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女の子
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レイルは小鳥の鳴き声で目を覚ました。宿の一室のカーテンの隙間からは細く早朝の光が差し込んでいる。
腕の中には愛してやまないキリトが居た。上掛けから裸の白く細い肩を覗かせている。
ふと、昨夜のキリトの痴態が思い出された。レイルの屹立に形の良い小さな唇を寄せ、舌を這わせ、うっとりと潤んだ目をして、顔にかかる黒い髪を繊細な指先でそっと掻き上げて、躊躇いがちにそれを口に含んだ、堪らない痴態を。
酔っていたからといって無茶な要求をしてしまった。嫌がるかと思ったがキリトは従順にレイルの要望に応えた。
これ以上無いほど愛しく思っていたが、まだこれより上があるのだろうか。底無しとも思える程にキリトが愛しい。がんばるから好きでいて欲しいなどと、可愛らしい事を言った口で、俺のものを淫らに咥えて。その口を息もできない程の深い口付けで塞いで抱き潰してしまいたい衝動を辛くも堪えていることを、キリトは少しも気付かずにいるのだろうか。叶うならば誰の目にも触れぬように閉じ込めてしまいたい暗い独占欲を、持て余していることを。
「...おはよ。僕、寝過ぎた?」
キリトが腕の中で目を覚まして言う。朝の光を浴びたキリトはまるで昨夜の事など無かったかのように清らかに見えた。
「まだ早朝だ。もう少し寝ていたらどうだ」
「ううん、二度寝したら起きられなくなりそうだから」
キリトはもぞりと寝台に起き上がった。途端に裸の白い肌と淡く色づく胸の飾りが顕になる。見ていると股間に熱が集まってしまいそうで、レイルはさっと窓の外に視線を移した。
宿の食堂で軽く朝食を食べた一行は、食料や水を街の商店で買い揃えてから出発した。
しばらくは周囲を木々に囲まれた街道が続く。
キリトは途中からまた騎士と交代してもらって馬に乗っていた。風は少し冷たいが陽が当たって気持ちが良い。
「キリト、止まってくれ」
馬で並走していたコルドールがキリトに声を掛けた。すぐに別の騎士が街道の先へ馬を駆けさせて行く。
「なに?」
「この道の先に何かある」
コルドールが言うそばから、確認に行っていた騎士が馬の首を廻らせて戻ってきた。
「子供が一人倒れています」
「えっ」
キリト達が近づくと、街道の真ん中に汚れの目立つ服を着た十歳頃の女の子が倒れていた。
「キリト!」
キリトはコルドールの制止の声に構わずに馬を降りると、女の子に駆け寄った。しゃがんで女の子の額に手を当てると熱い。額に汗もかいている。高熱があるようだった。
「熱があるみたい」
キリトの声に、コルドールが近づいて女の子を見てみると、服から覗く首筋や腕に赤い湿疹がぽつぽつとある。
「キリト、その子から離れろ。伝染病かもしれん」
「そんな...」
女の子は熱で辛いのか、はあはあと肩で息をしている。とても放っては置けなかった。
キリトは一つ息を吐くと、コルドールに言った。
「僕、やってみる」
「何事だ?」
振り返るとレイルが馬車から降りてくるところだった。
「子供が道に倒れていたんだが、熱と湿疹がある。伝染病かもしれん」
コルドールが眉間に皺を寄せてレイルに言う。
「なんだと。キリト、その子に近づくな」
レイルも怖い顔をして言った。
「でも、放って置けないよ。僕、力で癒してみる」
キリトはそう言うや否や、女の子の胸の辺りに手をかざすと目を閉じた。
途中で止める事もできずにレイル、コルドール、護衛の騎士達が見守っていると、キリトが手をかざす女の子の胸の上に、光る複雑な紋様が現れて眩しく輝き出した。あまりの眩しさに目を開けていられずに閉じる。
どさ、と音がして目を開くと、キリトが地面に倒れていた。
「キリト!」
レイルが駆け寄って抱き起こすと、キリトは薄らと目を開けた。
「...女の子は?」
「先ほどより顔色が良い。発疹もなくなっている」
コルドールが女の子を見て答えた。
「良かった」
女の子とは反対にキリトの顔色は血の気を失って真っ白になっている。
「キリト、無茶を...」
レイルはキリトの様子に奥歯を噛み締めた。
コルドールはキリトが癒しの力を振るう様子を見て舌を巻いた。まさか怪我や毒に加えて病気まで治せるとは思っていなかった。
「...わたし、体がしんどくない......あなたたちは?」
女の子が地面に身を起こして口を開いた。
「...旅の途中の者さ。お父さんかお母さんは?」
コルドールはしゃがんで女の子に目線を合わせて聞いた。コルドールの金の巻き毛を眩しげに見やって女の子は言った。
「...お父さんは病気で死んじゃった。お母さんは熱で寝てる」
「...お前と同じ、熱と発疹でか?」
「うん。村のひと、たくさん同じ病気なの」
レイルとコルドールは目を見合わせた。
「伝染病が発生しているなどと、報告は受けていないが」
「レイルと宰相が居ない間に、報告が行き違ったのかも知れん」
「ああ...」
レイルは今は亡き灰色の髪の宰相の顔を思い起こし、一時物思いに沈む。気を取り直してコルドールに言った。
「まずは村の様子を見に行こう。それから王都に早馬を。医師と支援物資を手配するようにと」
「レイルはキリトとここで待っていてくれ。二人に何かあったらこの国はどうなる」
コルドールは首を横に振って言った。
「だが...」
「村の様子を見て、すぐに戻る。村まで案内してくれるか?」
コルドールは騎士を二人連れると、女の子の先導で街道の脇道へと歩いて行った。
「キリト、具合はどうだ」
「...レイル」
レイルは地面に腰を下ろして、先ほどよりは顔色が良くなったキリトを腕に抱きしめた。
キリトが癒しの力を使って倒れる度、キリトを失うのではないかという恐怖に駆られる自分がいる。そして、キリトを失っては自分はもはや生きては居られないだろう。思わず抱きしめる腕に力を込めるとキリトが呻いた。
「...レイル、痛い」
「すまない」
そっと腕を解くとキリトの黒い目を覗き込んで言った。
「コルドールが戻ってきたら、早馬を王都へ送って俺たちも出発しよう」
「レイル、僕、病気も癒せたよ」
「ああ。だが...」
「もし本当に伝染病なら、ここで食い止めなきゃ大変なことになる」
「分かっているが...あなたを失いたくない」
レイルはキリトの肩口に顔を埋めて言葉を続けた。
「俺はキリトを失っては生きていけない。不安なんだ」
「レイル...僕なら大丈夫。僕の力を信じて」
「キリト...」
********
コルドールが見た村の様子は酷いものだった。
点在する畑はしばらく手入れがされていないのか、作物が枯れ、柵は獣たちに破られたのか半ば崩れ掛けている。村の中央を通る道に人影は無く、家々も戸を固く閉ざし、煮炊きの煙も上がっていない。
「私の家、こっちだよ。私はマチルダっていうの」
「ああ。俺はコルドールだ」
「あの綺麗な人、私のお母さんも助けてくれる?」
「...それは...」
コルドールは言葉を途切れさせた。異能の力を使いすぎると命を落とすこともあると聞いたことがある。キリトに無理はさせられなかった。
「医者を呼ぶことはできる。食べ物をここへ運んでくることも」
「ここにもお医者さん居たけど、みんなと同じ病気で死んじゃったの」
マチルダの言葉に、コルドールが目で続きを促した。
「もう、たくさん死んでる。少し離れたところにある小さな村から病気がうつったって、お母さんが言ってた」
「どこの村だ」
「その村、もう無いよ。燃えてみんな死んじゃった」
「なんだと」
伝染病の封じ込めの為に火を点けられた可能性もある。思ったよりも深刻な事態にコルドールは低く唸った。
「この村の代表者はいるか?」
「村長さん?いるよ。こっち」
マチルダが引き合わせてくれた村長は、年配の女性だった。
「あなたは?」
「...王都の騎士団だ。旅の途中にこの子が倒れていて助けたところ、伝染病の様にも見えたのでこちらを訪ねてきた」
「まあ...マチルダ、村の外へ出ては駄目だと言ったのに...」
「...だって、お母さん熱下がらないし、お医者さんを呼びに行こうと思ったの」
村長は苦しげに目を伏せながら言った。
「...騎士団の方に知られてしまっては、もうおしまいね」
「どういうことだ?」
村長の話では、四ヶ月程前にここからほど近い小さな村で、発熱と湿疹を伴う病が村人達を次々に襲い、一人、また一人と亡くなっていったのだという。
「その村は火事で丸焼けになり、誰も助かりませんでした。誰かが火を放ったという噂もありましたが、はっきりとしたことは分からないままなのです」
村長は深いため息を吐くと続けた。
「三ヶ月程前、この村からもその病が出て、なんとか病人を隔離して対応しようとしましたが叶わず、今現在、この子の母親も含め十三名がその病にかかっています」
村長は悲壮な眼差しでコルドールを見上げて言った。
「お願いします。この村から外へ人を出すことはしません。ですから、どうか焼き討ちだけはご勘弁ください。」
「...そのような事はしない。この国の王は病人を見捨てるようなことはしない。すぐに医者と支援物資を手配しよう」
「まあ...ありがとうございます。ですが、医者に来て頂いても対処は難しいかもしれません」
「どうしてだ」
「病で亡くなってしまいましたが、この村にも医者はおりました。その医者は、こんな症状は見たことがないと言っていたのです。薬を何種類も試してみても全く効きませんでした。別の医者に来て頂いてもおそらくは...」
「僕が、治してみせる」
声に振り返ると、キリトが立っていた。後ろに護衛を一人従えている。
「キリト、どうしてここに」
コルドールが驚いて言った。
「...レイルと話したんだ。僕なら、病気をここで食い止められる」
「だが...」
「僕を、病人のところへ案内してください」
キリトは覚悟を決めたように言った。
腕の中には愛してやまないキリトが居た。上掛けから裸の白く細い肩を覗かせている。
ふと、昨夜のキリトの痴態が思い出された。レイルの屹立に形の良い小さな唇を寄せ、舌を這わせ、うっとりと潤んだ目をして、顔にかかる黒い髪を繊細な指先でそっと掻き上げて、躊躇いがちにそれを口に含んだ、堪らない痴態を。
酔っていたからといって無茶な要求をしてしまった。嫌がるかと思ったがキリトは従順にレイルの要望に応えた。
これ以上無いほど愛しく思っていたが、まだこれより上があるのだろうか。底無しとも思える程にキリトが愛しい。がんばるから好きでいて欲しいなどと、可愛らしい事を言った口で、俺のものを淫らに咥えて。その口を息もできない程の深い口付けで塞いで抱き潰してしまいたい衝動を辛くも堪えていることを、キリトは少しも気付かずにいるのだろうか。叶うならば誰の目にも触れぬように閉じ込めてしまいたい暗い独占欲を、持て余していることを。
「...おはよ。僕、寝過ぎた?」
キリトが腕の中で目を覚まして言う。朝の光を浴びたキリトはまるで昨夜の事など無かったかのように清らかに見えた。
「まだ早朝だ。もう少し寝ていたらどうだ」
「ううん、二度寝したら起きられなくなりそうだから」
キリトはもぞりと寝台に起き上がった。途端に裸の白い肌と淡く色づく胸の飾りが顕になる。見ていると股間に熱が集まってしまいそうで、レイルはさっと窓の外に視線を移した。
宿の食堂で軽く朝食を食べた一行は、食料や水を街の商店で買い揃えてから出発した。
しばらくは周囲を木々に囲まれた街道が続く。
キリトは途中からまた騎士と交代してもらって馬に乗っていた。風は少し冷たいが陽が当たって気持ちが良い。
「キリト、止まってくれ」
馬で並走していたコルドールがキリトに声を掛けた。すぐに別の騎士が街道の先へ馬を駆けさせて行く。
「なに?」
「この道の先に何かある」
コルドールが言うそばから、確認に行っていた騎士が馬の首を廻らせて戻ってきた。
「子供が一人倒れています」
「えっ」
キリト達が近づくと、街道の真ん中に汚れの目立つ服を着た十歳頃の女の子が倒れていた。
「キリト!」
キリトはコルドールの制止の声に構わずに馬を降りると、女の子に駆け寄った。しゃがんで女の子の額に手を当てると熱い。額に汗もかいている。高熱があるようだった。
「熱があるみたい」
キリトの声に、コルドールが近づいて女の子を見てみると、服から覗く首筋や腕に赤い湿疹がぽつぽつとある。
「キリト、その子から離れろ。伝染病かもしれん」
「そんな...」
女の子は熱で辛いのか、はあはあと肩で息をしている。とても放っては置けなかった。
キリトは一つ息を吐くと、コルドールに言った。
「僕、やってみる」
「何事だ?」
振り返るとレイルが馬車から降りてくるところだった。
「子供が道に倒れていたんだが、熱と湿疹がある。伝染病かもしれん」
コルドールが眉間に皺を寄せてレイルに言う。
「なんだと。キリト、その子に近づくな」
レイルも怖い顔をして言った。
「でも、放って置けないよ。僕、力で癒してみる」
キリトはそう言うや否や、女の子の胸の辺りに手をかざすと目を閉じた。
途中で止める事もできずにレイル、コルドール、護衛の騎士達が見守っていると、キリトが手をかざす女の子の胸の上に、光る複雑な紋様が現れて眩しく輝き出した。あまりの眩しさに目を開けていられずに閉じる。
どさ、と音がして目を開くと、キリトが地面に倒れていた。
「キリト!」
レイルが駆け寄って抱き起こすと、キリトは薄らと目を開けた。
「...女の子は?」
「先ほどより顔色が良い。発疹もなくなっている」
コルドールが女の子を見て答えた。
「良かった」
女の子とは反対にキリトの顔色は血の気を失って真っ白になっている。
「キリト、無茶を...」
レイルはキリトの様子に奥歯を噛み締めた。
コルドールはキリトが癒しの力を振るう様子を見て舌を巻いた。まさか怪我や毒に加えて病気まで治せるとは思っていなかった。
「...わたし、体がしんどくない......あなたたちは?」
女の子が地面に身を起こして口を開いた。
「...旅の途中の者さ。お父さんかお母さんは?」
コルドールはしゃがんで女の子に目線を合わせて聞いた。コルドールの金の巻き毛を眩しげに見やって女の子は言った。
「...お父さんは病気で死んじゃった。お母さんは熱で寝てる」
「...お前と同じ、熱と発疹でか?」
「うん。村のひと、たくさん同じ病気なの」
レイルとコルドールは目を見合わせた。
「伝染病が発生しているなどと、報告は受けていないが」
「レイルと宰相が居ない間に、報告が行き違ったのかも知れん」
「ああ...」
レイルは今は亡き灰色の髪の宰相の顔を思い起こし、一時物思いに沈む。気を取り直してコルドールに言った。
「まずは村の様子を見に行こう。それから王都に早馬を。医師と支援物資を手配するようにと」
「レイルはキリトとここで待っていてくれ。二人に何かあったらこの国はどうなる」
コルドールは首を横に振って言った。
「だが...」
「村の様子を見て、すぐに戻る。村まで案内してくれるか?」
コルドールは騎士を二人連れると、女の子の先導で街道の脇道へと歩いて行った。
「キリト、具合はどうだ」
「...レイル」
レイルは地面に腰を下ろして、先ほどよりは顔色が良くなったキリトを腕に抱きしめた。
キリトが癒しの力を使って倒れる度、キリトを失うのではないかという恐怖に駆られる自分がいる。そして、キリトを失っては自分はもはや生きては居られないだろう。思わず抱きしめる腕に力を込めるとキリトが呻いた。
「...レイル、痛い」
「すまない」
そっと腕を解くとキリトの黒い目を覗き込んで言った。
「コルドールが戻ってきたら、早馬を王都へ送って俺たちも出発しよう」
「レイル、僕、病気も癒せたよ」
「ああ。だが...」
「もし本当に伝染病なら、ここで食い止めなきゃ大変なことになる」
「分かっているが...あなたを失いたくない」
レイルはキリトの肩口に顔を埋めて言葉を続けた。
「俺はキリトを失っては生きていけない。不安なんだ」
「レイル...僕なら大丈夫。僕の力を信じて」
「キリト...」
********
コルドールが見た村の様子は酷いものだった。
点在する畑はしばらく手入れがされていないのか、作物が枯れ、柵は獣たちに破られたのか半ば崩れ掛けている。村の中央を通る道に人影は無く、家々も戸を固く閉ざし、煮炊きの煙も上がっていない。
「私の家、こっちだよ。私はマチルダっていうの」
「ああ。俺はコルドールだ」
「あの綺麗な人、私のお母さんも助けてくれる?」
「...それは...」
コルドールは言葉を途切れさせた。異能の力を使いすぎると命を落とすこともあると聞いたことがある。キリトに無理はさせられなかった。
「医者を呼ぶことはできる。食べ物をここへ運んでくることも」
「ここにもお医者さん居たけど、みんなと同じ病気で死んじゃったの」
マチルダの言葉に、コルドールが目で続きを促した。
「もう、たくさん死んでる。少し離れたところにある小さな村から病気がうつったって、お母さんが言ってた」
「どこの村だ」
「その村、もう無いよ。燃えてみんな死んじゃった」
「なんだと」
伝染病の封じ込めの為に火を点けられた可能性もある。思ったよりも深刻な事態にコルドールは低く唸った。
「この村の代表者はいるか?」
「村長さん?いるよ。こっち」
マチルダが引き合わせてくれた村長は、年配の女性だった。
「あなたは?」
「...王都の騎士団だ。旅の途中にこの子が倒れていて助けたところ、伝染病の様にも見えたのでこちらを訪ねてきた」
「まあ...マチルダ、村の外へ出ては駄目だと言ったのに...」
「...だって、お母さん熱下がらないし、お医者さんを呼びに行こうと思ったの」
村長は苦しげに目を伏せながら言った。
「...騎士団の方に知られてしまっては、もうおしまいね」
「どういうことだ?」
村長の話では、四ヶ月程前にここからほど近い小さな村で、発熱と湿疹を伴う病が村人達を次々に襲い、一人、また一人と亡くなっていったのだという。
「その村は火事で丸焼けになり、誰も助かりませんでした。誰かが火を放ったという噂もありましたが、はっきりとしたことは分からないままなのです」
村長は深いため息を吐くと続けた。
「三ヶ月程前、この村からもその病が出て、なんとか病人を隔離して対応しようとしましたが叶わず、今現在、この子の母親も含め十三名がその病にかかっています」
村長は悲壮な眼差しでコルドールを見上げて言った。
「お願いします。この村から外へ人を出すことはしません。ですから、どうか焼き討ちだけはご勘弁ください。」
「...そのような事はしない。この国の王は病人を見捨てるようなことはしない。すぐに医者と支援物資を手配しよう」
「まあ...ありがとうございます。ですが、医者に来て頂いても対処は難しいかもしれません」
「どうしてだ」
「病で亡くなってしまいましたが、この村にも医者はおりました。その医者は、こんな症状は見たことがないと言っていたのです。薬を何種類も試してみても全く効きませんでした。別の医者に来て頂いてもおそらくは...」
「僕が、治してみせる」
声に振り返ると、キリトが立っていた。後ろに護衛を一人従えている。
「キリト、どうしてここに」
コルドールが驚いて言った。
「...レイルと話したんだ。僕なら、病気をここで食い止められる」
「だが...」
「僕を、病人のところへ案内してください」
キリトは覚悟を決めたように言った。
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