
「良くありません。
変な噂が立ったらどうしてくれるんですか」
「妹がいるって?
別にそんなの良くない?」
「良くありません。
こんな下品でチビでブスな血縁者がいてたまりますか」
「ブ……?
ひっど、相変わらず口悪いねお兄ちゃん」
「事実です」
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