うっかり死んだ大学生、推し小説の悪役令息に転生する!!

江島梓

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第十三話

俺はとりあえず蕭将軍の家にお邪魔することになったが。


「蕭将軍の家ってそこそこ遠くないですか?」


「馬に乗ればすぐだ」



そういった蕭将軍はすぐに真っ白い馬を連れてきた。


蕭将軍は俺を馬に乗せてくれた。高くてちょっとびくびくしていたら、軽く肩を叩いてくれた。



「そんな緊張するな。私がいるから大丈夫だ」


その言葉に俺は思わずときめいてしまう。こんな男前な人に『私がいるから大丈夫だ』とか低音ボイスで言われたら、誰だってそうなるはず。


「すごい、白馬の王子様って感じー!」


「なんだそれ」


そう言いながらも彼は馬を走らせて行く。遊園地のアトラクションにでも乗ったような気持ちで、俺は叫んでしまった。


「楽しーっ!!」


「かなりうるさいな」


彼に注意され俺はすぐさま口を閉じた。推しに嫌われるのはまっぴらごめんである。



「そんなに馬に乗ってはしゃぐ者は初めて見た」



呆れたようにため息を吐かれる。


「すみません、浮かれてました。でも蕭将軍に馬に乗せてもらうんですよ?はしゃがないわけないですよね」



「何故そんなに私にこだわるんだ?」



彼はまったく理解できない、というような顔でこちらを眺めている。


「推しだからですよ!推·し!!なんか見ているだけで元気になるんですよ。蕭将軍にだってそういう人はいますよね?」



「いないな。視界に入ってくるだけで疲れる相手はいるが」



そう話しているうちに彼の邸についた。やはり将軍という身分だけあって、ちゃんと豪華だ。


「おおっ凄いですね!」


「あなたの邸の方が豪華だが?」



「蕭将軍が住んでいる、というプレミアがつくんです」



俺の説明を将軍は聞き流すと、俺を馬から下ろしてくれた。




そのままてくてくと邸の中に入って行く。



「とりあえず飯にしよう。腹が減った」


それだけ言うと将軍はちゃっちゃと使用人に指示を出して、食事の用意をさせた。



「あなたも食べろ」


そう促されたので遠慮なく席につく。料理は肉料理が多めで、とにかく料理が多い。


俺も早速食べてみるが、そうしている間にもどんどん皿が増えて行く。


「蕭将軍、これ全部食べるんですか?」


「そうだ」


まるでお前は何を言っているんだ、というようなきょとんとした顔でこちらを見てくる。


将軍はぱくぱくと料理を沢山口に運んでいた。俺も彼を見習って一生懸命口に運んできた。



俺だってそれなりに沢山食べる方である。負けじと一皿、また一皿と食べて行く。気がつけば五皿目に達していたが、料理はいまだに減らない。




だんだんお腹いっぱいになってきて、俺はかなり苦しくなってきた。



「五皿目食べないのか?」



「五皿しか?五皿もじゃないですか?」



「そんなものでは腹が空く。もっと肉を食べろ」


彼に勧められれば食べるしかない。なんとか一切れ食べたが、また次の肉が皿に置かれる。



「あの、もう無理です!お腹はち切れちゃいます!!」


「本当か?遠慮していないか?」


蕭将軍は本気で俺が遠慮している、と考えているらしい。純粋な善意だからこそ厄介だ。



「本当本当!!お腹休ませたいです」


「そうなのか」


まだ疑いつつも将軍はそれ以上は勧めてこなかった。
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