Shadow★Man~変態イケメン御曹司に溺愛(ストーカー)されました~

美保馨

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また恋に堕ちる

日常へ帰還

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それから数時間後。
私は行きと同じ高級車で自宅まで送り届けられた。

そしてマンションの前に車が止まった時、車内では終始無言だった貝森さんがこう言ってきた。


「……ありがとうございます。
澪様」


私は、車が住宅街から消えるまでしばし直立不動でその言葉の意味を考えていた。

はて、お礼を言われるようなことをしたのか?

結局分からず仕舞いに終わった。



◇◇◇



リビングのソファに沈み込むなり一服をした。
体が鉛のように重い。

煙を吸う度にズシンと胸に響く。
胃がヒリヒリと痛む。

思考が停止しそうだ。

しかし、これからケジメを付けなければ。
やるべきことがたくさんあるのだ。

止まっている場合じゃない。



◇◇◇



次の日、その決意通りに私は休むことなく施設へ赴いた。

重い足取りで真っ先に目指したのは、青木主任の元。

彼女は二つの意味で、眼前にそびえる巨大な砦のようである。

まともに顔を見れないのは、後ろめたさに勝る恐怖があったからだ。


「本当に申し訳ありませんでした!」


ああ、沈黙。
どうせなら怒鳴ってほしい。


「……まあ、わざわざ謝りに来てくれたことですし?
昨日の件は大目に見ます」


へ?

今の言葉が本当に青木主任の口から出たモノだったのか確かめるために、少し頭を上げてみた。

ああ、幻覚?

いつもなら敵将を討ち取る勇ましいもののふ宜しく、『うぬ』とか日常的に言いそうな険しい顔の青木主任だが……。

晴れやかな微笑みが浮かんでいるではないか。

目をゴシゴシとこすりたいところだが、彼女の周囲を包むオーラのピンク色ときたら目に染み入るほどで。

ショックを受けた私は、目をこすることも叶わず硬直してしまった。


 


 
 

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