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May
先生の独り言
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初めて会った時から、僕にはあの子しかいないと思った。恥ずかしながら、初恋だ。
でも、所詮教授と学生。思いを伝えるのは許されないだろう。
大学教授というのは不思議なもので、教員免許も無いのに学生に勉強を教えなければならない。よく、高校までと大学では求められるものが違うというけれど、教員の仕事はあまり変わらないと思う。公平、公正、平等が求められる仕事だ。そんなことは分かっている。
でも、僕は自分の心を抑えることができなかった。
我ながら強引だけど、家に連れて帰った。そして、ひょんなことから、彼が僕の恩師の息子さんだということもわかった。
教授と学生という大学を介した関係ではなく、僕の恩師の息子という関係になれたということは、僕にとっては都合がいい。狙うのは、彼のちょっとしたお兄ちゃんポジだ。
…でも、僕は今日、その一線を超えてしまった。
「俺だけの先生じゃないんだなって。」
伏目がちに僕の方を見て、寂しそうに呟いた彼の言葉を思い出す。
嫉妬、してくれた。
大学で公平に働く僕を見て、彼は不安になったと言った。それはすなわち、特別扱いしてほしいという要求でもある。
愛おしさが爆発して、「一緒にお風呂に入ろう」と言ってしまった。彼の裸体を見て我慢できる自信はなかった。でも、あの時の僕はそれでも良いと思っていた。我慢できなかったらその時はその時だ、と軽く考えていた。その勢いで付き合ってしまえたら良いと。自惚れていた。
そして実際、我慢できなかった。
あろうことか僕は彼の尊い男根に触れ、そして、拒絶された。あの時の目は、僕を見ていなかった。彼の瞳に僕が入っていない。それだけで、すごく悲しくて苦しかった。
のぼせた頭のせいと言えば、彼は許してくれるかもしれない。でも、この事実はずっと消えないんだ。彼に警戒されてしまっていたらどうしよう。もう二度と家に来てくれなくなったらどうしよう。僕一人しかいない部屋で、後悔が募る。
むしゃくしゃして、自分の太腿を拳で殴った。
スマホに入った彼からの通知。
「寝ます」とだけ書かれていて、虚しくなる。今日も一人で寝るのか。
あの子はまだ気づいていないだろう。寝ている時、僕が部屋に入っていることに。
寝相が悪くてちょっとパジャマがはだけて、臍がちらりと見える。夜のあの子の儚さに耐えられなくなるまで、それを眺めている。
家に招いた初日、僕は寝落ちした彼を自分のベッドに寝かせた。あの時の彼を想像しながら、今日も僕は自分の部屋で、一人で慰める。
でも、所詮教授と学生。思いを伝えるのは許されないだろう。
大学教授というのは不思議なもので、教員免許も無いのに学生に勉強を教えなければならない。よく、高校までと大学では求められるものが違うというけれど、教員の仕事はあまり変わらないと思う。公平、公正、平等が求められる仕事だ。そんなことは分かっている。
でも、僕は自分の心を抑えることができなかった。
我ながら強引だけど、家に連れて帰った。そして、ひょんなことから、彼が僕の恩師の息子さんだということもわかった。
教授と学生という大学を介した関係ではなく、僕の恩師の息子という関係になれたということは、僕にとっては都合がいい。狙うのは、彼のちょっとしたお兄ちゃんポジだ。
…でも、僕は今日、その一線を超えてしまった。
「俺だけの先生じゃないんだなって。」
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嫉妬、してくれた。
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そして実際、我慢できなかった。
あろうことか僕は彼の尊い男根に触れ、そして、拒絶された。あの時の目は、僕を見ていなかった。彼の瞳に僕が入っていない。それだけで、すごく悲しくて苦しかった。
のぼせた頭のせいと言えば、彼は許してくれるかもしれない。でも、この事実はずっと消えないんだ。彼に警戒されてしまっていたらどうしよう。もう二度と家に来てくれなくなったらどうしよう。僕一人しかいない部屋で、後悔が募る。
むしゃくしゃして、自分の太腿を拳で殴った。
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「寝ます」とだけ書かれていて、虚しくなる。今日も一人で寝るのか。
あの子はまだ気づいていないだろう。寝ている時、僕が部屋に入っていることに。
寝相が悪くてちょっとパジャマがはだけて、臍がちらりと見える。夜のあの子の儚さに耐えられなくなるまで、それを眺めている。
家に招いた初日、僕は寝落ちした彼を自分のベッドに寝かせた。あの時の彼を想像しながら、今日も僕は自分の部屋で、一人で慰める。
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