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July
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「だってぇ…僕がやりたいのは研究だけなんだよ?それに一回メディアに出演するだけで、他のメディアからも取材が来たりするんだから。一回くらいって侮れないんだ…。」
夕飯を食べている時。
先生が、珍しく愚痴をこぼしていた。
メディアの出演依頼が来たらしい。
一緒に暮らしている俺からしても、まぁ、妥当だよな、と思う。
日本最年少教授でイケメン。高身長だし人当たりもいい。
ぱっと見たところ非の打ちどころなんてない先生を、世間が放っておくはずがない。
「大学からも、出てくれって結構言われちゃって…大学にもお金が入るし、何より、宣伝になるから。僕は広告塔にはされたくないのに…。」
言わんとすることは、わかる。
俺が出会った当初から、先生はそう言ってたし。
「ゆうのおいしいご飯汚すような話題にしちゃってごめんね…。もう、今日は食べまくりたい気分。」
「いやいや、たまに愚痴吐いてくれた方が人間らしくて安心します。ご飯も炊いたので、いっぱい食べてください。」
「ううう、ありがとう!」
頬っぺたにご飯をいっぱい詰め込んで、ハムスターみたいになってる。
ゆっくり食べてくれていいのに。
「さくくん、ビール飲みます?」
「うーん…。ゆうの前で酔っ払ってかっこ悪いところを見せたくはないんだけどねぇ…。でも、今日は飲みたい気分かも。」
俺はまだ年齢的に飲めないけど、先生がお酒好きなのは前から聞いていた。
明日は先生もお休みだったはずだし、ちょっと飲んで発散してもらえたらいいな。
お酒好きとは聞いていたけど、先生が飲んでいるところを見たことは今まで一度もなかった。
これは、相当ストレスたまってるんだなぁ…。
俺が食べ終わっても、先生はまだ口いっぱいにご飯をほおばっていた。
食器を片付けに台所に行ったついでに、簡単におつまみを作る。
「おつまみってどうやって作ればいいのかな…。」
スマホとにらめっこして、見様見真似で作ってみる。
ビールを飲んだことがないからどんな味がいいのかもよくわからない。
濃い味がいいの?薄味がいいの?
よし。
この間買ったは良いけど使い道がなかったちくわで、あえ物にした。
不安だけど、作っちゃったものは仕方ない。
適当に皿に盛りつけてリビングに持って行った。
「さくくん、これ、おつまみ作ってみたのでよかったら…。」
リビングに行くと、先生はまだご飯を食べていた。
部活終わりの中学生くらい食べるじゃん。
「えええ!わざわざ作ってくれたの!?ごめんねぇ…ありがとう!」
目をきらきらさせながら受け取ってくれた。
「せっかくだからゆうも一緒に食べようよ!さすがに晩酌に付き合ってもらうのは申し訳ないけど、これを一人で食べるのも申し訳ないよ。」
「いやいや、さくくんのために作ったので気にしないで食べてください。」
「えぇ、でも…。」
「わかりました。じゃあ、ちょっといただきます。」
「いただくって、ゆうが作ったものなんだから僕がいただく立場だよ。」
自分の部屋にある小さい冷蔵庫から三本の缶ビールを持ってきた先生は、一つ目の缶をプシュっと開けた。
俺の両親はどちらもお酒を飲まないから、こういう光景は新鮮だ。
ゴクッゴクッと先生の喉が鳴る。
「そんなに見られると恥ずかしいな。」
「ああっ、すみません。」
俺もおつまみをつまみながら、だんだん顔が赤くなっていく先生を眺めていた。
「くぅー!」って言いながらお酒を飲み干す横顔がかっこいい。
こんなのみたら惚れちゃうじゃんね。
…様子がおかしくなったのは、1缶目を飲み終わってすぐだった。
「ゆう~~僕の天使ぃぃ~~」
ここで、俺は初めて、先生が酔うとだる絡みするタイプだと知った。
夕飯を食べている時。
先生が、珍しく愚痴をこぼしていた。
メディアの出演依頼が来たらしい。
一緒に暮らしている俺からしても、まぁ、妥当だよな、と思う。
日本最年少教授でイケメン。高身長だし人当たりもいい。
ぱっと見たところ非の打ちどころなんてない先生を、世間が放っておくはずがない。
「大学からも、出てくれって結構言われちゃって…大学にもお金が入るし、何より、宣伝になるから。僕は広告塔にはされたくないのに…。」
言わんとすることは、わかる。
俺が出会った当初から、先生はそう言ってたし。
「ゆうのおいしいご飯汚すような話題にしちゃってごめんね…。もう、今日は食べまくりたい気分。」
「いやいや、たまに愚痴吐いてくれた方が人間らしくて安心します。ご飯も炊いたので、いっぱい食べてください。」
「ううう、ありがとう!」
頬っぺたにご飯をいっぱい詰め込んで、ハムスターみたいになってる。
ゆっくり食べてくれていいのに。
「さくくん、ビール飲みます?」
「うーん…。ゆうの前で酔っ払ってかっこ悪いところを見せたくはないんだけどねぇ…。でも、今日は飲みたい気分かも。」
俺はまだ年齢的に飲めないけど、先生がお酒好きなのは前から聞いていた。
明日は先生もお休みだったはずだし、ちょっと飲んで発散してもらえたらいいな。
お酒好きとは聞いていたけど、先生が飲んでいるところを見たことは今まで一度もなかった。
これは、相当ストレスたまってるんだなぁ…。
俺が食べ終わっても、先生はまだ口いっぱいにご飯をほおばっていた。
食器を片付けに台所に行ったついでに、簡単におつまみを作る。
「おつまみってどうやって作ればいいのかな…。」
スマホとにらめっこして、見様見真似で作ってみる。
ビールを飲んだことがないからどんな味がいいのかもよくわからない。
濃い味がいいの?薄味がいいの?
よし。
この間買ったは良いけど使い道がなかったちくわで、あえ物にした。
不安だけど、作っちゃったものは仕方ない。
適当に皿に盛りつけてリビングに持って行った。
「さくくん、これ、おつまみ作ってみたのでよかったら…。」
リビングに行くと、先生はまだご飯を食べていた。
部活終わりの中学生くらい食べるじゃん。
「えええ!わざわざ作ってくれたの!?ごめんねぇ…ありがとう!」
目をきらきらさせながら受け取ってくれた。
「せっかくだからゆうも一緒に食べようよ!さすがに晩酌に付き合ってもらうのは申し訳ないけど、これを一人で食べるのも申し訳ないよ。」
「いやいや、さくくんのために作ったので気にしないで食べてください。」
「えぇ、でも…。」
「わかりました。じゃあ、ちょっといただきます。」
「いただくって、ゆうが作ったものなんだから僕がいただく立場だよ。」
自分の部屋にある小さい冷蔵庫から三本の缶ビールを持ってきた先生は、一つ目の缶をプシュっと開けた。
俺の両親はどちらもお酒を飲まないから、こういう光景は新鮮だ。
ゴクッゴクッと先生の喉が鳴る。
「そんなに見られると恥ずかしいな。」
「ああっ、すみません。」
俺もおつまみをつまみながら、だんだん顔が赤くなっていく先生を眺めていた。
「くぅー!」って言いながらお酒を飲み干す横顔がかっこいい。
こんなのみたら惚れちゃうじゃんね。
…様子がおかしくなったのは、1缶目を飲み終わってすぐだった。
「ゆう~~僕の天使ぃぃ~~」
ここで、俺は初めて、先生が酔うとだる絡みするタイプだと知った。
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