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第十二話
蕭将軍は妙に緊張したような声だった。
「気持ちは分かるがそれだけは口に出してはならない。いいか?気をつけるように」
しかし彼の顔には『陛下はちょっと……暗君なのではないか』とでかでかと書かれている。
口には出さない分、その表情が何よりも雄弁に語っていた。
俺はそんな彼を揶揄ってみようかとにやにやしていたが、ふとあることに気がついた。
「蕭将軍、後宮に関しては鍵を握っているのは陛下ではなく、瑞寧様じゃないんですか?」
「瑞寧様?」
将軍は不思議そうに首を傾げた。俺はうんうん、と頷きながら話を続ける。
「なんか気のせいかもしれないんですけど、瑞寧様って庶民出身の割に増税とかに興味なさそうでしたよね」
「確かにそうだな」
俺はその相槌に得意げになりながら話を続ける。
「もしかして陛下に囁いたんじゃないですか?後宮で貧しい暮らしなどしたくありませんって!」
しかし将軍は明らかに腑に落ちないようで、首を傾げていた。
「しかし彼はあまり富や豊かさに興味がなさそうに見えたが?善良そうに見えた」
俺はそんな蕭将軍をかなりちょろい、と思ってしまう。こんなにも政治の世界を泳ぎきってきました、みたいな顔をして、結構ピュアで真っ直ぐなのだ。
「蕭将軍、俺って見た目は優しげおぼっちゃま風じゃありませんか?」
「そうだな」
「実際の俺の中身はどうですか?」
「今はそうでもないが、まあ腹黒だな」
つまりそういうことです、というと彼は納得していた。自分を引き合いに出したことで理解してもらえるとは、少し悲しい気持ちである。
蕭将軍は知らないかもしれないが、小説の中で瑞寧は貧農の出身だったと書いてあった。
そんな彼が天下で1番権力と金を持った美男子に愛されたらどうなるか。
(俺なら間違いなく調子に乗るね!そして浪費しまくる)
もはや傾国の美男として歴史に刻まれるくらい浪費するだろう。
それに一読者であった頃は気にしなかったが、冷静に考えてみれば後宮という針の筵で、平然と皇帝と愛し合っていた、というのは相当な鋼のメンタルの持ち主である。
男であるにも関わらず妃にしてもらい、寵愛を受ける。それだけでも後宮の女性陣から死ぬほど妬まれるのに、加えて彼は貧しい庶民だ。
皇帝の妃となるべく幼い頃から英才教育を受けてきた貴族のご令嬢と、言い方は悪いがどこの馬の骨とも分からない美男子。
貴族たちの中にも苦々しく思う者はいるはずだ。
小説の中だと全く気が付かないが、現実世界となると瑞寧がそれなりの強かさを持っている可能性は高い。
「ということです!蕭将軍」
かいつまんで説明すると彼はふむ、と考え込んだ。
「では瑞寧様について少し調べてみるか」
彼の言葉に俺は思わず瞳を輝かせた。
「あの、じゃあ影の者みたいなのを使って調べるんですか?会わせてもらえないですか?」
「駄目だ。顔が割れたら元も子もない。そんなに会いたければあなたの邸の屋根裏でも見たらいい」
これでは取り付く島もない。俺はため息を吐くと彼を見つめた。
「なんだ」
「眠いので帰っていいですか?」
俺があくびをしながら言うと、将軍はばっさりと切り捨てた。
「…….まだ話し合う必要がある。私の邸に来てもらおう」
「気持ちは分かるがそれだけは口に出してはならない。いいか?気をつけるように」
しかし彼の顔には『陛下はちょっと……暗君なのではないか』とでかでかと書かれている。
口には出さない分、その表情が何よりも雄弁に語っていた。
俺はそんな彼を揶揄ってみようかとにやにやしていたが、ふとあることに気がついた。
「蕭将軍、後宮に関しては鍵を握っているのは陛下ではなく、瑞寧様じゃないんですか?」
「瑞寧様?」
将軍は不思議そうに首を傾げた。俺はうんうん、と頷きながら話を続ける。
「なんか気のせいかもしれないんですけど、瑞寧様って庶民出身の割に増税とかに興味なさそうでしたよね」
「確かにそうだな」
俺はその相槌に得意げになりながら話を続ける。
「もしかして陛下に囁いたんじゃないですか?後宮で貧しい暮らしなどしたくありませんって!」
しかし将軍は明らかに腑に落ちないようで、首を傾げていた。
「しかし彼はあまり富や豊かさに興味がなさそうに見えたが?善良そうに見えた」
俺はそんな蕭将軍をかなりちょろい、と思ってしまう。こんなにも政治の世界を泳ぎきってきました、みたいな顔をして、結構ピュアで真っ直ぐなのだ。
「蕭将軍、俺って見た目は優しげおぼっちゃま風じゃありませんか?」
「そうだな」
「実際の俺の中身はどうですか?」
「今はそうでもないが、まあ腹黒だな」
つまりそういうことです、というと彼は納得していた。自分を引き合いに出したことで理解してもらえるとは、少し悲しい気持ちである。
蕭将軍は知らないかもしれないが、小説の中で瑞寧は貧農の出身だったと書いてあった。
そんな彼が天下で1番権力と金を持った美男子に愛されたらどうなるか。
(俺なら間違いなく調子に乗るね!そして浪費しまくる)
もはや傾国の美男として歴史に刻まれるくらい浪費するだろう。
それに一読者であった頃は気にしなかったが、冷静に考えてみれば後宮という針の筵で、平然と皇帝と愛し合っていた、というのは相当な鋼のメンタルの持ち主である。
男であるにも関わらず妃にしてもらい、寵愛を受ける。それだけでも後宮の女性陣から死ぬほど妬まれるのに、加えて彼は貧しい庶民だ。
皇帝の妃となるべく幼い頃から英才教育を受けてきた貴族のご令嬢と、言い方は悪いがどこの馬の骨とも分からない美男子。
貴族たちの中にも苦々しく思う者はいるはずだ。
小説の中だと全く気が付かないが、現実世界となると瑞寧がそれなりの強かさを持っている可能性は高い。
「ということです!蕭将軍」
かいつまんで説明すると彼はふむ、と考え込んだ。
「では瑞寧様について少し調べてみるか」
彼の言葉に俺は思わず瞳を輝かせた。
「あの、じゃあ影の者みたいなのを使って調べるんですか?会わせてもらえないですか?」
「駄目だ。顔が割れたら元も子もない。そんなに会いたければあなたの邸の屋根裏でも見たらいい」
これでは取り付く島もない。俺はため息を吐くと彼を見つめた。
「なんだ」
「眠いので帰っていいですか?」
俺があくびをしながら言うと、将軍はばっさりと切り捨てた。
「…….まだ話し合う必要がある。私の邸に来てもらおう」
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