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到着
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三人は朝から半日程歩いて、川の畔で休憩していた。
レイルとサガンは昼食を作るための焚き火をおこす場所について相談している。
長身で体格の良い二人が並んで立つと壮観だった。明るい日差しを浴びた茶髪と赤毛が輝いて、森の濃い緑を背景に二人の鍛え上げた体の線が際立つ。さながら一幅の絵のようだった。キリトが自分の貧相な体格にひとりで恥ずかしくなっていると、当のレイルがこちらに歩いてきた。
「首の怪我はどうだ?」
わずかに目にかかる茶色い髪を首を振って払いながらレイルが聞く。
キリトは首に包帯代わりに巻いた布に手をやった。
「もう痛くないよ。少し切れただけだから。」
レイルの腕の傷を治したあと、もしかしてと思って自分の首の傷も力で治そうとしてみたが、息が上がって汗をかき力を消耗するばかりで、血は止まって痛みは和らいだが、傷は傷のままだった。
レイルに癒しの力を使った時の、あの力の膨張は何だったのだろう。それに目を閉じている間に見た、光と花弁が舞う光景。まるで天国みたいだった。
「巻き込んでしまってすまない。あの男達は俺の追手だったんだ。途中で完全に巻いたと思っていたが、油断した。」
「レイルの追手?どうして追われていたの?」
「俺に非がある訳ではないんだが、ちょっとした権力争いに巻き込まれたというか...」
続けて何か言おうとするレイルを目で制すと、サガンは言った。
「理由は言えないんだ、すまない。それより、その癒しの力、イズノールに居る知人に見せてはもらえないか?」
「何を」
レイルは驚いた顔でサガンを見やった。
「サガンの知人に...?あの、僕...」
キリトは戸惑いを隠せず言い淀んだ。自分の不安定な癒しの力など人に見せてどうするというのだろう。
「キリトの癒しの能力について気になることがあるんだ。レイルもカゼインに会おうと思ってイズノールを目指していたんじゃないのか?」
「それはそうだが、まだ味方に付いてくれるという確証はない。」
レイルとサガンは難しい顔で黙り込んだ。
「そういえば、キリトはどういう用事でイズノールへ行くんだ?まだ聞いていなかったな。」
ややあってレイルが言った。
「...僕、夢を見たんだ。大勢の男達が斬り合いをしていて、豪華な部屋の中はめちゃくちゃ。そこで誰かが”イズノールへ”って言う夢。夢見の力があるって言ったら、信じる?僕はその夢を見たからイズノールを目指している。」
嘘をついても仕方ないかとレイルが言うと、レイルとサガンは驚いた顔で互いに見つめ合った。
「信じられない。そう言ったのは、俺だ。」
「えっ」
レイルにそう言われ、キリトは信じられないような気持ちだったが、そういわれるとレイルの声だったような気がしてくる。
夢で見た斬り合いの様子、部屋の家具やカーテンの色や敷物の模様など、あれこれと三人で突き合わせをして、やはりキリトが見た夢はレイルとサガンが居た実際の光景だったのだと判明した。
では、レイルの声に導かれて自分は旅をしていたのだ。レイルを見ると、レイルもこちらを緑色の目でじっと見ていたのだった。
********
イズノールの着いた時には日が暮れかけていた。街の擁壁の門が閉まるギリギリの時刻に通り抜けると、三人は賑わいを見せる街の通りを抜けて宿屋に向かった。
宿の部屋に着くと、キリトは「お店が閉まる前に朝食を買いに行ってくるよ」と外に出掛けて行った。ここの宿は夕食は出すが、朝食は各自と決まっていた。
「ずいぶんとご執心みたいだな。」
部屋の窓から買い出しに出るキリトを見ながらサガンは行った。
「なんのことだ。」
同じようにキリトの後ろ姿を目で追いながらレイルが答える。
とぼけて見せたが、サガンの言いたい事は分かっていた。だが自分は命を狙われ追われる身で、この街に着いたところで安全という訳でなない。キリトをこれ以上巻き込んで良いのか、決心がつかないでいた。
その気持とは裏腹に、気づけば目はキリトの姿を追っている。すらりと伸びた手足、華奢な肩、黒い艶のある髪に白くなめらかな肌が映え、仄かに色づいた唇が色を添える。街に入ってから通り過ぎる男達の視線を集めながら、困ったように俯く横顔。キリトの姿を少しでも他人に見られることにイラつく自分の気持ちを、レイルは自覚していた。
「だが、カゼインを探すのが先だろう。」
レイルを咎めているのかと思ってサガンを見ると、長年の友人は壁にもたれて天井を見るともなしに見ていた。
「分かっている。」
レイルはため息まじりに答えた。
レイルとサガンは昼食を作るための焚き火をおこす場所について相談している。
長身で体格の良い二人が並んで立つと壮観だった。明るい日差しを浴びた茶髪と赤毛が輝いて、森の濃い緑を背景に二人の鍛え上げた体の線が際立つ。さながら一幅の絵のようだった。キリトが自分の貧相な体格にひとりで恥ずかしくなっていると、当のレイルがこちらに歩いてきた。
「首の怪我はどうだ?」
わずかに目にかかる茶色い髪を首を振って払いながらレイルが聞く。
キリトは首に包帯代わりに巻いた布に手をやった。
「もう痛くないよ。少し切れただけだから。」
レイルの腕の傷を治したあと、もしかしてと思って自分の首の傷も力で治そうとしてみたが、息が上がって汗をかき力を消耗するばかりで、血は止まって痛みは和らいだが、傷は傷のままだった。
レイルに癒しの力を使った時の、あの力の膨張は何だったのだろう。それに目を閉じている間に見た、光と花弁が舞う光景。まるで天国みたいだった。
「巻き込んでしまってすまない。あの男達は俺の追手だったんだ。途中で完全に巻いたと思っていたが、油断した。」
「レイルの追手?どうして追われていたの?」
「俺に非がある訳ではないんだが、ちょっとした権力争いに巻き込まれたというか...」
続けて何か言おうとするレイルを目で制すと、サガンは言った。
「理由は言えないんだ、すまない。それより、その癒しの力、イズノールに居る知人に見せてはもらえないか?」
「何を」
レイルは驚いた顔でサガンを見やった。
「サガンの知人に...?あの、僕...」
キリトは戸惑いを隠せず言い淀んだ。自分の不安定な癒しの力など人に見せてどうするというのだろう。
「キリトの癒しの能力について気になることがあるんだ。レイルもカゼインに会おうと思ってイズノールを目指していたんじゃないのか?」
「それはそうだが、まだ味方に付いてくれるという確証はない。」
レイルとサガンは難しい顔で黙り込んだ。
「そういえば、キリトはどういう用事でイズノールへ行くんだ?まだ聞いていなかったな。」
ややあってレイルが言った。
「...僕、夢を見たんだ。大勢の男達が斬り合いをしていて、豪華な部屋の中はめちゃくちゃ。そこで誰かが”イズノールへ”って言う夢。夢見の力があるって言ったら、信じる?僕はその夢を見たからイズノールを目指している。」
嘘をついても仕方ないかとレイルが言うと、レイルとサガンは驚いた顔で互いに見つめ合った。
「信じられない。そう言ったのは、俺だ。」
「えっ」
レイルにそう言われ、キリトは信じられないような気持ちだったが、そういわれるとレイルの声だったような気がしてくる。
夢で見た斬り合いの様子、部屋の家具やカーテンの色や敷物の模様など、あれこれと三人で突き合わせをして、やはりキリトが見た夢はレイルとサガンが居た実際の光景だったのだと判明した。
では、レイルの声に導かれて自分は旅をしていたのだ。レイルを見ると、レイルもこちらを緑色の目でじっと見ていたのだった。
********
イズノールの着いた時には日が暮れかけていた。街の擁壁の門が閉まるギリギリの時刻に通り抜けると、三人は賑わいを見せる街の通りを抜けて宿屋に向かった。
宿の部屋に着くと、キリトは「お店が閉まる前に朝食を買いに行ってくるよ」と外に出掛けて行った。ここの宿は夕食は出すが、朝食は各自と決まっていた。
「ずいぶんとご執心みたいだな。」
部屋の窓から買い出しに出るキリトを見ながらサガンは行った。
「なんのことだ。」
同じようにキリトの後ろ姿を目で追いながらレイルが答える。
とぼけて見せたが、サガンの言いたい事は分かっていた。だが自分は命を狙われ追われる身で、この街に着いたところで安全という訳でなない。キリトをこれ以上巻き込んで良いのか、決心がつかないでいた。
その気持とは裏腹に、気づけば目はキリトの姿を追っている。すらりと伸びた手足、華奢な肩、黒い艶のある髪に白くなめらかな肌が映え、仄かに色づいた唇が色を添える。街に入ってから通り過ぎる男達の視線を集めながら、困ったように俯く横顔。キリトの姿を少しでも他人に見られることにイラつく自分の気持ちを、レイルは自覚していた。
「だが、カゼインを探すのが先だろう。」
レイルを咎めているのかと思ってサガンを見ると、長年の友人は壁にもたれて天井を見るともなしに見ていた。
「分かっている。」
レイルはため息まじりに答えた。
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