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少女の恋③
穏やかな朝
しおりを挟む翌朝、澪と少年は2人で朝食を食べた。
ごく普通の朝の風景。
2人は家族のようにして食卓テーブルを囲んでいる。
「口に付いてますよ」
モグモグと懸命に咀嚼する澪の頬に付いた食パンのカスを、少年は取ってあげた。
「ねえお兄ちゃん」
もう片方の頬にパンカスを付けたまま、澪は言った。
「何ですか」
「日曜日なのに、何で制服着てるの?」
「今日は模試があるんです」
「モシってなあに?」
「そうですね……まあ、薄っぺらな紙の事です」
「ふーん?」
「君もテスト位知っているでしょう」
「あ、テストのことなの?
テストはね~、算数の文章問題がイヤだな」
「算数が苦手なのですか」
「うん。国語は得意なんだけど」
「では、今度僕が教えてあげますよ。きっと、学校の教員の教え方が悪いんでしょうからね」
「ほんと!?」
「僕が教えたからには、苦手などという台詞は吐かせませんよ。
大体、算数位出来なくてこの先どうするんですか」
「だって、難しいんだもん」
気を抜けば嫌味を言ってしまう自分自身に、少年は半ば呆れていた。
別に、困らせたくて言っているわけではないのに。
ただ、澪の勉強を見てあげたいだけなのに。
そんなもどかしい想いを言葉では伝えることができなくて、小さな頭をそっと撫でてみた。
こうすれば高確率で機嫌が良くなることを、昨日知ったばかりなのだ。
案の定、澪はフォークの手を止めて、照れ臭そうに笑ってみせてくれた。
すると少年の心臓は奇妙に揺れ始めた。
病気だろうか。学校ではなく、病院に行った方が良いのでは?
しかし、そんな不可思議な病を相手にする暇は、今の少年には無い。
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